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自分のことが大嫌いだった私が自己肯定感を持てるようになった話


20代前半、社会人になったばかりのころの私は、とにかく自分に自信がありませんでした。
人と比べては落ち込んだり、うらやましがったり。
そんな自分が嫌で、ますます自信を失うことの繰り返しでした。

25歳のとき、会社の中で希望の部署に異動になりました。
そのとき、
「よかった、ついに夢が叶った! この先は自分らしく生きられる」
と思ったのですが、実際は全くそんなことなくて。
残業につぐ残業のハードな日々。
少々のパワハラ。
「これが『ゴール』だと思ったのに」
「天職だと思ったのに」
「私が思い描いていた夢はこんなものだったのか」
理想とはだいぶ違う現実に、絶望しました。

いま振り返ると、この会社、この部署だからこその貴重で楽しい経験も沢山させていただけたなと、感謝しています。
しかし、当時はそんな風に思えるゆとりはありませんでした。
自分で希望を出して異動したくせして、その仕事を辛いと思ってしまうなんて……。
きっと自分は、この先も何をやっても続かない、どうしようもないダメ人間なんだと、どん底まで落ち込みました。

会社を思いきって辞めたのは一年後の26歳です。
辞表を出したあと、すぐお昼休憩をひとりでしに外へ出たのですが、そのときの気持ちは今でも覚えています。
空がキラキラと輝いて見えて、
地軸がぐぐぐっ……と動く感覚が確かにして。
ああ、いま自分の人生が転がりだしたんだと、はっきりと感じました。
傍から見ると、相当呆れられていたはずです。
ろくなスキルを身に着けないまま辞めるなんて。しかも既にアラサーと呼ばれる年齢にさしかかっていましたし。
でも、このときは他人から自分がどう思われているかなんて、全く気になりませんでした。

やっとやっと、まっさらな気持ちで自分の人生と向き合える!

そんな喜びが大きすぎて、わくわくでいっぱいでした。

もちろん今でも、揺らいだリ凹んだりするときがありますが、
そんなときはいつも、会社を辞めたときに確信した、

『自分の人生に向き合えるのは自分だけ』

――という、あのわくわくを思い出すようにしています。



無職になってから約四か月間、ハローワークに行く以外、仕事探しは全くしませんでした。
ライブへ行ったり、
映画を観に行ったり、
お芝居を観に行ったり、
本を読んだり、
ゲームをしたり。
「あっ、これ楽しそう」「あっ、これ見たい/読みたい/やってみたい」
と、思いたったことを、片っ端から即行動に移す! 
忙しかったら「いや、でも明日の予定もあるし……時間ができてからにしよう」と、先延ばしにしていたでしょうが、無職なので躊躇する必要もありません。 
とにかく、どんなくだらないこと、小さなことでも、
自分の「あっなんか面白そう!センサー」が反応したら即実行です。

「習い事をしてみたい」という考えにも自然といきつきました。

本屋さんで習い事情報誌をぱらりとめくり、目にとびこんできたのが、
あるシナリオスクールの広告でした。
私は、小学生のときから脚本を書くことが大好きだったのですが、
いつの間にか、そんなことをすっかり忘れていました。
まぁ試しに受講してみるか。
そんな軽いノリで通いだしたのが、会社を辞めて五か月目のことでした。

脚本の勉強をはじめると、昔の記憶や感覚がどんどんよみがえってきました。
授業、お昼の放送、クリスマス会、部活、文化祭……
小中高の12年間は、隙あらば演劇を披露していたこと、オリジナル脚本を書いていたこと。
「そうだった! 私、好きだった! 大好きだった! こんな楽しいことを忘れていたなんて!」
私は夢中で勉強しました。あまりにも夢中だから、
自分が無職であることも(※脚本家をめざそうと決意して以降はバイトを始めました)、
お金がないことも、
親に反対されていることも、
一部の友人からはバカにされて噂されているよという話も、
……不思議と全く気にならなかったです。
「もしデビューできなかったらどうしよう」
「どうせまた飽きてしまうんじゃないか」
という不安も、一瞬たりともよぎりませんでした。

思えば、

会社員時代は時間的には超ハードでしたが、心は空虚だったので、
不安や自己否定が入る隙だらけでした。

無職時代は時間的には超暇でしたが、心はわくわくでいっぱいだったので、不安や自己否定が入る隙間が一ミリもありませんでした。



こうして、勉強を始めてからちょうど一年後に、脚本家デビューが決まりました。


もちろんデビュー以降も(むしろデビュー以降こそ!)、
悩んだり自信をなくしたり、辞めようと思ったりしたことは何度となくあります。
それでもどうにかこうにか続けられているのは、
20代のときにたくさん悩んだ自分のおかげだと思っています。
とことんまで自分に絶望して、自分が大嫌いになって、自分の「底」を知ったからです。
あんなダメな自分だったけど、それでも、

①会社を辞める勇気を出せた
  →自分には決断力がある!
②仕事探しではなく、まず「楽しめること」を探せた
  →自分の人生で何に重きをおくかが見えた!
③楽しいことには夢中になれた
  →行動力、継続力もある!

――という三点には、胸を張っていい! 
それがいまだに、自分をさらなる夢へ立ち向かわせる、大きな大きなパワーになっています。

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地軸が動くような感覚を覚えたほどの大転機は、会社を辞めたときだけですが、ほかにも「あ、いま人生がころんと転がりだした!」と感じた瞬間は、大小、幾度となくあります。
いい方に転じたときもあれば、大失敗な方向へ転がったときも……。
そのとき学んだいろいろを、この先も書いていけたらと思っています。

自分に自信が持てなかったり、
やりたいことをどう行動に移したらいいかわからなかったり、
そもそも何をやりたいか見えなくなってきたり……、
かつての私と同じように、悩み立ちどまる方の心に、ちょこっとでもひっかかってもらえたら嬉しいです。

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