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最期まで人間らしい人生を送るために ~地域包括ケアの重要性~

要介護状態となる疾患について、前々回脳卒中と認知症、前回は高齢による衰弱、転倒・骨折についてお話しました。

脳卒中・認知症はこちらhttps://note.com/fukui_cl/n/n77a62157b718
衰弱、転倒・骨折はこちらhttps://note.com/fukui_cl/n/nbe62ea1417dd

今回は要介護状態になる上記以外の原因と地域包括ケアについてみていきたいと思います。

要介護状態になるということは、身体機能になんらかの制限を受けているということになります。その点では心臓病や呼吸器疾患、がん、難病、脊髄損傷なども割合は少ないですが要介護状態になりうる疾患と言えます。

これらの疾患に共通していることは、予防することが難しいという点です。
心臓病や呼吸器疾患の中には生活習慣による影響がある物も含まれますが、がんやパーキンソン病や多発性硬化症、脊髄小脳変性症などの難病などは予防という見方だけでは難しいかもしれません。また事故による脊髄損傷や切断なども予防という点では難しい疾患だと思います。

むしろ病気といかに向き合い、よりよい人生を送るための方法を共に考えることが必要になるかもしれません。

今まで理学療法士として心臓病、呼吸器疾患、がん、難病、脊髄損傷、下肢切断など多くの患者さんを診させていただきましたが、医療と介護の連携無くして、生活することはできません。

特に人工呼吸器や胃瘻、点滴、吸引など、医療的な要素が高くなる場合は、在宅で生活する場合、訪問診療、訪問看護、訪問介護、訪問リハ、通所介護などあらゆる手段を使用する必要があります。

そこで国は地域包括ケアという考え方を進めています。

地域包括ケアとは簡単に言うと、医療や介護サービスを病院や施設ではなく在宅で受けながら、地域社会への参加や協力などを通して、高齢者を支えていく制度です。

介護予防や心身の充実など、人生を最期まで元気に過ごせるしくみをみんなで作り上げることはとても重要なことであると感じています。
しかし実際中々機能していない部分もあります。

病院と病院、病院と診療所などは連携が取れつつありますが、病院と介護施設、診療所と在宅、介護施設と在宅など、まだまだつながりが十分ではない部分があります。

我々のようなクリニックでは病院からの情報を施設や在宅に繋げる橋渡し役でもあります。

そのため、できるだけわかりやすく、そして切れ目なく繋ぐための知識やしくみが必要になります。

心臓リハビリテーションにおいても同じことが言えます。
運動は病院やクリニックだけで行うものではなく、介護施設や在宅、デイサービスなど様々な場所で行うことがありますし、行う必要があります。

その際に運動の専門家がいない場所でも、運動を安全に効果的に行ってもらう必要があります。もちろん看護師や理学療法士がおられる場所であれば言うことはないですが、そういう施設はまだ少ないのが現状です。

運動だけではなく、利用される方が不安なく過ごすための努力は、利用者の近くにいる人だけではなく、病院やクリニックにもできると考えています。

それが形になったときにはじめて地域包括ケアシステムになるのではないかと思います。

これから高齢化は進み、医療や介護の必要性はさらに高くなることが予測されます。
その中で最期まで人間らしく人生を送ることができるように、我々も精進していきたいと思います。


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