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会話が苦手

昔から会話、とくに雑談が苦手でした。

「結論から言うと○○だと思います。理由は3つあります。まず第1に」みたいな話ならまだいいのですが、日常会話では確実に嫌われますし、子どものころからよく「理屈っぽくてかわいげがない」と言われていました。

みんながおしゃべりで盛りあがっていても、私が混ざったとたん流れをぶった切ってしまいます。
自分でもそれがわかるので、なるべく加わりません。人嫌いだと思われているかもしれませんがそうではありません。他人同士が話しているのを横で聞いているのは好きです。返答を考えたりしなくていいぶん聞くことに集中できるのです。
親切な人がいて「介助」してくれれば参加できるのですが、それはそれで大人の試合に幼児を入れてもらうようなもので、私のせいで他の人が本気でプレーできなくなって申しわけないです。

そんな私なので「女子会」などというものはサッカーワールドカップ決勝戦に出場するようなものです。目の前で展開する絶妙なスルーパス、高速のドリブル、ナイスアシスト、華麗なオーバーヘッドシュートに翻弄されるだけでボールにさわれもしません。世の中の人はどうしてあんなに会話がうまいのでしょうか。進行を促す適度な相槌。自然に発生する笑い。スムーズな話者交代。途切れることのない話題。神技です。ファミレスや玄関先でおしゃべりに興じている人たちを見ると、ジャズ・ミュージシャンの即興演奏を連想します。台本があるわけでもないのに会話にリズムがあり、コード進行があります。こんなことを特別な訓練を受けたわけでもない素人にできることが信じられません。

そもそも私は数分雑談しただけで全身冷汗ものなので、おしゃべりを楽しむ、という域に達しません。私の英語力では辞書を頼りに読解するのが精一杯で、ストーリーを楽しむところまでいかないのですが、会話だと日本語でもついていくだけで精一杯なのです。

相手が親しい関係であっても、私との会話はこんな感じです。

私「……」
相手「……」

私「(なんの脈絡もなく)そういえばアメリカザリガニの販売が禁止になるんだって」
相手「ミドリガメもね」
私「ミシシッピアカミミガメ(正式名称)」
相手「そうだっけ」

私「……」
相手「……」
(続かない)

逆に言えば私と過ごしてくれるのはこの状態に耐えられる人だけで、まずそんな人はいないので、たいてい私と会話しなければいけない状況に陥った人は適当な理由をつけていなくなってしまいます。

最後に最近おもしろかった本をご紹介します。

この本を読む限り、人間にはいろいろとすごい能力があって、無意識のうちにさまざまな技術を駆使して会話を成立させているらしいのですが、どうも私にはそのどれもなさそうです…。
たとえば「相手が話し終わるのを事前に察知し、相手とかぶらず沈黙も挟まない0.5秒以内の絶妙なタイミングで返答を始める」という能力があるらしいのですが、私はいつもそのタイミングがとれなくて人の話をさえぎってしまいます。

それでも誰かに伝えたい内容はあり、人の話を聞きたい気持ちもあるのですが、会話力という切符を持たない者には出場資格がないもので、せめてこうして文章で伝えるしかないようです。


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