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読書とエンドルフィン

2週間ほど前、とある神話を読みたくて、大型書店で宗教のコーナーを探した。「これなら挿絵も多いし、私でも読めるかも」と思った本の値段が5000円だった。

「村田沙耶香の文章を読むためなら文藝春秋などの雑誌も定価で買う」と決めているが、それ以外はメルカリや古本で済ませがちな私にとって、5000円は高い。

一旦は諦めることした。

そのあと、やっぱりどうしても読みたかったので近所の図書館に行って、取り扱いがあるかを検索機で調べた。
あいにく取り扱いがなかったので、リクエスト用紙にその本のタイトルを書いて受付に出した。

すると、受付の方が「◯◯市の図書館から取り寄せることになるので、半年以上かかる可能性もあります。◯◯市の図書館に行ってもらえれば、今は貸出中になってないので、すぐに借りれますよ。」と教えてくれた。

◯◯市までは電車で行くことになるので交通費も時間もかかる。でも、そこまで行けば確実にあの本が読める。

ということで今日、実際に◯◯市まで行き、図書カードを作り、無事に本を借りた。

「カフェにも寄ってしまったし、果たして5000円を節約するために交通費△△円をかけて、ここまで来た意味はあったのだろうか…」と、すこし自分の判断に疑問が湧いたのだが、明らかに普段の買い物とは違う脳内ホルモンが分泌されていることがわかる。

なんでか幸福でたまらないのだ。なんだこの脳内麻薬は…。
調べてみたところ、「エンドルフィン」という脳内ホルモンについて書かれた記事を見つけた。

エンドルフィンが関係している代表的な現象は「ランナーズハイ」だ。1980年代に運動生理学の研究から、心肺機能を高める運動をすると脳内にエンドルフィンが放出され、高揚感や満足感が高まる結果が明らかになった。ストレスを緩和するために起きる現象ととらえられている。

強い信念を抱いている状態や褒められたり笑ったりする時、恋愛感情で心がときめいている際にもエンドルフィンが脳内で作られる。脳内ホルモンに詳しい東京都医学総合研究所の池田和隆参事研究員は「エンドルフィンはゆったりした気持ちよさを誘う。神経を興奮させて気持ちよくなるのではなく、幸せ感を高めてくれる」と解説する。

私の今回の「あの本を読むぞ…」という信念が、知らないうちに幸せ感を高めていたらしい。

もし将来、私が宗教を立ち上げて教祖になることがあれば「欲しいものをすぐに手に入れてはいけません」という教訓を信者たちに与えよう、と思った。なんだかそれっぽくて良い。

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