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農民が怖くて怖くて・・ 映画『七人の侍』ネタバレあり〜映画感想文〜

七人の侍(1954年製作の映画)上映日:1954年04月26日 上映時間:207分
監督 黒澤明
脚本 黒澤明 橋本忍 小国英雄
出演者 三船敏郎 志村喬 津島恵子 藤原釜足 加東大介 木村功 千秋実 宮口精二 小杉義男 左卜全



恥ずかしながら初めて見ました。

めちゃくちゃ面白いですね。
何がって、ほぼ全要素が。

箇条書きにしていくと
⚫︎農民の怖さ
⚫︎各キャラの奥行き、面白さ
⚫︎アクションの凄さ(何人か骨折してるはず)
⚫︎画面の面白さ
⚫︎話の面白さ
⚫︎サスペンス
⚫︎どんどん死んでく悲しさ
⚫︎そして、やはり農民の怖さ

下足の男(多々良純)の感動セリフ

「お侍、これ見てくれ、こいつぁお前さんたちの食い分だ。 ところがこの抜作どもはヒエ食ってんだ。 自分たちはヒエ食って、お前さんたちには白いめしを喰わせてんだ!」

多々良純演じる下足の男は、それまで、護衛のために侍を雇おうとしている農民たちを馬鹿にしてきた。
気位の高い武士たちが、以下に浪人になろうとも、白米を恵んでくれるからって百姓に雇われるなんてそんなこと受けるはずがないと。

しかし実際に侍である官兵衛が「やっぱ微妙だなぁ」みたいな空気出してきたら、一転!
上記のセリフですよ。農民の苦しさを涙ながらに代弁してくれる。

ストレートに感動しましたし、話が上手い。うますぎる。。


【宣伝】


サンエイムックス『映画大解剖シリーズ』Vol.7 アクション映画大解剖 にて七人の侍の 映画イラスト描かせていただきました。よろしければどうか。。
https://www.blogger.com/blog/post/edit/8596378005524649551/7565900008755784596


日本語字幕版をぜひ

三船敏郎が大声で話すとほとんど何喋ってんのかわかんないし、、左卜全は普通に喋ってても全部何言ってんのかわかんない。。

https://twitter.com/fukui164/status/1671792526720917504


勢いやリアルさを優先したんだろうし実際聞き取れなくても話はわかるので、字幕なくても大丈夫です。

ただ、聞きたいのに聞き取れないってのは結構なストレスなのでレンタルDVDなどで日本語字幕がついているバージョンを観れるのならそれをオススメします。
(僕は後日ツタヤで字幕ついてる版をレンタルしました)

あとは『七人の侍』の名台詞集がweb上にあるので、それを見れば「あ〜こう言ってたのか」と知ることができますよ。


農民の怖さ

『七人の侍』について今更あそこが良かったとかを僕なんかがダラダラと書く気にはならないんですけど、やっぱ書きたいのは「農民の怖さ」。


ネタバレは以下に


志村喬演じる官兵衛がラストで
「勝ったのは百姓たちだ。ワシたちではない…」と言います。

このセリフは知っていましたが、もっとスカッとしたセリフなのかと思っていました。
侍たちが農民を讃えるような意味合いで言っているセリフかと。

違いましたね。
まぁはっきり言って農民たちはずるいというか、
うまく侍たちを雇って侍のほとんどが死んで、
野武士は40人全部退治できたから
あ〜良かったなぁて感じでノリノリで田植えして映画終わり。

「あ〜全部農民たちの思い通りだったなぁ…」みたいな意味での
「勝ったのは百姓たちだ。ワシたちではない…」だったんですね。

「弱者でございますぅ」みたいな雰囲気(実際弱者だし大変だんけど)バリバリ出してるけど、
実は野武士を殺したり、その鎧などを隠し持っていたり、
半殺しの野武士をおばあちゃんが鍬でトドメを刺したりと
映画の前半でも農民たちの不気味な怖さは描かれていました。

愚直という言葉は農民にぴったりだけど、
愚直という言葉には末恐ろしさもありますよね。。

結局はこの農民像を描きたかったのでは?と思いました。
もちろん話の大筋は活劇なんだけど、
ただの素直で弱い農民でも良かったはずなのに、
この恐ろしい農民像。。
これがいいですよね。

これは傑作映画だ!(←みんな知ってる)

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