1/10000の確率で当たりが出るくじを10000回引いて当たる確率(微分を利用)【毎日投稿13日目】
13日目です。
今回は微分を使って確率の問題を考察してみようと思います。
問題
常に1/10000の確率で画面に当たりが表示されるボタンを10000回押したとき、少なくとも1回画面に当たりが表示される確率はどれぐらい?
関数の導入
求める確率は
$${\displaystyle 1-\left(1-\frac{1}{10000}\right)^{10000}}$$ で表されます。
$${x}$$ を $${0\lt x\lt 1}$$ を満たす実数とします。
$${\displaystyle f(x)=\frac{\log (1-x)}{x}}$$ とおくと
求める確率は $${\displaystyle{1-e^{f(\frac{1}{10000})}}}$$ と書けます。
$${F(x)=1-e^{f(x)}}$$ とします。
f(x)とF(x)を調べる
$${\displaystyle f'(x)=\frac{\frac{-x}{1-x}-\log(1-x)}{x^{2}}}$$ です。
ここで $${g(x)=\dfrac{-x}{1-x}-\log(1-x)}$$ とおくと
$${g(x)=1-\dfrac{1}{1-x}-\log(1-x)}$$ ですから
$${g'(x)=-\dfrac{1}{(1-x)^2}+\dfrac{1}{1-x} }$$ となります。
$${g'(x)=\dfrac{-x}{(1-x)^2}}$$
よって $${0\lt x\lt 1}$$ の範囲で常に $${g'(x)\lt 0}$$ です。
このことにより $${g(x)}$$ は $${0\lt x\lt 1}$$ の範囲で単調に減少します。
さらに $${g(0)=0}$$ であることから
$${0\lt x\lt 1}$$ の範囲で常に $${g(x)\lt 0}$$ となります。
このことから $${f'(x)\lt 0}$$ を得て、
$${f(x)}$$ は $${0\lt x\lt 1}$$ の範囲で単調に減少することが分かります。
結果的に $${F(x)}$$ は $${0\lt x\lt 1}$$ の範囲で単調に増加することが分かります。
次に極限を調べます。
$${\displaystyle\lim_{x\rightarrow +0}{F(x)}=\lim_{x\rightarrow +0}{\left(1-\left(1-x\right)^{\frac{1}{x}}\right)}=1-\frac{1}{e}}$$
($${e}$$ は自然対数の底)
調べた結果を活用
分かったことをまとめると
➀$${F(x)}$$ は単調に増加
②$${x}$$ が $${0}$$ に近づくと $${F(x)}$$ は $${1-\dfrac{1}{e}}$$ に近づく
です。
➀、②から特にこんなことが言えます。
$${1- \dfrac{1}{e}\lt F\left(\dfrac{1}{10000}\right) \lt F\left(\dfrac{1}{4}\right)}$$
※$${\dfrac{1}{4}}$$ を選んだのは手計算でもそんなに苦労しないからという理由です。
上の不等式から $${1- \dfrac{1}{e}<F\left(\dfrac{1}{10000}\right) \lt \dfrac{175}{256}}$$ となります。
それぞれの近似値を調べることで
$${0.632 \lt F\left(\dfrac{1}{10000}\right) \lt 0.684}$$
を得ます。
結論は
常に1/10000の確率で画面に当たりが表示されるボタンを10000回押したとき、少なくとも1回画面に当たりが表示される確率は
約63.2%~約68.4%の間となります。
ちなみに実際に計算機で計算すると
約63.2%ということで「極限の方にとても近い」ことが分かります。
まとめ
今回は確率の素朴な疑問を微分や極限を使って考察してみました。
明日、続きの記事を書きます。
なお、本記事は以下のツイートをもとに書きました。
普段はサイトで大学入試レベルや大学入門レベルの数学の記事を書いたり、気が向いたときにYouTubeに動画を投稿しています。
ぜひ、そちらもご覧いただけましたら幸いです。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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