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構想中のRPGのシナリオ冒頭の一部を小説っぽく書いてみた

その少女は荒野の丘の上に腹ばいになって双眼鏡をのぞいていた。
岩と砂利。観るべきものが何も無いような退屈でうんざりする景色だった。
ちょうど太陽が真上にきている。暑い時間。
少女は体を起こし水筒の水を口に含んだ
こんな調子でもう数時間この場所にいる。どうしてこんな目に合うんだ
始まりは面倒な仕事を引き受けてしまったことだった

数時間前、その少女は街にいた。
ビロド。荒野の中にその街はあった。
土肌をくり貫いて作った家や木造の家が並ぶその街は
ここらで一番大きな街だ。旅人や商人が集まる拠点で
かつてはそれなりに賑わいがあった。今ではまるでゴーストタウンだ
それというのも全部やつらのせいであった。

やつらはこの「ザックランド」と呼ばれる砂漠と荒野に巣食う犯罪者共の集団で
文字通り「レイダー」と呼ばれている
なんだって犯罪者がこんなへんぴな場所にいるのか。

この星、惑星「ズガン」はこの星系のはずれにある辺境のクズ星で、
かつてはエネルギーの豊富な星であったため別の星から来た移民者達によって
大都市が築かれたが、エネルギーの利権争いによって大きな戦争が起こり、
最終的には超破壊兵器の使用で星の大半は砂漠・荒野と化した。

それからは資源的価値はないとされズガンの政府や金持ち達は衛星「アカルフ」に移住。被害を免れた企業「ダッチカンパニー」にズガンの管理を任せる形になった。社長であるダッチ・ブラウンはまだ緑が残っている土地に新しく都市を作る計画を立て、地下にまだ残っているエネルギーにも目をつけた

それから150年の間に企業は成長。アカルフへの資源もダッチカンパニーの許可がなければならないという事実上の支配者となった。

そんなこの星は訳アリの難民や犯罪者の流れ着く場所としてはちょうどよく
ダッチカンパニーも彼らを労働力として利用するべくあえて受け入れていた
十年前に終了した宇宙での大きな戦争によって多数の労働力が手に入ったことで
本社のある都市「セントラル」と政府のある衛星アカルフに住む人々の生活は大きく潤った。

せっかく逃げついた先で働かせる事に嫌気が差した者や根っからの悪人は
逃げ出し強盗や殺人行為に手を染めてレイダーとよばれる集団に加わってしまったのだ

少女はそんなレイダーからの護衛依頼を受けていた
その赤いメッシュの入ったボブカットの少女「スカーレット」はスカーと呼ばれる腕利きの傭兵だった

数年前に辺境の集落からやってきた、その時まだ10代であった少女は、
いきなりレイダー退治の仕事を引き受けあっさりとこなして
ここらにいる者を驚かせた。
少女は詳しいことは語らないが、ここらで食べていくにはレイダー退治か
150年前の破壊兵器によって沈んだ都市を探索して
過去の技術を回収するロストテックハントといった危険な仕事するしかなかったが2年後にはここらじゃ誰もが知る腕のいい仕事人となっていた

そんなスカーがいつものように依頼を引き受けて
この荒野のクソ暑いど真ん中でターゲットを待ち構えていたのだ。

「まったく……いつになったら現れるんだ……」
少しイラついているなとスカーは汗を拭いながら水筒に手を伸ばした

任務内容では、ここで依頼人と合流してある場所まで護衛する話だったが
依頼人は現れなかった。合流の座標は間違っていない
ここに来る前にレイダーにやられたか?
もう約束の時間を3時間も過ぎようとしている
だいたいなんだってこんな場所を選んだんだ…
ぶつくさと文句を言いながら空の水筒を放り投げた

すると耳障りな笑い声が聞こえてきた
「へっへっへ……そろそろいいかなあ?」
スカーは罠にはめられた事に気づいた。でも焦りも動揺もしていなかった
ふーっとため息をついて立ち上がり回りを見回すと
数人のレイダーが取り囲んでいた。
「久々にアタシも馬鹿丸出しだったな」
5…6…7人か…ゆっくりと状況を把握しながらリーダー格の男のほうを
向いた。

モヒカンにゴーグル。典型的なレイダーだ。
まるで量産型のように同じような格好しているのには感心する。

「久しぶりだなスカーレット……!
散々俺の部下を殺してくれた礼をさせてもらうぜェ…」

「アンタの顔なんか覚えちゃいないけどこの程度の人数でなんとかなると
思ってるのかい?」

「馬鹿ヤロウ!今回は作戦があるわざわざ荒野に呼び出して何時間も待たせておいたんだ。とっくに疲れてるはずだ!」

スカーは大きなため息をつき呆れていた。
「こんな馬鹿な連中のために3時間も待たされていたとは悲しくなってきたよ」

「ようしテメエラやっちまえ!」
そう威勢よく吼えた瞬間、スカーレットは大きく飛び上がり男の首に蹴りをいれた。男はその一撃で意識が飛んでいた

スカーは持っていた鉄パイプを片手に構えた
レイダーの一人が銃の照準をぶれた手つきでスカーにあわせ何発も打つが
冷静に見極めた彼女に当たる事もなく脳天に鉄パイプが振り下ろされた
それをみた弱気な奴が逃げ去り、覚悟を決めたデカイ男が殴りかかるも
スカーが避けながら放ったひじ討ちが顎にはいり崩れさった
残りの雑魚共もこのデカイ奴がやられたと同時に逃げ去っていった

「ち、ちくしょう…!」
リーダーのモヒカン野郎は完全に冷静さを失っていた

「馬鹿だねえ……アンタはどうする?」

いつもなら逃げさるところだが…やつは何かを取りだし飲み込んだ
自殺?まさかコイツラがそんなことを…

そいつはそのままその場に倒れた。
ピクピクと痙攣している。何を飲みやがった?
ゆっくり近づくスカー。そして顔のそばに立った瞬間
目を見開いたそいつは赤い目をしていた
「赤い目……!!」一瞬判断が遅れたスカーはそのモヒカン野郎に足をつかまれていた。すごい力でちぎられるかと思ったほどに
鉄パイプをそいつの顔に何度もたたきつけるとようやく離した
だがそいつはなんとも無いといった表情でゆっくりと立ち上がり
殴りかかってきた。

ヤバイ。早い。だが体が冷静に対処する術を覚えていた
避けながらやつの腕に足を絡みつかせて一気に折った。
鈍い音がした。すぐさま離れて体勢を整えようとしたが
やつは折れた腕をものともせずに襲ってきた

痛覚を消した……?!だったら意識を飛ばすしかない
不利な体制から立ちなおす時間はない。このまま迎え撃つ
ここでスカーも人間離れした動きをみせた
しゃがみの状態から高く飛び上がり奴の脳天にめいいっぱい鉄パイプを打ち込んだ。

倒れてくれ!頼む……!
恐ろしいことにそいつはまだ立ち上がろうとしていたが、
やがてうごかなくなり倒れこんだ。

息が整わないスカー。こんな経験はレイダー退治をするようになって初めてだった。明らかに普通じゃなかった。

息が整う頃、そのモヒカン野郎は死んでいた
スカーは恐る恐る近づきそいつの服を探った。
小さなケースにいくつかのカプセルが入っていた

こいつか…?あいつが飲んだものは……?
ドラッグか何かこれは?
任務は失敗するし。散々な目にあった。

ちっ。斡旋所の奴はグルか?
それにしてもこの薬気になるな…
あの赤い目。昔を思い出す。気に入らないな…
でもこのモヒカン野郎は奴じゃない。アイツ……アイツはとっくの昔に死んだ。

どっと疲れた。とりあえず街へ帰ろう。

つづく



今回は構想中のRPGのシナリオの冒頭の一部を小説っぽい感じで書いてみました。実際にこういう展開になるというわけではなく。
勢いのままなんとなく書きなぐっただけです。
私は小説というか文章に関しては全くのど素人なのでその辺はご了承ください。
感想とかあればここでもツイッターでもどうぞ
つまらんとかパクリだとかただただグサリとくるコメントはご勘弁くだされ




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