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怖い話

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#供養

カッコウの托卵(短編小説)

カッコウの托卵(短編小説)

『いよ〜っと!!』

僕は重い石を斜めにずらし中から小さな壺を取り出した。

《バサッ》

蓋をとると壺の中身を近くの草むらに無造作に放り捨てる。

辺りには人っ子一人も無く、真っ暗な中での作業だ。

我が家には昔から特異な習慣があった。

曽祖父から祖父、父へと受け継かれてきた我が家だけの習慣。

そして今回習慣を僕が引き継いだのだ。

中身を捨てて空になった壺に懐から袋を取り出し、コロコロと中

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父の教え(短編小説)

父の教え(短編小説)

ツンツン ギュッギュッ

『父ちゃん 魚が釣れたよ!』

見ると糸には小さな魚がぶら下がり、釣り針を外そうとすると魚はしっかりと針を飲み込んでしまっていた。

『これはダメだなぁ〜死んじまう、食って供養するか、、』

小さな頃から父ちゃんからは生命の大切さを教わった。

父ちゃんはどんな小さな魚も死んだら持ち帰って食べて供養した。

それから月日はたち僕も大人になった。

もちろん釣りも続いていて

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