ミッシェル・オンフレ、21世紀の哲学者の紹介 / 入江風子
っ私は、ベジタリアンでも、ヴィーガンでもない。けれどフランス国内や、日本のフランス冷凍食品販売チェーンで有機栽培 bio の文字を見るとつい、買ってしまう。
もちろん、一部の肉や魚を食べるのは好きだ。ペスカタリアンでもない。
動物の権利や、動物を食べることに関して考えを巡らせていた時、何かそう言った仕事ができないか考えていた時に、私に衝撃を与えたのは、またしてもフランスの哲学者ミッシェル・オンフレの言葉だった。彼は、かれこれ10年前からフォローしてきて、フランス語が出来るようになって原語で新作が出る度に読み進めてきた作家のうちの一人だ。
ー ミッシェル・オンフレ「もし思考し始めたら、僕はベジタリアンになる」
なぜ衝撃かというと、彼は私と同じ思考回路で話しているからだ。
そして、彼が時代を先取り(インタヴューは、2016年のもの)しているだけでなく、彼の本を読むうちに私と彼の思考は同化してきているのだった。
これにはデジャブというか、参ってしまった。
しかし、インテリの私の周りのフランス人からは、「生意気だ」とか「2流の哲学者だ」とか、あまり評判がよろしない。それは多分、彼が天才ではなく、どちらかと言えば凡才に近いからであろう。年に1冊、本を出版できる人の定義として、彼を凡才とできるかどうかは分からないが、間違いなくサルトルやフーコーには並ばない。
でも、私はオンフレの「生意気」でニヒルな口調の大ファンで、変わり者だと言われながらも、講師として学費無料の教育機関であるカーン市民大学(Université populaire de Caen)を仲間と創立した所に感激いたした。ノルマンディーを訪れた際にカーンで数時間過ごした私には、何かシンパシーを感じる。
私は、普段はフランス・クルトゥールのラジオやポッドキャストを聴く時間が無い程忙しくしていて、この音源に出逢えたのは、たまたま DALF フランス国民教育省が認定した唯一の公式フランス語資格(ディプロム)C1 レベルのリスニング問題のサンプルとして聞いただけであった。
言語を学ぶことで、文化やコミュニケーションを学べる。
10代でイタリア語だけではなく、フランス語、ドイツ語と手を広げて、10年以上が経とうとしている。まだ30代後半。これからも言語習得は全てを上級(C1 - C2)レベルに上げつつ、北欧言語などにも浮気することだ。
その分、人としては付き合い難い人として古い白ワインの樽のバリックのかかった色や、コルクがブショネしたような異臭を放っていくのかも知れない。
付き合い難い人バンザイ。私はニヒルに今日も生きる。
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