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弱肉強食学園 GOWANDA‼︎第七話
〜ep7:偉大な作品〜
《前回までのあらすじ》
弱肉強食学園の生徒は、みんな勉強してる奴なんかおらず落書きばっかりして一日を過ごしている。詳しくはep1〜6をよんでね!
ワンダは庵の後ろ姿を追いながら食堂らしき場所に着いた、そこはとても簡素に作られた食堂で、死んだ魚の目をしたおばちゃんが数人いて、列をなしてる生徒達のトレーに黙々とおかずと白飯をのせる流れ作業が行われていた。
「海外映画でよく観る刑務所の食堂みてぇだゼ!!」
ワンダはすぐ思った事を口にだしてしまう。
すると入り口近くのガタイのいいおばちゃんが、ワンダに言った、
「あんたも、刑務所みてぇな飯をたべるのかい?食べるなら900円だして列に並びな!そうでないならあっちいきな!」
ワンダは驚いた!!ランチが900円だと、、、、高くないか?しかも、パッとみ900円も絶対しないゼ!!
ぼっ・・・ぼったくりだ!!
酷いぞ!高校生相手になんて商売してやがる。 このババァ喰らわしてやろうか!
ワンダは怒りに身を任せてババァを引っ叩こうとした。すると、奥から別のババァが出てきて言った。
「梅さん、あんた、また、新入生をからかってんのかい、辞めな、おい坊主ここの学食は無料だよ、早くトレーを持って列に並びな」
そう言うとそのババァはまた食堂の奥に消えていった、梅さんと呼ばれるババァは終始ヘラヘラしながら
「だとさ、早く並びな」
そう言ってワンダに乱暴にトレーを渡してきた。
ワンダは怒りがおさまらなかったが、このデカイおばちゃんの腕に無数のアザがあった事から、このおばちゃんの家庭事情を勝手に想像して、たぶん、家には引きこもりのいい歳した息子がいて、家庭内暴力で支配されていてこのおばちゃんも可哀想な人間なんだと想像する事で怒りを抑えた、そうすると同時に、このおばちゃんに同情すら覚え。
「おばちゃんもいろいろ大変なんだな、ありがとう」
と、労いの言葉をかけた。
ちなみにこれはワンダの勝手な妄想だ!
実際の所、この梅さんと呼ばれるババァは、極悪酷道で、ムショ暮らしが長い、そして、ワンダの様な新入生から先ほどの様な事を繰り返し、金を巻き上げていた。
腕のアザは喧嘩で出来たアザだ!
そんな事とは知らずにワンダはこのおばちゃんには親切に接していこうと心に誓ったのである。
トレーにしとしきり食材をのせたワンダは席を探した、すると、
「ワンダくん、こっち、こっち、」
庵だ、食堂のちょうど真ん中ぐらいの席に庵がいた。
「やっぱり来てたのか、ここの飯、見た目はあんまりだけど、味はいけるんだよ」
庵が嬉しそうに、ワンダに話した。
ワンダは家族以外とご飯を食べるのは初めてで少し照れた。
庵はそれを察してか、空気を和まそうと、続けざまに喋った。
「ここの食堂の入り口のガタイのいいおばちゃんいただろ?あのおばちゃん昔は有名な女子プロレスラーだったらしいよ。なんでも、私生活でも素行の悪い奴で、後輩レスラーにトレーニングつけてやるって言って、ボコボコにしたあと、トレーニング代とか言って、金を巻き上げてた極悪酷道野郎だったらしい。」
ワンダはさっきの誓いをすぐに辞めようと思った、
「許せねぇババァだな、今も反省してる様子はねぇし、やっぱり喰らわしてやるか!」
ワンダが行こうとした。
「辞めなよ、いくら君の力で反省を促しても、本人が反省しないなら意味は無いよ」
庵が止めた。
「結局、力だけの支配なんて続かないんだよ。力で抑えつけても、また新しい力が現れるだけだ、イタチごっこさ」
ワンダは庵が何故この様な考えを持っているのか不思議になった、自分と同じ歳の庵が何故こんな悟りの境地に達しているのか、訳を知りたかった。
「庵はなんで、そんなに力の支配に対抗するんだ?」
ワンダはそう聞いた。
庵はゆっくりこう言った。
「・・・ワンダは北斗の拳って読んだ事ある?」
ワンダは漫画とかを読んだ事ない
「ないゼ!」
庵は続けた
「それに出てくるラオウって奴がいるんだけど、僕、そいつがあんまり好きじゃくてさ・・・」
それから昼休みが終わるまで庵の北斗の拳の話が続いた・・・
そう、彼は漫画に影響されるタイプ
教室に戻るまで、庵の話は続いた、そして、午後の授業が終わり、放課後、
「ワンダくん、一緒に帰ろう。」
庵が声を掛けてきた。
ワンダは悪い予感がしたが、断る事は出来なかった。
ワンダの予想は的中した、学校から家までずっと、本当にずっと庵は北斗の拳の話を続けてきた。
途中、庵の家の場所をきいたが、反対方向だったらしいが、関係なく、ワンダの家まで、ずっと付いてきて、北斗の拳の話を延々続けてきた。
「じぁ、ワンダくん、明日学校でね、今度君の家に北斗の拳全巻送っておくね!」
嬉しそうに庵は帰って行った。
ワンダは、ここまで、庵を夢中にした北斗の拳という作品が気になった。
つづく