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ただ単にそういう人だったと思うことは無理ですか 映画『ドライブ・マイ・カー』 ~映画イラスト~

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
監督 濱口竜介
脚本 濱口竜介 大江崇允
原作 村上春樹
出演者 西島秀俊 三浦透子 岡田将生 霧島れいか


無理


濱口竜介と深田晃司は無理なんです。
素晴らしさに飲み込まれてしまって無理なんです。言葉にできない(オフコース)。

大体の映画は強く感動しても流石に数日経てば落ち着いてきて、文章化できる状態になるんですけど、この2人の映画は無理。

ずっと飲み込まれた状態のままだし、この状態のままいたいという気持ちもある。


情報量よ

この『ドライブ・マイ・カー』は描く物語の量も多いし、手法の数も多い。

ものすごくたくさんのことをそれぞれじっくり時間をかけてやってる。だから179分。

でも飽きない。話がどんどん展開していくから。


四コマ映画『ドライブ・マイ・カー』

 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2785



画像1

 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2785


鏡の演出も多かったですね。

鏡に映った自分を他人に見られてる時の顔って、
他人に見られることを想定していない角度の自分の顔なんすよね。

ただ単にそういう人だったと思うことは無理ですか

ドライバーの渡利みさきのセリフ「ただ単にそういう人だったと思うことは無理ですか」が好き。

何が好きなのかもよくわかんないんだけど、「自分以外の人のことをそんなにわかろうとすんなよ」的な感じが好きなのかも。

●●をするその人も○○をするその人もその人の中では矛盾がないんじゃないですか 的なセリフに続いていくのもいい。

その人の中にも矛盾があるけどその矛盾もそのまま受け入れましょうよ、ってことじゃなくて
その人の中では矛盾はないかもしれないですよ っていうのが好き。

結局他人のことは何にもわからないんですよ ってのが嬉しい。


コミュニケーションの難しさと希望

この映画が描いていることの一つは、コミュニケーションの難しさと希望だと思います。

手話をも含んだ多様な言語での演劇を通してコミュニケーションについて考察しているんですが、
どうにか他人とのコミュニケーションを成立させようとすることと同時に上記のセリフのように「他人を理解するなんて無理だよ」という両輪が同時に回ってる感じ。

できないことはわかってるけど近づこうとする希望とか、
できないってわかっているからこそ近づけるのではという希望とか。

 分かり合うとか話し合うとかは絶対に死ぬほど大事なんだけど
「結局わかんないよね」「実際無理だよね」って思っておくことも密かに大事だよな、と。

***


あ〜長々書いてしまった。。恥ずかしい。。。



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