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学校の運動会撮影&SNS投稿、安全のためにも考えてほしいこと

私は学校関係の撮影業務をスタジオさんより受託しており、学校の各種行事に出向いて撮影させていただいております。
今回は数多い学校行事の中で、保護者の方々が観に来られる「運動会」について。
※学校によっては「体育大会」などと呼ばれる場合もあります。

我が子の成長を、頑張りを見たい!写真や動画に残したい!
そのような保護者の方々が楽しみに見に来られます。

11月に入り、学校の運動会シーズンがほぼ終わりましたが…
業務がひと段落し、落ち着いて考える余裕が出ましたので、敢えてこの話題に触れさせていただきます。

「学校の運動会撮影とSNS等への投稿について」

私は現場で幾つもの学校様で撮影させていただいていますが、撮影の合間にチラッと思うことがあります。
当然、私が保護者の皆様に対する配慮は必要ではあるのですが。
(特に撮影時の位置取り〔ポジショニング〕、立つ/しゃがむ、など)

今回は運動会の撮影はともかく、 SNS等へ投稿するのはどうなのか。
あるカメラマンさんからの動画投稿でハッとさせられたのをキッカケに、現場を見ている自分なりの考えを含めて述べさせていただきます。
重たい内容で恐縮ですが、お読みの皆様にとって、ご参考への一助にしていただければ幸いです。

運動会のSNS投稿に一石を投じた、矢沢隆則さんの動画

カメラマンの矢沢隆則さんが、ご自身のYouTubeチャンネル動画において、学校の運動会における撮影とSNS投稿について語られました。
詳しくは、下記リンクよりご覧ください。

本記事では、学校関係ではないものの、カメラマンとしての写真(動画を含む)、SNS投稿といった保護者の行為について一石を投じるものでした。

私もこの矢沢さんの動画を基に、スクールフォトグラファーの1人として、現場を含め思ったこと、知ってほしいことなどを書かせていただきます。

矢沢さんが主張する主な要点

矢沢さんが今回話題にした元ネタは、下記「テレ朝news」の記事でした。

東京都大田区のある中学校では、このようなお達しがあったそうです。

撮影は通信機器と併用のものではなく、カメラ等をお使い下さい

つまり、こういうことです。

◆スマートフォンなど通信機器での撮影は禁止
 (リアルタイムでSNSなどにアップされるのを防ぐため、と思われる)

◆撮影はカメラでのみ可能

矢沢さんが仰ることを簡潔にまとめると、この2点になります。

◆ 撮影した写真をご親族にのみ送るなら、なんら問題ない。
  (これはフィルム時代でも同じですね)

◆ SNSに投稿するのは危険が伴うということ。
  (ブログ等のネットサービスを含む)

しかし、矢沢さんがこの中学校からのお達しについて、「カメラのみに限定」していることを疑問に思われています。
どういうことか。

最近のカメラにはBluetooth・Wi-Fiといった通信機能が搭載されており、スマートフォンへ簡単に転送できるようになっています。
スマートフォンで撮影できなくても、本番ではカメラで撮影。家に帰ればすぐスマートフォンを介してSNSにアップできるので、結局は同じになるわけです。
その点が考えとして抜けており、意味がないということです。

学校側が言いたいことはわかるのですが、結局各自で撮影すると「何をしようと個人の自由」と聞く耳を持たない保護者は後を絶ちません。
しかし、このような保護者の主張には、危険が伴うということの意識が欠如しているといわざるを得ません。
ご自分の子供だけでなく、違う子供も写ってるわけですから、一緒に危険に巻き込んでしまう危険性がある。
その最大の理由が、以下の内容です。

SNSに子供の写真・動画をアップすることの「危険性」

「我が子の頑張りぶりを、みんなに見てもらいたい!」
そうお思いの保護者の方がおられるでしょう。
理由はいろいろありますが、お気持ちはわからないというわけではありません。
しかし、お子様をネットという世界に晒す以上、投稿した瞬間に全世界へ公開されるという意味もありますから危険が存在します。

ネットに一度アップされると、ネットの世界からデータが消えることはほとんどない。
例え、Google先生などの検索エンジンから削除されても、です。

ご存知の通り、ここ数年の技術の進化は凄まじいものがあります。
カメラはおろか、スマートフォンやタブレットのカメラ機能も高画質化の傾向にあります。
高画質ということは、細かい描写でもハッキリと写るということ。
どういうことか?

  1. 背景など周辺の光景だけで、撮影場所が判別されてしまう

  2. 人間の瞳に映るものであっても、画像を解析すれば撮影場所が判別されてしまう

  3. プライバシー・セキュリティの侵害に繋がる
    悪意を持った人間にとって、格好の"ターゲット"とされる
    つまり、子供を狙った犯罪行為につながる恐れがある

えっと思われる方がおられるかと思います。
キレイに写る(映る)からこそ、ある程度の知識があれば誰にでも画像解析が出来てしまう。
得られた知識を悪用し、犯罪行為に繋げてしまう恐れがある。
個人情報は文字情報だけでなく、画像や動画(顔出しなど)といったビジュアル的な情報も含まれるのです。

ちなみに私の場合、大量の撮影データは納品物であるため、第三者へ漏洩させないよう最大限の注意を払っています。
もちろん、スタジオ様へデータ送付する以外はオフラインにしています。
漏洩させたら、私へ二度と依頼されません。それどころか、払えないくらいの賠償責任が生じます。

考えは人それぞれ。でも結論は子供の安全を考えると…

結局のところ、人それぞれ考えがあるので「コレ」という結論は出せません。
私は(投稿時点で)結婚していないし、当然子供もいません。
なので、立場上私が言うことではないと思われるかもしれません。

しかし、私からはこれだけは言えます。

  1. 撮影するのは、個人の自由
    ただし、学校で定められたルール、周辺への配慮などマナーは守りましょう

  2. 撮影するにしても、他の子供たちへの配慮を忘れずに
    (頼まれて撮影する場合は除く)

  3. ご親族へ写真や動画を送るのであれば、なんら問題ない。

  4. ご家族・他人に関係なく、子供だけでなく家族の安全のため、不特定多数が目にするSNS等ネット媒体への投稿は止めるべき。
    (Facebookなどのように公開範囲が限定されていても、です)

知らなかったでは済まないことがあります。
一人一人がリテラシーを深め、皆様がルールとマナーを守って気持ちよく運動会を観覧・撮影する。
子供たちにとって最高の思い出が残せるようにしたいですね。

もちろん、私も立場はあれど、観覧される保護者の皆様、演技をされる子供たちへの配慮は忘れません。

今回は「運動会」に限定して述べましたが、何も運動会だけではありません。
保護者の皆様が参観可能な他のイベント(入学式・卒業式・文化祭など)にも言えることを最後に付け加えておきます。
どうか安全に楽しくご参観くださいますよう、お願い申し上げます。

お読みいただき、ありがとうございました。
よろしければ「スキ」、もしくはご意見・ご感想などお寄せいただければ幸いです。

私自身の作品づくりはもちろん、カメラや写真の明るい未来を信じて活動します。 いただいたサポートは、喜んで有効に使わせていただきます。