『夢』
3年9組 くろだしょうこ
僕の夢は、早くこの作文を書き終えて、お茶を飲むことである。
僕のことを何も知らない人がこれを読んだなら、もしかすると僕を不真面目な生徒か、馬鹿だと思うだろう。
確かに僕は馬鹿である。
なぜなら僕は誰よりも馬鹿でいたいと思っているからである。
ただし、真面目な生徒だ。
自由の美しさを知り、自由に生きたいと思った結果、このような形になってしまった。
どうか許してほしい。
さて、本題へ戻ろう。
僕は先程、作文を早く書き終えて、お茶が飲みたいと言った。
だがそこには少し誤りがあった。
お茶と限定されるのではなく、僕はただ、飲み物を求めているのだ。
僕はこの作文に命をかけている。
本気なのだ。
もう分かっていると思うが、僕はこの作文を書き終えるまで水分を取ってはならないと自分でルールを設けてしまった!
僕の身体は震える。
このまま書き終えるということをしなければ、
その後に待っているのは "死" だ。
僕は生と死を見つめ、毎日を生きている。
刺激がほしい、生の実感がほしいともがいてはいたが、冷静になって考えてみると、やはり馬鹿なことをした。
しかし人間は一度死ぬことで分かることがあるのだろう。
あるいは "死" を近くで見つめること。
どうやらもうすぐ終わりらしい。
僕が自分自身に挑んだことでわかったことは、たった一つの夢だった。
それは ”生きる” ということ。
この夢を叶え続けながら、僕は自由ではない世界で、自分自身に挑んでいこうと思う。
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高校3年生
担任の先生(現代文)から作文の課題が出された。
指定されたお題は『将来の夢』
担任の先生は、
変わった作文を提出した者がいる、
そう言ってわたしの作文を
みんなの前で読み上げた。
後日、作文が返却された。
『”そういう世界”に進むのもいいかも』
と、先生からのコメントがあった。
そういう世界とはどの世界のことだろうか。
聞くこともできず
わたしは未だに
考え続けている
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