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29歳で振袖を着た 当日編

兄の結婚式で振袖を着た話、後編です。当日朝の流れからどうぞ!


◆スケジュール


式当日の朝の大まかなスケジュールはこんな感じ。
 6:30 起床
 7:00 朝食ビュッフェ
 8:00 自分のメイク開始
 9:00 母親のメイク開始
10:00 ネイル仕上げ
10:30 ホテルの美容室へ ヘアセット開始
11:00 着付け開始
11:45 着付け完了
12:30   親族集合
13:00   挙式
挙式が13時からだったので朝はわりとゆっくり。自分と母親のメイクにそれぞれ1時間かけても、ヘアセットまで余裕があったのは助かりました。成人式のときは朝6時から着付けだったことを思えば、だいぶ楽。

◆朝食

朝食はホテルのビュッフェ会場で。着物を着るとはいえ昼過ぎまでごはんを食べられないのでしっかり食べました。 

◆メイク

ホテルの部屋でのメイクってかなり難しいと思います。というのも、照明が暗い&黄色っぽいから。電気スタンドもありましたがこれまた光が黄色い。洗面所ですらメイクするには暗いと感じます。ホテルはリラックスする場所として設計されているから間接照明ばかりで光も黄色いのだそう。

そこで持って行ってよかったのが女優ミラー!
鏡にLEDライトが付いているので、暗い部屋でも顔に影ができず、メイクしやすいです。事前にアマゾンで2,000円くらいで購入しました。女優ミラーで検索すると似たようなものが自分たくさん出てくる出てくる…。
どれもほぼ同じに見えるのですが、
・三面鏡になっていて閉じられること
・角度を自由に変えられること
・乾電池でも使用可能なこと
・商品説明の日本語がおかしくないこと
を基準に選びました。

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ちょっとかさばるのが難点です。
一応、ダイソーで300円のLEDライト付きミニミラーも持っていきました。

自分のメイクが終わったら次は母親のメイク。普段は化粧っけのない母親ですが、たくさん撮られる写真に備えてバッチリメイクをご所望でした。黒留袖に顔が負けないないように、顔立ちをはっきりさせる方がいいですよね。髪もアップにするのだし。
母親の化粧品選びにはだいぶ口を出して、事前に色々と買わせていました。基本プチプラで、口紅はSHISEIDOのラッカーインクリップシャイン 307番をカウンターで一緒に選びました。

さて、2人分のメイクが終わったらネイルシールを貼ってトップコートを塗り、一息。この時点でちょっと疲れてる。笑
前開きの服に着替えてホテル内の美容室へ向かいます。

◆ヘアセット


「アップにして下の方でまとめて、きちんと感も欲しいけどルーズすぎず緩さもある感じで…」というふわっとしたオーダーでもなんとなく雰囲気を察していただきました。
私は前髪がないのですが、2週間ほど前のヘアカットの時に担当の美容師さんに振袖を着ることを伝え、サイドと耳前を1束ずつ他の髪より少し短くしてもらっていました(巻く用に)。それを伝えたところ、耳前の束がなかなか見つからず、「これか?違うね。これかな?」と、2人がかりの捜索に。しかもせっかく見つけ出して巻いてくれたのに、マスクをすると紐に巻き込まれて結局耳の後ろにかかってしまうという誤算。ちょっと申し訳なかった。

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(ピンクで囲ったのが例の1束)
アクセサリーはシンプルなパール風にしました。

美容師さん曰く、成人式以外で着なかったからと既婚になってからも振袖の着付けに来る人はいるとのこと。人の振袖姿を見るのが好きなので、その風潮ぜひぜひ広まってほしい。

◆着付け


着付けは美容室内の別室で。
まずは足袋。足袋のホックがなかなか留められない。
次に、肌襦袢を着て胴にタオルとガーゼをぐるぐる巻かれます。成人式の時の方がタオルをたくさん詰められた覚えがあるのですが、つまり、寸胴になった?……着付師さんによることにしましょう。
その上に長襦袢。袖が長いので重さがあります。
そこに振袖がどん。
お、重たい……。
そうだ、振袖ってこんな重さだった、とこの時思い出しました。
紐をいくつか絞められて、仕上げに帯。
ググーッとこれでもかと締め上げられます。さすがにこれまでの紐とは次元が違う苦しさ。
着付師さん「大丈夫?キツい?」
私「キツいです……」
着付師さん「でもこんなものだから!どうしても苦しかったら言って!」
私「はい……」
帯を巻いてもらう間、着物の袖が邪魔にならないよう、袖を自分で持って腕を上げておくのですが、これもキツい。だんだん腕がプルプルして下がってしまう。着付師さんも私の腕に紐やら小道具をかけて、ハンガー状態です。
母の留袖の着付けを終えた着付師さん達もわらわらと集まって、最終的に3人がかりの仕上げとなりました。

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帯の結び方は特に何もオーダーしていなかったのですが、リボン風の凝った形にしてくれました!成人式の時よりも華やかな仕上がりで、帯の苦しさも忘れててテンション上がりました。
最後にお手洗いへの行き方を教わって、着付け完了です。予定より早く着付けできて、「着崩れてしまったらここ(美容室)にくれば直せるからねー!」と言っていただいたのもありがたかったです。

◆挙式・披露宴


式・披露宴ともに親族のみで行われました。少人数で派手さはありませんが、和やかで落ち着いた兄夫婦らしいものでした。友人・仕事の人が多い披露宴ではそちらが前の方に座り、親族の方は後ろでどっしり構えていることになりますが、今回は誰にも遠慮することなく新郎新婦とコミュニケーションが取れたのが親族にとっては嬉しいポイントでした。

そして実は今回、私にはいくつかお役目がありました。
①受付係
結婚式の受付は一度やってみたかったのです。兄に頼まれて即OKしました。新婦側は新婦の弟君です。受け渡しで手元を見られると思い、ネイルにこだわったのもこのためです。親族のみで少数なので気楽なものでしたが、要領は得たので、これからどなたでも受付のご指名ウェルカムです!
余談ですが、伯母のご祝儀袋とご芳名帳の記帳の字がとても綺麗で感動して、筆ペンを習いたくなりました。

②新郎の中座のエスコート役
新郎の中座のエスコートは祖母と2人で。兄と私の間に祖母を挟んで手を繋いで退場しました。祖母は高齢で色々と不自由なのですが、この時は足取りも手を握る力もしっかりしていて、昔の強い祖母が戻ってきたような気がしました。
そして退場した後ってロビーで写真を撮ってもらえらのですね。知りませんでした。

③家族のカメラ係
家の一眼を持って家族のカメラ担当として写真を撮りまくりました。そしてそそっかしく立ち上がった時に袖を踏んでビリッとやらかしたり……。(見た目にはわからなかったためそのままにしておきましたが、後で脇の縫い目が切れていました。幸い、絹は破れていなかったので自宅で手縫いできました)


◆周りの反応などなど

しばらくぶりに会った親戚に振袖を褒めてもらい、写真もたくさん撮ってもらいました。普通のワンピースならきっとこうはならなかったので、振袖には写真を撮りたくなる特別な華やかさがあるのだと思います。
こぢんまりとした式・披露宴でしたが、母が「その分振袖が華やかにしてくた」と言ってくれたので着たかいもあるというものです。今回、振袖を着て一番喜んでくれたのが母です。私の着付けが終わった時点で半泣き。「着てくれてよかった」と何度も何度も言うのです。この喜びようは予想外。もともと母は独身の時に友人の結婚式で何度もこの振袖を着たそうなので、思い入れもあるのでしょう。母のこの言葉だけで振袖を着てよかったなぁと思いました。父は口下手な頑固おやじなのでノーコメントでした。笑

◆気をつけること


以下、個人的に思った注意点です。もしこれから振袖を着たいと思われたときの参考になれば幸いです。
・荷物の多さ
式場で着付けをするなら数日前に着物一式を送っておくのが一般的だと思います。帰りには、着物一式分の荷物が増えるので注意。めちゃめちゃ重たいです。帰りも宅配便で送るか、車が必要です。

・新婦さんの衣装
たまに振袖を着る新婦さんもいるそうなので被らないように注意。私は事前に新婦さんはドレスしか着ないことを確認していました。新婦さんが色打掛なら、色が被らないようにするのがよいかもしれません。

・お料理
披露宴ではコースの最後の方の料理が苦しくて食べきれませんでした。おいしい料理を心置きなく食べたい人には向かないかも。

・暑さ
あたりまえだけど暑いです。私が着たのは最高気温が27度くらいの6月で、ホテルから一歩も外に出なかったため、汗をかくほどの暑さは感じませんでしたが、外の移動や屋外での挙式があったら無理だったと思います。

・着物の後片付け
披露宴が終わり、泊まっていた部屋で振袖を脱ぎました。帯から解放されて寝っ転がりたくなりますが、片付けが肝心です。着物の畳み方、何度やっても忘れてしまうので母にまた習いながら畳みました。手伝ってくれる人がいない場合、しまい方の予行演習をしておいた方がいいです。当日に帰るなら時間にも余裕を持たせましょう。また、帰宅したら綿の肌着や紐は洗濯機で洗い、絹の長襦袢と振袖はクリーニングに出します。

◆最後に

振袖のためにいろいろと準備して、それがなかなかうまくいって、一つ目標をクリアしたような充実感です。ネットに情報が少なかった分、試行錯誤のしがいがありました。
試しにインターネットで「振袖 メイク」と検索してみていただきたいのですが、見事に新成人向けの情報しか出てきません。今回は、訪問着や色留袖を着る人向けのアドバイスを少し華やかめに調整する形で振袖に落とし込んでみました。大人の礼服としての振袖の着方がもっと広まればいいな。
お母さんの振袖を受け継いだ方、二十歳の時に振袖を買った方、レンタルしてみようかなーという方、ぜひ着ましょう!自分も楽しめますし、周囲の人もきっと喜んでくれますよ!

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