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2023年9月 活動報告

福島です。ようやく猛暑の夏が終わったと安堵する一方、少しの寂しさも感じております。
9月の活動報告です。最後までお読み頂けますと幸いです。
(トップ画像は頂いたクリ)


荒れ地の草刈りは誰が実施すべきか?

法に則り「土地の所有者が責任持って行う」。以上。

……では上手くいかないのが草刈り。そう、今私の中で気になっているテーマが草刈りです。今夏私はヤブに潜んでいたクマと鉢合わせしかけましたが(7月報告より)、その現場は普通に人が通る道路の近くなんですね。そして町内を意識して歩いてみると、通学路沿いなのにヤブがある場所も少なくないです。ということで「ヤブなんとかしたいな~~~!!!」と安直に考え色々調べてみたのですが、やはり地域問わず上手く解決できない難題のようでして。
※以下、活動紹介というより個人の感想です。アイデア練ってる時は「目に見える進捗」が無いので勘弁してください。

冒頭書いたように、「土地の所有者がちゃんと草を刈るべきだ!!!」というのは非常に正論でして、法律を参照してもやはり所有者に管理責任があるようです。ですが荒れ地の所有者が「わざと荒れ地にしてご近所さんを困らせてやるぜ~~~!!!」という悪意に満ちた不届き者だとは到底思えないです。自分の土地なんですから、キレイであることに越したことはないですし。なので「どうやったら所有者・町民・町の『三方よし』になるか?」ということをずっと考えております。
草刈りの問題は、いわゆるゴミ屋敷問題と通ずるところがあると感じています。所有者自身には最早どうしようもなく、放置すると周辺に悪影響が生じ、税金を投入すると「どうして個人の所有物の管理に税金を使うんだ」という不平等感が生じる。更にゴミ屋敷には無い問題として、「所有者と連絡を取りにくい」「土地の境界が未確定の場合がある」「そもそも『管理』の定義とは?」などなど多数。

私としては「放置することで生じる危険性」「管理で恩恵を被る人数」「管理する費用」あたりのバランスを考慮して、荒れ地ごとに草刈りの優先度を設定すると良いのではないかと考えています。多くの子供が通る通学路沿いの荒れ地を巡って「草を刈りなさい!」と揉めるのは簡単ですが、揉めてる間にクマが出るんだったら第三者でさっさと刈ってしまった方が安心ですし。その費用はどうするんだという避けては通れぬ大きな問題があるわけですが、そこも含めてより良いアイデアを提案できればなと模索する日々です。

林業のプロを交えその場しのぎではない作戦を練る

そんなことを考えていたある日、住宅地にクマが出たと通報があり現場に駆けつけました。目撃された方曰く「斜面上にある低木(ヤブ)にクマの親子がいた、山の方に帰っていった」とのこと。まず何より私が驚いたのは、斜面の見通しが非常に良い点でした。仮にこの斜面がヤブに覆われていたら、クマが道路(写真でいう緑のゴミ箱)まで下りてくることは容易ですし、目撃された方も襲われていたかもしれません。クマ側からしても、突然道路に出てしまい、パニックで住宅地に侵入してしまうかもしれません。
今回無事に鉢合わせしなかった理由は間違いなくこの斜面の管理です。誰がどのようにこの斜面を管理されているかは存じ上げませんが(『草を刈っている』という感じではなさそう?)、管理の重要性を確信した出動になりました。

人とクマが双方認識できるのでお互いに距離を取れる

鳥獣対策専門員へのインタビュー

大槌で働き初めて半年弱経ちましたが、自分の仕事(と問題点)が分かるようになると同時に『他の地域ではどんな方が活躍されているのか?』ということが気になってきました。という訳で各地の役場の方から専門員の情報をご提供頂き、岩手県花巻市で活躍されているAさん(許可取ってないため念のため匿名)にお話を伺ってきました。

端的に紹介すると「Aさんは花巻市唯一の鳥獣対策専門員です」(正確に言うと『有害鳥獣対策アドバイザー』)ということなんですが、花巻市は平成の大合併で4市町(石鳥谷、大迫、東和、花巻)が合併してできた市なのでメチャクチャ広いです。面積はなんと大槌町の約4.5倍。そんな市を一人で担当されているので、お話を伺う前から只者ではないということは察しておりました。

Aさんは猟友会や民間企業で多様な経験を積まれた方で、お話を伺うほど専門員として納得のスキルと経験を有されてる方でした。
細かい内容についてはここでは述べませんが、『野生動物を相手にする仕事』とは言え「如何に関係者との信頼を深めるか」といった人間相手の調整が対策を進める上での大きな要素になっているようでした。この点については一般的であり大槌町を含め他地域でも同様ではあるのですが、これを広い花巻市で実践できているということが「凄い」の一言に尽きます。

因みにAさんは会計年度任用職員なのですが、正職員だと異動があるからというのが大きな理由とのことでした。市としても「Aさんにずっといて頂きたい」と思ってはいるようですが、異動のこともあり正職員採用は中々難しいようです。

市営の園に勤める「保育士」のように、異動はあるものの大きく職種が変わらない地方公務員もいらっしゃる(園以外への異動もあるそうですが、その場合でも保育士の経験を活かせる職場だと噂で伺っております)ので、鳥獣対策の専門員もそのような形で雇用されるようになると鳥獣対策を進める上でも、そして個人的にも大変ありがたいと考える今日この頃です。

広報で被害対策を面白く分かりやすくご紹介していらっしゃいました

イノシシ襲来

『そろそろイノシシが来るらしい』→『どうやらイノシシがいるらしい』→『イノシシ捕まえました』という段階を経て、いよいよイノシシが定着し始めた大槌町。先日、着任して初めてイノシシの被害現場に向かいました。

どういう気持ちで暴れたのか

写真の通り電気柵を張ってはいたのですが、水で崩れてしまった一部の畦から侵入した様子。今回はプロハンターの方が主導し、センサーカメラを設置しました。「イノシシがまた来るか」「何が何頭来ているか」といった基礎情報を収集することに。
どうしてもシカを中心とした被害対策をとってきた地域のため、イノシシに対しては対策不足な面もあります。効果的な(そして農家さんの負担が少ない)柵をどう導入するか、その予算はどうするか等々、問題は山積してます。
目下の課題として学生時代に大変お世話になったセンサーカメラを現状1台も持っていない(!)のでそろそろ買わねば。今回のような侵入対策だけでなく狩猟にも使えるセンサーカメラは、やれることの幅を大きく広げる上でも必須アイテムなので……。

といった具合にイノシシのことを考えておりましたら、岩手県主催でイノシシ捕獲の研修会が開催されました。なんというタイミング。
イノシシ捕獲は一度も試みたことがないため、実物の箱罠を前に仕掛けの説明を伺うことができ大変勉強になりました。非常に頭がいいイノシシに負けぬよう知識と経験を積んで参りたいです。

くくり罠の実演(本物のイノシシは連れてこれないので体験)

被災地研修

私は3.11の恐ろしさを直接知らない人間です。被災時はとんでもない揺れに驚きましたが(本気で自分の真下が震源地だと思いました)、いわゆる「被災」はしなかった(しかも親戚も友人も誰一人沿岸部に住んでいなかった)ので、『知識としては知ってるけども』という人間です。そんな私だったので、この度東京の学生が被災地研修に参加されるということで、私も見学させて頂きました。

大槌町に住んで数ヶ月、実は町の景観に多少の違和感(不自然に空き地が広がっている等)を覚えておりました。そのような状況でしたので、この研修で当時の被災状況と復興計画を伺い、これらの疑問が氷解しました。
案内してくださった方(地域おこし協力隊への応募の時からお世話になっております)からは、『着任から時間が経った今だからこそ見えるものがある』というコメントを頂きましたがまさにその通りで、『これから住む町』ではなく『もう住んでいる町』になった今研修を受けたことで、より自分ごととして震災について考えることができました。

『何がどうなったら"復興"なんだろうか』と被災前の町の写真を見ながら考えずにはいられませんでしたが、自分の活動が少しでも"復興"に繋がると信じて襟を正す、そんな1日でした。

研修は「大槌町」のことを知るところから始まりました

以上で今月の報告を終わります。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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