「笑えよ」という圧力 映画『笑いのカイブツ』
「笑いのカイブツ」って言葉って10数年前くらいだったら
20時とか21時からの民放お笑い番組のタイトルになっていてもおかしくないくらいに
ポップにも感じられたと思うんですけど、
今や「笑いのカイブツ」って自然と恐怖や狂気を感じる言葉になってしまってると思います。
「笑い」ってのがノーテンキなものではなくて、
ある種の脅迫のような、
支配構造を押し付けてくるような、
暴力的な一面も「笑い」には感じられるようになってしまったと思います。
「お笑い」の権威が揺らいでいる昨今、ヒリヒリする映画でした。
**
電気ストーブがずっと怖かった。。
夏でもビニールかけて見えるとこ置いてあったもんね。
じんわりとした怖さの演出ツールでした。
**
やっぱイントロが良い映画ってだいたいその後も大丈夫ですね。
今作もイントロ良かった。
全体的にロケも良くて、
大阪や東京の見慣れた街並みのはずなのに
ちょっとした地獄に見えた。
**
結構好きな映画です。
主人公の(めちゃ雑な括りですが)オタク性が
物語のカタルシスや観客の共感を毎度毎度逃がしていく。。
それがとても好きでした。
僕の中にもある醜く幼く利己的で排他的な部分が抽出されたような主人公。
できれば見たくないし嫌っていたい。
そんなヤツが主人公。。
**
これ系の映画でナルチシズムに陥ってる映画はよくあって
それらはとても苦手なんですが、、
この映画の主人公の突き放し感、
でも切り捨て切れない感が好きです。
**
仲野太賀と菅田将暉を助演で使うなんてドーピングですよ。。
しかもこんなにもバリバリに力発揮させちゃって。。
とくに菅田将暉はまた新たな一面を見れた気がします。
再登場してきたシーンではぼろぼろ泣いてしまいましたよ。
漫才も素晴らしかったですね。
とくに太賀の相方の板橋駿谷。
太賀なら漫才できそうと思っちゃってる時点で太賀が凄すぎなんですが、
漫才のボケを俳優がやるって相当ハードル高いはずなんですよ、板橋駿谷。
観た瞬間に愛せるキャラじゃないと無理だと思うんですよね、
それを板橋駿谷は存在感でクリアしちゃってる。。
**
僕はとかげさんの
「シャー!今の猫やねん」(でしたっけ…)で吹き出して笑ってしまいました。。
**
日本のキリアン・マーフィーこと、岡山天音さんのさらなるご活躍を期待しております!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?