見出し画像

ネタバレ&あらすじアリ 大林宣彦監督の反戦映画『HOUSE ハウス』 〜映画イラスト〜

映画 HOUSE ハウス(1977年製作の映画) 上映時間:88分
監督 大林宣彦
脚本 桂千穂
出演者  池上季実子 大場久美子 神保美喜 笹沢左保 宮古昌代 南田洋子 松原愛 佐藤美恵子 田中エリ子 尾崎紀世彦


先日、逝去なされた大林宣彦監督の長編デビュー作。

画像1
画像2
画像3
画像4

恥ずかしながら僕は大林監督の映画を一本も観たことがなかったのです。

そもそも世代ではないですし、、、
近年のアヴァンギャルドでブレイクスルーな作品群の存在も知ってはいたものの
かなりハードルが高くてずっと手を出せずにおりました。。

いよいよ観るぞ!と思っていた時に、訃報。。

悲しいけれど僕からすると大林監督との関係はこれからなのです!

てことでHOUSE ハウス」観ました!!

****

四コマ映画「HOUSE ハウス」 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2500

****

88分だったんですね!


観終わってからの衝撃波が強すぎて。。
もうイントロからしてハチャメチャですよ。
四コマ映画に入れ込めた部分なんてほ〜〜んの触りです。

池上季実子が「キュイ〜〜ン!キュイキュ〜〜ン!」という効果音と共にクルクル回ると部屋着に着替えている、という謎の早着替えのシーンとか、

ハウスガールたち(主人公の少女たち)が横一列になってハイテンションで謎の会話を披露するシーンとか、

T.M.Revolutionばりにずっと正面から風を受けてスカーフなびかせる鰐淵晴子とか、

いざというとき役にたたない日本のおじさん代表を演じた尾崎紀世彦とか

戦争が正義だと信じざるを得なくて戦ってきたけどいざ自分が乗ってる戦闘機が撃たれて墜落する!ってなるとめっちゃくちゃ死ぬの怖いしめっちゃ悔しいんだけどここで泣き叫んだら祖国に命を捧げることが使命だと信じてきた自分や自分についてきた部下たちを裏切ることになる、あ〜でも故郷に残してきたフィアンセがどうしても頭に浮かんでしまう!と逡巡した結果、もんんんんのすごく無表情のまま墜落していく三浦友和とか、

怒涛の展開の中に無駄なシーン(失礼)と重要なシーンがほとんど同じ扱いで羅列されていく。

****

トンデモ映画であることには違いない。


こんなにもエネルギーに満ち溢れてて映画というものを楽しみ切って、愛や反戦のメッセージをぎゅうぎゅうに込めた映画を僕は観たことなかったです。

1977年製作。僕が生まれる一年前。

****

わたくし、大林宣彦、はじめました。

四コマ映画「HOUSE ハウス」 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2500

ネタバレは以下に。






オシャレ- 池上季実子
ファンタ - 大場久美子
ガリ - 松原愛
クンフー - 神保美喜
マック - 佐藤美恵子
スウィート - 宮子昌代
メロディー - 田中エリ子

すごいあだ名を持った七人の少女。

オシャレ「熱いわ、早く撮って」
演劇部のオシャレとファンタが教室で撮影をしている。
オシャレはマリア様っぽい風貌で顔の近くにロウソク。そりゃ熱い。
ファンタ「オッケー」と言い、撮影終了。

残像を残して教室を後にする2人。
(死を予感させる演出とも言えなくない)

***

演劇部は合宿に行く予定。
オシャレだけは父親と軽井沢旅行。
楽しみ。みんな羨ましがる。

***

オシャレが家に帰ると父親がいる。
父親とは仲良し。
しかし鰐淵晴子が出てくる。
常に風を正面から受けている。スカーフが揺れる。モデル風。

8年前に母を亡くしている。
鰐淵晴子は父の新しい恋人。結婚しようとしてる。

オシャレ「私絶対軽井沢なんか行かないんだからっ!」とブチギレ。

オシャレは鰐淵晴子に心を開かない。
鰐淵晴子はオシャレと仲良くしたいのに。

***

オシャレ、自分の部屋。
「キュイ〜〜ン!キュイキュ〜〜ン!」という効果音と共にクルクル回ると部屋着に着替えている、という謎の早着替えのシーン。

昔の家族写真を見返す。
「おばちゃまどうしてるかしら」
おば(南田洋子)に思いを馳せる。

***

学校。少女7人。横一列になって会話。
「ちょっぴり可愛いよ先生(尾崎紀世彦のこと)♡」
「お主たちやめんか!」
「調子いい!」
「アハハハ!」
恐怖さえ覚えるほどにファンシーな会話を早口で繰り広げる。

***

合宿は中止。みんな残念。
ファンタ「先生をいじめないで」
ファンタは先生が好き。

オシャレ「みんな静かにして!私と一緒に軽井沢へこない?おばちゃまのとこよ。ママの田舎へ。」

***

オシャレ、おばに手紙を書く。
みんなで泊まりに行きたい旨。

数日後、
「いらっしゃい。あなたからの手紙をそれはそれは待っていたのよ、オシャレさん」とおばから返事が届く。

***

父「私が甘やかしすぎたんだな」
鰐淵晴子「私もしばらくしたらオシャレちゃんのとこへ行くわ。私きっと取り戻してみせる、あの子の神秘的な笑顔を」

***

東京の町の風景。
なぜかヒッピーっぽい。空想の東京。
ボケ担当の尾崎紀世彦が階段から落ちる。

東京駅。異様なビル群。
大林監督のカメオ出演。

少女7人、特急列車に乗る。
座席にオシャレの飼い猫がいた。

***

おばの青春時代の回想。

おばさまのフィアンセ(三浦友和)の乗った戦闘機が撃たれて墜落。
フィアンセは帰ってこなかった。
おばさまは広い屋敷にひとり暮らし。

***

戦争が正義だと信じざるを得なくて戦ってきたけどいざ自分が乗ってる戦闘機が撃たれて墜落する!ってなるとめっちゃくちゃ死ぬの怖いしめっちゃ悔しいんだけどここで泣き叫んだら祖国に命を捧げることが使命だと信じてきた自分や自分についてきた部下たちを裏切ることになる、あ〜でも故郷に残してきたフィアンセがどうしても頭に浮かんでしまう!と逡巡した結果、もんんんんのすごく無表情のまま墜落していく三浦友和。

***

屋敷までの道のり、鬱蒼とした森林を抜ける。
「なんかお化けが出そう」
「オカルト現象なんてこの世にないわ」
「私たち不思議な世界に迷い込んだんじゃないかしら」

***

「あんたお屋敷のお嬢さんの姪御さんだろ?目の当たりがそっくりだ」
スイカ屋の店主、小林亜星。

「お嬢さんもきっと喜ばれるなぁ」

***

屋敷に到着。おば登場。

ファンタがカメラで撮影しようとすると猫の目が光ってカメラが宙に浮かんで地面に落ちる。壊れてしまう。
ファンタ落ち込む。

おば「悲しまないで。私はみんなが来てくれて嬉しいんだから。笑って」
めちゃくちゃな理論で慰めるおば。

***

玄関に入るとシャンデリアのガラスがいくつも落ちてきて少女たちを攻撃する。
でも大丈夫。クンフーがカンフーで防御。
クンフーのBGMがダサい。
今度何度も使われる。
聞くほどにクセになる。

***

オシャレ「おばさまもう誰も訪ねてこないの?」
おば「寂しかったわ。でもこうして皆様がきてくれたの。良かったわ」

車椅子に座っているおばさまの膝に、映画撮影スタッフが猫を投げ込む。なかなかの勢いで。

***

ガリ「私は先生が来るまでリーダーね」
おば「マックちゃん、丸々太って美味しそう」

みんなでご飯食べる。
おばは食べない。

***

ファンタが井戸の中で冷やしていたスイカを取り出す。

出てきたのはスイカではなくマックの首。青ざめている。
マックはファンタの首に噛みつく。

「きゃ〜〜〜」

おば「どうなさったの」
ファ「生首生首生首生首生首生首生首」
「生麦生米生卵?」

「私が見てくるわ」とスクッと立ち上がるおば。マックを食べてちょっと元気になっているおば。

***

みんなでスイカ食べる。
おばの口の中にマックの目玉。シャクシャク音を鳴らして目玉食べる。

それを見て「え〜」ってな表情のファンタ。

誰もファンタのいうことを信じない。ファンタも自分で信じられない。

***

クンフー「田舎っていいなぁ」
風呂に入ってるオシャレの背中に黒髪がまとわりつく。

***

クンフー、薪割り。

薪がクンフーを攻撃してくる。
でも大丈夫。クンフーがカンフーで防御。
あのBGM。
クンフー「気のせいかな」
なんでだよ。

***

踊るおばさま。元気。
おばさまが冷蔵庫に入る。
次の瞬間屋根裏へ。
骸骨と踊ってからマックの左手をシャクシャク食べる。
死んだ金魚を蘇生させてフフフと笑ってからアクビ。
やりたい放題。

***

オシャレ、家の中を探検。
フィアンセ(三浦友和)の写真を見てニッコリ。
おばの化粧台を触りまくる。

***

メロディがピアノを弾く。

それをBGMにしておばの口紅を勝手に引くオシャレ。
鏡の中の自分がおばに変化。
鏡が割れて鏡から血が流れる。
オシャレの顔がひび割れて燃える。

***

メロディのピアノに合わせて踊る骸骨。
鍵盤が光る。

***

スウィートが布団に襲われる。
下から撮影してるからスカートの中丸見えなんですけど。。

***

メロディは指にケガ。

***

スウィートが裸の人形に変化。

「私たち今に誰もいなくなってしまうわ!」
やっとことの重大さに気づいた少女たち。

「先生が助けに来てくれるかもよ、あれでも男よ!」

白馬に乗った尾崎紀世彦の妄想シーン。

****

オシャレはボ〜ッとしてる。

駐在所に電話をかけようとするが掛からないので、オシャレが直接駐在所に警察を呼びに行く。

オシャレにはおばが乗り移っている。

オシャレ(おば)「一歩も出ちゃダメよ」
「私たちを置いて行かないで!」

***

家の窓や扉が全部閉まる。

歌いながら森の中を歩くオシャレ(おば)。

***

カンフーを使っても扉は開かない。

「おば様に開け方を聞けばいいのよ」
家の中でおばを探す。

棚からホルマリン漬けの手が出てくる。
「これマックのリボンよ!」
「ひょっとして」
「きゃー」

***

メロディがピアノを弾いてみんなを落ち着かせる。

ガリ「ファンタが怖がって気絶するから言えないわ」

ピアノに合わせてオシャレの歌が聞こえる。
「オシャレ帰ってきてたのね」

***

オシャレを探しにいくガリとクンフー。

オシャレ(おば)は白無垢を着ていた。

***

メロディはピアノに攻撃を受ける。
指がちぎれ、ピアノに食べられる。
バラバラに。
笑うメロディ。切れた自分の足を見て「わぁ、卑猥ね〜」とメロディ。

***

仕掛け時計の中にスウィートが閉じ込められている。
クンフー「スウィート、ごめんね」
溶けていくスウィート。
ガリ「こんなことがあっていいものか!」

***

メロディの指だけがピアノ弾いてる。
逃げるガリとクンフー。
気絶してるファンタ。
「私たち3人、力を合わせるしかないのよ」

***

尾崎紀世彦、屋台でラーメン食ってる。
寅さんそっくりの人が寅さんのマネ。
倍賞千恵子の声も聞こえる。
先生、全然家に来そうもない。

***

ガリが本(おばの日記?)を読む
「あの人は戦死なんかしていない。だって約束したもの」

***

オシャレ(おば)のデカ顔登場。
「オシャレ!」

「おばさまはもう何年も前に死んだのよ。私はおばちゃまの世界に来てしまったの」とオシャレ(おば)。

でかい唇登場。
クンフー「唇だ!デカすぎる」と見たままを言う。

オシャレ(おば)「おばちゃまはお嫁に行きたい一心で死んでも生きられる体になったの。嫁入り前の女の子たちが来るとみんな食べてしまうの。その夜だけ花嫁になれるのよ!」

「おとなしく食べられて頂戴」

いろんな家具が飛んでくる。
クンフーのBGM。
クンフーが戦う。

クンフーと白無垢のオシャレ(おば)の一騎打ち。

ガリ「クンフー!シロ(猫)よ!シロをやっつけるのよ!」

直後照明に食べられてしまうクンフー。
しかし足だけになったクンフーが猫にキック。
猫から大量の血が出てくる。家が血の海に。

ガリとファンタ。畳に乗って血の海に浮かぶ。
「先生が来てくれるわよ!」

***

先生近くまで来てるっぽいけど
「家なんて全然ねーじゃねーか」

小林亜星に道を聞く。
「食べられた!食べられた!」と言って小林亜星が骸骨になる。

それを見てビックリした先生はバグってしまう。

***

ガリは眼鏡を血の海に落としてしまう。
拾おうとして自分も血の海に落ちる。
服が溶けて、全裸に。
全裸で浮遊する様子をしばらく写す。おいおい、大林監督ぅ!
その後、体が溶ける。

残りはファンタのみ。

ニヤリとするオシャレ(おば)。

***

ファンタ、畳の上で泣き叫ぶ。
オシャレに助けを求めるが、水に映ったオシャレの顔はおばの顔。

オシャレ(おば)に抱かれて眠るファンタ。
ファンタ「眠りた〜い、ママ」
オシャレ(おば)の目が緑色に光る。

***

鰐淵晴子が車で屋敷に到着。

謎の日本語の歌が流れる。

早く家に行って欲しいのにものすごくゆっくり歩く。
常に風を正面から受けている。スカーフが揺れる。モデル風。

スイカ屋の前。
先生の車。
先生はなんかソーセージの集合体みたいな化け物になっている。
そしてやっと屋敷に着く鰐淵晴子。

***

鰐淵晴子「ごめんくださ〜い」と上品に。
中に入る。美しい庭を優雅に歩く。

後ろから着物を着たオシャレ(おば)。
「オシャレちゃん!」
「おはようございます」
「オシャレちゃん!(嬉)」
オシャレがにこやかに挨拶してくれて喜ぶ。

大きな雨戸を時間をかけて開け続けるオシャレ(おば)。

〜今日からこの家に嫁いできませんか 2人暮らしましょう〜という歌詞の歌がBGM。

オシャレ(おば)「どうぞお座りください」
鰐淵晴子「ところで皆様はどうなさったの?」
オシャレ(おば)「みなさん、起きてまいりますわ。お腹が空きますとね」
鰐淵晴子、燃える。

****

ナレーション。

たとえ肉体が滅んでも、人はいつまでも誰かの心の中にその人への想いとともに生き続けている。
だから、愛の物語はいつまでも語り継がれていかなければならない。
愛する人の命を永遠(とわ)に生きながらえさせるために。
永遠の命。
失われることのない人の想い。
たった一つの約束。
それが愛。

***

エンドロール。
池上季実子のイメージビデオのような映像が続き、
その後、残りの6人がワンポーズずつ決めていく。

スタッフロールがハウスに喰われていく。

三浦友和
檀ふみ
ゴダイゴ
友情出演
の文字

終わり。



HOUSE ハウス(1977年製作の映画) 上映時間:88分


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?