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大槌町地域おこし協力隊 福島隊員活動報告(2024年9月号)

福島です。急に寒くなったなと思い鍋を作った翌日の最高気温が30℃で困ってしまう日々を過ごしていました。作り置きをコンロ上に放置しても大丈夫な冬の寒さがちょっと待ち遠しいです。
9月の活動報告です。最後までお読み頂けると嬉しいです。
(画像はおしゃっちに掲示されていた味のある張り紙)


粉砕・木材・新器材

お陰様で順調に緩衝帯整備事業が進んでいますが、それすなわち大量の伐木が発生していることを意味します。従来の整備では基本的に伐木を作業現場に放置していましたが、放置すると次回以降の作業の邪魔になるので本事業では現場から搬出しています。伐木の処分は計画段階からの課題でしたので、最善策の模索のために「一旦仮置き場に安置して、溜まったらまとめて処分しよう」という方針で動いていました。
そしてこの度、処分方法の1つとして前々から検討していたウッドチッパー(木用のシュレッダーのようなもの)の試験運用のため、1週間レンタルすることになりました。

整備事業のかっこいい旗(新作)が現場にはためく

迎えたレンタル当日。緩衝帯整備の事業者が仮置き場に集い説明を受けました。普段使わない業務用の機械を前にして現場がそわそわしています。だってみんなこういう機械好きですもん。
記念すべき1本目の挿入。爆音を唸りあげる機械が竹をグビグビと飲み込み、あっという間にチップに変えました。現場は重機に試乗した子どものように沸き立ちます。もちろん私も。

迫力ある粉砕に現場が盛り上がる

チッパーは私の想像以上のスピードで木材を粉に変えていきました。チッパーを軽トラに積んで現場で作業することもできますし、スペック的には申し分ないのではというのが率直な所感です。
故障した場合の修理費用の負担は誰がするのか、普段どこで管理するのか、買うのかレンタルするのか……スペック以外の方で色々考える要素があるので実際に導入するべきかは今後の検討課題です。レンタル期間が終わったのがつい先日なので、まずはレンタルしての振り返りから行います。

竹(左)と木(右)だったもの

高級な恒久柵

9月19日(木)に紫波町にある長岡産直(の近く)で開催された電気柵の講習会に参加してきました。大槌町で広く普及している電気柵はプラスチック杭に柔らかいポリワイヤーを張った「簡易柵」というタイプですが、今回見学した電気柵は鉄柱に鋼線を張った「恒久柵」というタイプです。恒久柵は名前の通り恒久的に(10年以上)使えるメリットと、設置に経費と労力がかかるデメリットがあり、導入する場合は簡易柵以上の費用対効果が得られるかが重要になってきます。

季節外れの猛暑で日差しが痛い

恒久柵は普段馴染みがないのでゼロから設置を学べたことは良い経験となりました。構築作業の基本的な流れは鉄柱を打ち込むことを含め以前構築したフェンスとほぼ同じであり、早速経験が活きて驚きました。

講師との距離が非常に近いため些細な質問でも気軽にでき、大変良い機会だったため恒久柵の講習会なのに簡易柵の質問もしてしまいました。ありがとうございました。

余談。
この恒久柵は「フェンシングワイヤー」とも言うのですが、そもそも「フェンシング」って何よとずっと思っていました。特に、名前からオリンピック競技の「フェンシング」が連想されるので、『「フルーレのように柔らかい」→「柔らかい電気柵」→「簡易柵……?」』と長い間誤解していました。
調べてみたら「柵」を意味する「fencing」だそうで、いわゆる「フェンス」のことを意味しているとのこと。じゃあ「フェンシング(スポーツ)って何を守ってるのよ」と思い調べてみたら「自分の身や名誉を守る」のが語源だそうです。へー。
内容はまったく違えど、「何かを守る」という意味では確かにどちらもフェンシングですね。触れると電気が流れるという点でも同じですし。

侵入防止柵のあれから

今年の5月に張った侵入防止柵ですが、設置以降も定期的に状況を確認していました。

対クマ用の金網フェンスですが、なんと結構な頻度で侵入を許してしまっていました。地域の方々が協力して構築したフェンス、何より自分が自信を持って提案したフェンスが突破されてしまうのは専門員として許しがたく、また非常に悔しいことです。なんとかせねば!
フェンスの業者に現地写真をお送りし、対策について助言を頂きました。農家さんにそれらの助言を伝えて、柵の修繕を行いました。果たして侵入を防ぐことはできるのか!?リベンジマッチの結果は今後の月報で報告しますのでご期待ください。

ちなみにシカ用ネットの方は順調で、シカに入られた様子は無いそうです。設置しているカメラでもネットを踏まないよう歩くシカが撮影できており、当初の期待通りシカがネットを嫌がっているものと思われます。
収穫まであと少しとのことですので、この調子で被害がないまま収穫を迎えられるよう引き続き警戒してまいります。

なんじゃこりゃとシカが様子を伺っている

10年越しの卒論完成

博士論文を昨年提出した人間なのに今更「卒論」の完成とは。
この度自分が学部生時代に書いた「卒論」が大学の紀要に載りました。「当時書いた卒論を再編集して投稿した」というだけの話なのですが、約10年前の自分が書いた論文を読み返すと粗が見つかるのなんの。博士課程に進学するとは夢にも思っていなかった当時の自分に文句を言いながら古い野帳を引っ張り出すことに。当時の実力ではできなかった解析をやり直すなどしていたら、結局全文書き直すことになりました。

今の自分が当時の卒論を読むと「お前よくこんな出来栄えで提出したな」と説教したくなりますが、そう思えるのも自分が成長したからだと思うと嬉しくもあります。10年後の自分が今の自分に説教できるように今後も成長していきたいです。
雑誌の刊行的には6月の内容でしたがすっかり機を逃していた(忘れていたとも言う)ので今更ながらの報告でした。

論文を読んで頂きたいので以下検索タグ。
【ハクビシン ねぐら 行動圏 ラジオテレメトリー 追跡調査】
数年すればオンラインでも読めるようになるはずです。連絡頂ければ別刷りをお送りします(CM)。

目次に自分の名前が載っているのが何より嬉しい

なにか報告項目が少ないなと感じて手元の日誌を読み返しましたが、月報に書くには至らない打ち合わせや資料作りが多い月となっていました。昨年9月の月報も同じような雰囲気が漂っているのでそういう時期なのかもしれません(実際、自分が携わるプロジェクトは秋冬から動き出すのが多いので)。
今も新たなプロジェクトを水面下で進めていますので、お披露目できるのを楽しみにしています。

以上で9月の活動報告を終わります。お読み頂きありがとうございました。

出張リスト

9月19日(木)@紫波町長岡産直。電気柵講習会への参加のため。

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