最期まで健康な人生を送るには（衰弱、転倒・骨折編）

2020年7月1日 15:45

前回脳卒中と認知症についてお話しました。

今回は要介護状態になる原因第3位の高齢による衰弱と第4位の転倒、骨折に着目したいと思います。

まず第3位の高齢による衰弱ですが、一概に衰弱といっても病的なものも含まれるため、一つにまとめることは難しいですが、ここでは加齢による身体への影響を考えていきたいと思います。

まず高齢になるにつれて体力は低下していきます。これは想像しやすいかと思います。

ここでいう体力は、長距離を歩けなくなった、素早く動けなくなった、重い物を持てなくなったということを想像してください。

大切なのは衰弱の仕方です。
年を重ねている訳ですから当然体力は落ちます。その体力の落ちるスピードが重要です。

弱り方にも種類があります。
まず基本的に病気やけがなどは無いが、だんだん動く量や食べる量が減って体力が低下する場合。これはある意味正常に近い状態です。

次に病気（脳梗塞やがん、肺炎、うつなどの精神疾患）が原因で活動量が低下してしまい、体力が低下する場合。

次に食事量が低下することにより体力が低下する場合。

他にもありますが、大きく分けるとこのくらいかと思います。

そして次に大切なのは防げるのかどうかという点です。

病気やけががない方は、食事、運動をしっかり継続して、まずは病気やけがをしないための工夫が必要です。

病気やけががある場合は、現在できている動きや活動、生活を維持できるように工夫していく必要があります。そのためにはリハビリテーションや仕事、家事などを行うことも含まれます。

食事量が減ってしまっている方は、食事量が減っている、あるいは減る要因となる因子を見つけることが大切です。単に食事量が減っているといっても、口や舌、飲み込みの問題のこともあれば、孤食や孤立、買い物や食事の用意などが問題となっている場合もあります。

最近では虚弱の状態をフレイルと言ったりします。

一度フレイルの状態になってしまうと戻すことが大変です。そのためその状態にならない努力を先にしておくことが一番大切です。

次に転倒・骨折についてです。
高齢になると転倒しやすくなります。転倒するということは骨折する可能性が高くなります。そのためこの２つはセットで考える必要があります。

しかし予防の仕方は違う面もありますので順番に見ていきます。

まず転倒ですが、場面に分けて考える必要があると思います。
①個人の体の機能の問題で転倒する場合
②環境による問題で転倒する場合

①は筋力や柔軟性、感覚、反射神経、バランスなど体の機能が低下することにより起こります。この中には認知症など、判断力なども含まれます。これには当然運動や食事などが予防になりますし、一度転倒した方も対象になります。

②はじゅうたんや段差、坂道など転倒しやすい環境により起こります。これは避けられるものと避けられないものがありますが、大切なのは自分の体と環境を観察して、回避できるかどうかということです。

例えばこの坂道は危険であるという認識があるかどうか、これくらい大丈夫だという過信が無いか、などです。その他にも転倒予防などのために手すりを付けたり、スリッパを靴に変えたり、自転車に乗らないようにするなどもあります。

２つをまとめると体の機能と落とさない努力と自分の体をしっかり認識して、環境に合わせて行動を取ることができると良いということです。

次に骨折ですが、転倒したときに骨折しないようにするためには、まず骨を丈夫にしておくことが必要です。骨粗しょう症などのように骨がもろく折れやすい状態にならないように、定期的な検査や骨が弱くならないための治療などを積極的に行うことも必要かもしれません。

高齢者で多い骨折部位としては、手首、肩、背骨、股関節、足首などですが、特に股関節などを骨折すると歩いたり、階段を利用するなどに制限が出る可能性が高くなります。

転倒や骨折を予防することは周囲の環境や関わりなどが重要になります。
介護サービスや専門家のアドバイスなどを効果的に活用していただきたいと思います。

衰弱と転倒骨折についてまとめましたが、すべてに共通することは予防することが可能であるという点です。

予防の仕方を専門家である我々や家族、地域の力を利用して学び、実践することがなにより大切であると考えています。

高齢化社会が続く中、そのような声にも答えられるよう、我々も努力していきたいと思います。

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