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図書館のお仕事紹介(14)利用案内・利用者教育

利用案内と利用者教育は、広い意味ではレファレンスサービスの一種かと思いますが、単独で紹介されることがあまりないので、項目を立ててみました。

図書館員の使命として「利用者の時間を節約する」ということがあります。
「この本が見つかりません」「探し方がわからない」といった問い合わせについては、こちらが探して本を持ってきたほうが早いので、そうすることも多いです。

ただあえて「利用者が次から自分で見つけられるよう、探し方を教える」という対応もあります。
これは状況次第で、とにかく急いでいる人からしたら「請求記号の見方なんかいいから、あんたがさっさと持ってきてくれりゃいいんだよ」となるでしょうし、一方で時間に余裕があってこれからも利用する機会の多い人は探し方を知りたいかもしれません。

「聞かれたことに対して親切に対応すると同時に、聞かなくても済むことは聞かなくても済むようにしてあげる」というのがレファレンスの極意でもあります。

図書館の使い方を教える

検索結果の画面を見て「これでどうやって探せばいいかわからない…」という人はよくいます。
「配架場所と請求記号を見ていただいて…」から始まる、その配架場所が館内のどこにあたるか、請求記号がどういう順番で並んでいるかの説明をします。配架場所が今いる館内ではない場合は取り寄せの手続方法、貸出中の場合は予約の方法も案内します。

またここ数年多いのが、Web上の利用方法の案内です。
コロナ禍で、自宅から閲覧できる電子書籍やオンラインデータベースを拡充したのですが、そうなると当然「ログイン方法がわからない」「ページがうまく表示されない」「デジタル送信サービスは使えるのか」といった問い合わせが増えることになり、こちらも不慣れな状態で試行錯誤していたところなので、苦労した記憶があります。

情報発信

利用者がいちいち聞かなくて済むよう、利用案内のリーフレットや館内掲示、図書館ホームページの情報を整備するのも重要です。

「パスファインダー」という調べ方案内を作成することもあります。
「○○について調べるには」といったタイトルで、検索ワードのヒントや参考図書、役立ちそうなウェブサイトや関係機関を紹介するものです。
紙のファイルで検索機の近くに置いてあったり、ホームページで公開されたりしています。
国立国会図書館の「リサーチ・ナビ」が有名ですね。私たち図書館員も調べものではよくお世話になっています。

図書館ツアー

旅行ガイドみたいな感じで、館内を歩きながらどこに何があるかを説明して回るツアーを開催しています。

学生や子どもが対象であることが多く、たいてい先生から言われて参加させられているうえ、私の話が超絶下手というのもあって、露骨にアクビされたりしてけっこう心が折れるのですが、まあこれだけ話せば何かひとつくらいは記憶に残るだろうと思ってがんばっています。終わると毎回くたくたになって声も出なくなります。
動線からはずれている書架はこういう機会に紹介しないと存在すら気づかれないことがありますし、あとは自慢のコレクションをアピールしたり、検索のコツを話したり、分類記号によって同じテーマの本が集まっていること、探している本がここになくても他館から取り寄せできることが多いのであきらめずに問い合わせてほしいこと、を伝えるようにしています。

まとめ

利用案内と利用者教育は、利用者にとって有用な情報を提供すると同時に、結果としてこちらがラクになる、というメリットがあります。

探し方以外にも館内でのマナーや本を大事にすること(書き込みしない、ページを折らない、自己判断で修理しない)への啓発も必要です。

窓口に座っていると、レファレンス事例集に出てくるような専門的な対応より「本って何冊まで借りられますか」とか「マイページにログインできない」みたいな質問に笑顔で答え続けるほうが比重が高かったりしますね。

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