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ブルージェイとは 映画『ブルー・ジェイ』ネタバレあり

ブルー・ジェイ(2016年製作の映画)Blue Jay 製作国:アメリカ上映時間:80分
監督 アレクサンドル・レーマン
脚本 マーク・デュプラス
出演者 マーク・デュプラス サラ・ポールソン クルー・ギャラガー


マーク・デュプラスとジェイ・デュプラスのデュプラス兄弟

卵ブホッ!

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デュプラス兄弟はNetflixと4本の映画制作の契約を結んでいて、今作は一作目。

二作目は名作『パドルトン』
観てね。


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『パドルトン』は名作ですけど
これはちょっと初期衝動で暴発的に撮った感じがあります。

その初期衝動の魅力は強くあります。

出演者はほぼ2人のセリフ劇。
長回しも多く。
カメラは2台の切り返し多用。


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ずっと演劇っぽい。


撮影方法も演劇っぽいんだけど
主役2人も演劇っぽい。

どこまで意図的なのかはわからないけど
この2人はある意味ずっと演技をしている2人なので演劇的であることは、キャラクターと合致してる。

この2人はずっと「イフ」を演じてる。
あったかも知れない別の世界線の自分達を演じてる。

中盤は完全に台本のある芝居を始めますからね。
演じている2人、なのは事実でしょう。


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なぜこの2人が過去に別れてしまったのか、


そして再会した時にどうしてあんなにも気まずかったのか、
は2人が演技をやめた時にやっと明かされます。

なるほど、それはなかなかだわ。。
そりゃずっと引っ張ってきただけある重い過去だわ、と思いました。。


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マーク・デュプラスとサラ・ポールソンの演技が素晴らしい。

エチュードなのかなと思わせるような緊張感というか、自由さもあって、この2人の掛け合いはいくら観ていても飽きない。

ちょっと臭いかな、ちょっと長いかな、と思うシークエンスもあるんだけど
前述の通りこの2人はずっと演じてなきゃいけないので
臭いのも平気だし
むしろ長いのは(2人にとっては演技を続けられるので)ありがたい。


25分くらいの短編の方が良かったのではと思ったりもしたけど
やはりラストに明かされる過去の重さを表現するには
観客が「長い」と思うくらいの時間の質量は必要だったんだと思います。


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ネタバレは以下に


2人が付き合っていた若い頃、望まぬ妊娠をしてしまった。

ジムはことの重大さを受け止めきれずサラに能天気な励ましの手紙を送ってしまう。

サラは自分の体が変化し、自分の中に別の命が宿っていることに怯え、自分の人生が急に劇的に変わることに恐怖を感じている中、
ジムからの手紙を読んで
「あまりにも若すぎる」と一人で堕胎を選択した。

ジムは「勝手に」「恐ろしいこと」を実行したサラを許せなかった。

ジムは自分の子供でもあったのに堕胎したサラを許せず、2人は別れた。

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ちなみに
主演のマーク・デュプラスと
彼の兄で映画の共同制作者でもあるジェイ・デュプラスはカトリックの家庭に育ったとのこと。

カトリックでは堕胎は禁止されている。

この映画では堕胎を禁忌として描いているとは思えない。
むしろ女性の権利、母体の保護を訴えている映画だと思う。

マーク兄弟が主人公のジムに自分達を投影したのかはわからないけど
以前は家庭の宗教を信じて堕胎を悪だと考えていたけど
今では考えを改めたよ、という映画のように思える。

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兄の名前がjay でタイトルが『Blue Jay』なので、この物語は兄の後悔の物語なのかと思いましたが、

Blue Jayはアオカスケという鳥の名前なんですね。

Blue Jay Streetってのはこの映画の舞台であるカルフォルニアの地名なのだそう。

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