ワークとライフに役立つネット記事(9)~カスハラ対策

 地方公務員のモチベーションと幸福感を大きく損ねる問題として、窓口や電話で執拗に繰り返される苦情への対応業務があります。
 近年、民間においては「カスタマーハラスメント」問題として認知が高まり、先進的に取り組んでいる企業からは、理不尽な主張を繰り返す客との取引を拒絶するという方針が明確に打ち出されるようになりました(お客様は神様ではない!)。今回の記事では、大きな社会的反響を呼び起こした「任天堂」の例を取り上げ、カスハラ対応のポイントを解説しており、自治体としても大変参考になります。任天堂ケースで注目されるのは、その反響が極めて肯定的だったことであり、社会の常識が今、大きく動いているのです。
 
 国家公務員については、「人事院規則10―16(パワー・ハラスメントの防止等)の運用について(人事院事務総長発)」が、以下のように述べています。
「職員が担当する行政サービスの利用者等からの言動で、当該行政サービスをめぐるそれまでの経緯やその場の状況により、その対応を打ち切りづらい中で行われるものであって、当該言動を受ける職員の属する省庁の業務の範囲や程度を明らかに超える要求をするものに関する苦情相談があった場合に、組織として対応し、その内容に応じて、迅速かつ適切に職員の救済を図ること。」
 これを受けて、令和2年4月21日総務省自治行政局公務員部長通知「パワーハラスメントをはじめとする各種ハラスメントの防止に向けた対応について」が、地方公共団体においても同様の対応を行うように求めています。
 かつてあった役所の空気、「そんなもの」「運が悪かった」「我慢すればいつか終わる」「そのうち慣れる」「誰もが通る道」といった個人の問題に矮小化する受け止め方は、もはや完全に時代遅れであり、間違っていることが明らかにされています。
 そもそも、一人の人間が執拗に繰り返す苦情に対し、我慢強くひたすら聞き続けることは、その間、他の全ての市民に対するサービスを怠ることを意味するのであって、美徳でも何でもありません。
 
 富山市においては、「行政対象暴力等対策検討チーム」が各所属を支援します。同チームは、困難な苦情対応を担当者個人に押し付けることを許さず、迅速な組織対応を徹底するよう求め、ことなかれ主義や先送り体質の打破を目指します。