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母じゃなくても重ねてた『明日の食卓』

6月1日映画の日に『明日の食卓』を見た。
菅野美穂さん主演の、尾野真千子さん、高畑充希さん、
それぞれが違う土地でお母さんでありながら、
3人とも”石橋ユウ”という名の息子を育てている。
神奈川県在住、旦那がカメラマンで留美子(菅野美穂)家の、悠宇くん
大阪在住、シングルマザーの加奈(高畑充希)家の、勇くん
静岡在住、東京へ通勤する旦那と隣に姑の家があり、
専業主婦あすみ(尾野真千子)の、優くん
この3つの家のユウくんと母たちの物語である。

予想以上にボロボロ泣いていた
こういう日に限ってハンカチを忘れていたし、メイクが濃い
そんな事を気にする間もなく、マスクを濡らし続けていた

一番胸が詰まったのは、高畑充希さん演じる大阪の勇くんだ
最初、変にきつい関西弁やなと思ったが、お母さん大好きな勇くんに
引っ張られた
お母さんが頑張ってくれてるから、自分もって我慢する
お母さんは自分がいるから頑張ってるんや、無理してるんやって思っちゃう
無理してほしくなのに、無理しないと生活できなくて、
でもそんな姿勇には見せてくれなくて、
だからこそ、「産まなきゃよかったのに」って言っちゃう
だって、自分が生まれなきゃお母さん、こんなに無理しなくて良かった
13時間働いて、絵の具が無くなったら24時間営業のスーパー行って
「そんなに無理しなくていい!!」って勇は思うのに、
加奈は勇の為に無理したい、勇の為ならって思う
このすれ違いが胸痛い
小さいのに、大好きやからいっぱいいっぱい考えちゃって
無償の愛なんて分かるわけないから、何で?って思う
私は正直、今でも「お母さんは何でそんなに頑張れるん?」って思う
加奈も、勇の為ならどんなことでも出来るんやろなって
ボロボロになっても関係ない、勇が無事なら関係ないって
それがもう見てて凄すぎて辛くて
私は、その無償のような気持ちを思った事ないから
加奈みたいにずっと笑顔で頑張るとか、置き手紙も付けて
ご飯作るために一旦家帰ってとか、
加奈の息子を想う気持ちがデカすぎて、胸がきゅーって
お母さんの尊さに涙ぶわあってなって、出てくるたびに胸打たれてた

私はお母さんには絶対なれないなって思った
自分のお母さんを思い出した
小学生の時、帰ってくるの遅いから交換日記してたり、
ご飯置いて行ってくれた時は、置き手紙ついてたなとか
私のお母さんは、ずっと笑顔なわけなくて、
万年反抗期の私と散々バトルして、言い合ってたけど(笑)
でも、高校まで、その優しさは”お母さん”として当たり前やと思ってた
「お母さんがその道選んだんやん」って、
「自分で産む道選択しといて、怒るなし」って
でも今はちょっと分かる、お母さんがどれだけしんどかったか
高畑充希さんの加奈見てめっちゃ思い出した

そして、神奈川の悠宇くん
悠宇くんは、お兄ちゃんになるってことが分からんかったんよな
だって、勝手に「今からお兄ちゃんです~」って言われてもな、知らんよな
「俺は1人だったじゃんかよ」「なんで一緒に行くんだよ」って
悠宇くんは、もしかしたら理由が聞きたかったんかな
ずっと反抗期の男子に見えて、言う事聞かんややこしい男子に見えて、
悠宇くんはもしかしたら、理由が分からんくて意味わからんかったんかも
でも留美子(菅野美穂)にはそんな余裕ないからさ
男の子2人で、弟はずっと泣いてるし、お兄ちゃんうるさいしって
泣いてるほう弟やから止めなあかんし、
それでもなあ、「お兄ちゃんだから」って言われても意味わからんよ
そこが、混ざり合わんくて、留美子と悠宇くんは切なかった
だって、悠宇くん、お母さんの事大好きなんやもん
絶対守りたいって思ってるし、お母さんが傷ついてると
めっちゃ傷ついてるで
でも不器用なんやろな、悠宇くん、めっちゃ我慢強くてさ
空回ってばっかで、
お母さんから理由聞きたくて話したのに、その時のタイミングが悪くてな
悠宇くんが今!!って思う時と、お母さんの今が全然違う
もうその、すれ違いが悔しくて、辛くて、
だからこそ、悠宇くんの遠回しの優しさに泣けた
てか、悠宇くんはずっとめっちゃお母さん応援してるもんな
そこが、マジで悠宇くん大好きやった
「お母さん今から仕事なんだよ!頑張って来いよ!」
って言う悠宇くんのイケメンさな、そこに私は惚れた
生意気でうるさいくせに、励ましてほしい時言葉くれる
子育てが頑張れるときってこういう事なんかなって
分からんけど、分からんけどさ、
「頑張れよ!」って言われたら可愛くてしゃあないもん
お母さんがお母さんを続けてられるのって
こういう出来事の積み重ねなんかなって

一番印象に残ったんは「悠宇がいるから頑張れるんだよ」ってセリフ
これに尽きるんやろな
不倫してるけどお金稼いでたことで許してた旦那が無職になっても
何故か部屋の中でプールが開かれてて家の中がぐちゃぐちゃになっても
仕事と家事でどれだけ切羽詰まっても
「がいるから頑張れる」
お母さんはこの力が半端じゃないんやろな
この子の為ならって体全体で思ってて、生き甲斐そのものなんやろな
ほんまに世の中のお母さんやってる人は凄いなって思った
お母さんしてる人が世の中にこんなにもいる事がおかしいわ
凄い、凄すぎる、私はお母さんになるのは勘弁して頂きたいと強く思った
ただ、「(子)がいるから頑張れる」って
子供に呪いの言葉になるときもある
「そんなに自分の為に頑張ってくれんでええねん!」って時な
ここに出てくる、勇くんは、その気持ちが強いときがある
やからすれ違う、
この言葉の気持ちを、言わんでも分かるように悟れる能力が
お互いに備わってたらもっと上手くいくのになあって思ったり。

もう1人の優くんは、サイコパスって名がついた
やけど、優くんはサイコパスじゃなくて、
自分が分からなくなっただけやと思う
自分の本心は聞いてもらえない、言っても仕方がない
そうやって自分の気持ちを押しつぶして上っ面で行動して
その間、全然心が通じ合ってないお父さんとお母さん見てて
認知症で庭で用を足すおばあちゃん見てて
こんな状況やったらそりゃおかしくもなる、気も狂うもん
最初、この子、将来殺人鬼にでもなるんちゃうか…って思ったけど
優くん、妹が生まれるって言った時「かわいそう」って妹に言うた
あのとき、ああこの家の現状一番分かってるんやなあって
むしろ、あの家族の中で一番正常やったんじゃないかって
そりゃ、優くんがしたことは確実に間違ってる異常やけど
理性も何もかも分からんくなって、助けを求められへんかったら
こうなるんかなって
この家だけ何にも解決してないから、
優くんが救われたらええなってほんまに思う
この家で唯一描かれた旦那さん、あの号泣に意味があればいいなって
あの旦那さんが変わるのは、相当時間がいると思う
あすみが変わるのも時間かかると思う
旦那さんとあすみは主人と奴隷の関係やったから
あのお茶漬けにちょっと使った鮭みたいに
あの鮭、せっかく美味しく焼いたのに使われたん欠片だけ
あすみはあの鮭に似てた
妹が生まれる事に恐怖しか感じひんけど、
世の中にあるああいう家族が少しでも前に進んでくれてるといいなと
優くんみたいな子が少しでも救われたらなって

これを書きながら気づいたけど、この作品名前にも意味あるんかなって
勇くん、悠宇くん、優くん
名前は親からの最初のメッセージって最近読んだ漫画にあったけど、
この名前たちはその通りなんかも
勇ましく育ってほしい勇くんと、
心広く育ってほしい悠宇くんと、
誰にでも優しく育ってほしい優くんと
漢字にその家族を見せてたんかもしれん
「名前負け」とか耳にすることあるけど、
込められたメッセージやから、重荷にもなるし、助けにもなる
こういう所に母と子供を見せてたんかも


この作品は、完全に確実に予告騙しではある。
予告を見て期待してみたら、クエスチョンマークが浮かぶと思う
なんでこういう予告にしたのか不思議で仕方がない
なので、予告に期待せず、予告を意識せず見て頂きたい
無茶を言うようだが、
この作品は、誰にでも起こるリアルを描いてるから
これからの未来に起こりそうだし、自分の過去とも重なる
このリアルを沢山の人に体感してほしいって強く思う
誰が殺人犯か…とかではなく、誰にでも殺したくなるぐらい
無理な時があって、全身全霊を捧げてるから爆発するときがある
だいぶ”お母さん”に偏っているので、
全国のお父さんから見たら否定したくなる所があるかもしれないが
これは、お母さんを描く作品なのでお母さんを理解する覚悟で見てほしい
偏ってると言われても、この作品はお母さんの作品だから
これがいいのだと私は色んな方に言いたい
演技の迫力と、リアルに感じすぎる演出に圧倒されるので
想像以上に見ごたえ抜群なので
私は、見て良かったなと心から思う


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