見出し画像

フレイル・ロコモティブシンドローム・サルコペニア 知っているようで知らない違いと介護のヒント

 フレイル、ロコモティブシンドローム、サルコペニアという言葉を聞いたことはあるでしょうか?新聞や雑誌でも取り上げられるようになり少しずつみなさんが知る機会が増えていると実感しています。


 3つの言葉は似たような意味と理解している人が多いと思いますが、違いはご存じでしょうか。違いを知って、自分が何に該当しているか、そしてその状況にならないためには何をすればよいか、生活でのヒントなどを考えていきましょう。


 まずは用語の整理です。用語の整理は図を使った方がわかりやすいため図で説明します。

フレイル


 まずフレイルですが、図でも示しているように、さまざまな要因で日常生活が障害され、要介護状態や死亡などの転帰に陥りやすい状態を指します。つまり身体・精神心理・社会と3つのいずれかの影響により社会生活や日常生活の機能が低下している状態をフレイルと表現します。

言葉に迷ったらフレイルと表現すれば間違いありません。


 身体的フレイルの中をさらに細かく分けると栄養状態、運動機能などに分けられます。運動機能障害されている状態をロコモティブシンドロームといいます。さらにロコモティブシンドロームを運動機能が低下する原因別に分けています。骨による問題(骨粗しょう症など)、関節による問題(変形性関節症、骨折など)、筋肉による問題(サルコペニアなど)に分かれます。
つまりサルコペニアはフレイルの中の、身体的フレイルの中の、ロコモティブシンドロームの中の一つの要因ということになります。

カタカナばかりでややこしいですね。


 医療従事者は「しっかり筋力を鍛えましょう」とよくいいます。それは主にサルコペニアの問題を解決するためです。もちろん筋力・筋肉を鍛えることはとても重要です。しかし図でもわかるように、フレイルを構成する要素はサルコペニアだけではありません。むしろサルコペニアよりも大切なことは他にもたくさんあります。この関連をしっかり理解することで、例えば現在、家族や身内の看護、介護をしている方は生活の中で起こる問題解決のヒントになるかもしれません。

 食事が摂れなくて栄養状態が悪い方がおられるとします。食事が摂れない原因が食欲が無いからという理由だと判断したとします。しかし実際は飲み込む力が低下しているかもしれません。うつ症状により食べることへの意欲自体が低下しているかもしれません。社会とのつながりが無いため活動量が低下し、消費エネルギーが少ないのかもしれません。変形性膝関節症の痛みにより活動性が低下し、心理的なストレスが高くなっている影響かもしれません。


 このようにさまざまな角度から問題点を探ることはとても重要です。患者さん本人を支えるためには家族だけでなく医療関係者、友人など色々な人の力が必要です。それぞれの役割を理解することで介護疲れや孤独死などは減らすことができると思います。高齢化社会真っただ中の今、一人ひとりの考え方を見直していく必要があるのかもしれません。


 サルコペニアに関連して、当院ではタニタの体組成計を用いて評価を行っております。

タニタ

 この機械では全身の筋肉量、脂肪量がわかることはもちろんですが、それらが部位別に表示されるため、効率的にトレーニングを行う上では非常に便利です。体を健康に維持するためには運動、栄養どちらも大切ですが、成果や変化がないと努力できません。努力の目安にもなりますので、診察の機会に是非ご利用ください。


ご自身の体を知って健康を維持し、生き生きした生活を送りましょう。


ふくいクリニックのホームページ

また毎月当院スタッフが行っている運動を画像付きで掲載しています

詳細はこちらから