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家でできる趣味がほしい〜ペーパークラフト編〜(相馬 光)

外出自粛期間中に家でできる趣味を探す相馬。
しかし自分に合う趣味に出会えない。
今日も今日とて趣味迷子だ。

先週「趣味、刺繍とかどうですかね??」というコメントをいただいた。
なので、今週は刺繍だ!と意気込んでいた。

道具も100均で買ったのだ。

しかし、やろうと思った当日(記事締め切りの5月20日)、あることに気づいた。

トレーシングペーパーがない。
刺繍図案をトレーシングペーパーに写さないといけないらしいのだ。

買いに行く時間もない。このままじゃやばい。
だが、相馬はこんなこともあろうかと密かに代案を用意していた。

それがこれだ。

ペーパークラフトだ。
刺繍糸の隣にあったのだ。本当は来週やろうと思っていた。

しかし、こんな事態に陥ったので、今週はペーパークラフトをやることにする。
(先週コメントをくださったstar_of_bbaさん、すみません)

ちょうど小物を入れるカゴが欲しかった。
所要時間も1時間とサクッとしている。素晴らしい。
ペーパークラフト、いいことづくめじゃないか。

さっそく中に入っているレシピとやらを見てみる。

なるほど編んでいくのだね。

これがペーパークラフトバンド。

説明書に書かれている通りの寸法に切っていく。

しかし、こいつが中々の暴れ馬なのだ。
メジャーで寸法を測ってる最中にもクルンクルンしちゃうのだ。

立て膝をつき、ペーパーを足で押さえつけ、切っていく。

そして、切ったペーパーを縦に裂いていく。

地味に疲れる作業だ。
裂くにしても相手はペーパーだ。
勢いでいくと破けてしまいそうになる。
ほどほどの力加減で裂き続ける。

中々終わらない。
そして部屋がだんだん汚れてきた。

本来は座椅子に腰掛け、紅茶なんぞを飲みつつ、見ようと思っていたドラマとか再生させて悠々自適な時間を過ごすつもりだった。
だけど無音の中、立て膝をついて、ひたすらにペーパーを裂いている。

20分かけて必要なパーツを全て裂き終わった。

何か事件の匂いすら感じさせるペーパークラフトの現場。

これまだ準備段階の工程だ。
本当に1時間で終わるのか。

ボンドを使い、土台を作っていく。

なんかほんの少しだけペーパークラフトをやってる気分なってきた。

そしていよいよ編み込みだ。

①2本の編みひもを、1本ずつ縦ひもの内側に木工用のりで貼り付ける。貼り付けた縦ひもの隣の縦ひもの後ろを通して外側に出しておく

は?


「貼り付けた縦ひもの隣の縦ひもの後ろを通して外側に出しておく」


何言ってんの?


全然意味がわからなくて、声に出して4回読んだ。
だけど全く理解できない。
こういったものに不慣れだからだろうか。
言葉として頭に入ってこない。
これ読んで一発で「あー、はいはい」と理解できる人いるの?

ひとまず互い違いに編んでいけばいいのだろう。
とりあえず始めてみた。

おお、いい感じだ。
互い違いに紐を入れてグッと締めていくのが気持ちいい。

黙々とやってしまう。
静かな部屋で紐を編む「ミシッ」、「ギュッ」という音だけが響く。

この緑色が草っぽい。バスケットというよりも無人島で魚を獲る用のカゴを作っている気分になる。大丈夫、きっと助けは来る。

おっ、大分それっぽさが出てきたんじゃないか?

いい感じだ。

あれ……?

なんか手榴弾みたいになってない?

多少の不安を抱えつつも編み込みを続けた。
そして編み込める紐を全て編み込み、土台を整えた。
これで全ての工程を終えた。

ついに、完成だ。

これはパッケージに写っていたイメージ図。

こっちが私の完成形。

すみません、店員さん。
私のペーパークラフトに手榴弾の説明書入れてませんか?

なんでこんなことになったんだ。
できたものを見て、思わず呆然とした。

だけど、できてしまったものはしょうがない。
クラフト手榴弾だってきっと何かの役に立つ。

底が丸くてまともに立ちすらしないのはどうすればいいんだろうか。
というか、そもそもなんで底が丸いんだ?

ひとまず拳が収まったので、拳入れとして使えそうだ。

逆さにすると何かっぽいなぁ、と思っていたら思い浮かんだ。

サイコロ博打の器だ!
上半身裸で刺青の入った人が持ってるやつだ!

すみません、店員さん。
私のペーパークラフトに、チンチロ用の器の説明書入れてませんか?

そういえば完成までに2時間近くかかったぞ。
「何が1時間だ!」と思ってパッケージをよく見たら、

「約1時間〜」になっていた。
「〜」ってなんだよ!

2時間かけて、自分の不器用さを思い知りヘナヘナと脱力した。
だけど、正直今までの中では抜きん出て「趣味」をやっている気分になった。

これまでもこの先も、自分から「よし今日はペーパークラフトをやろう!」という気持ちにはならなかったと思う。
だからこそ敢えてやってみることでペーパーを裂く大変さや、つい黙々とやってしまう編み込みの楽しさに気付くことができた。

だけどこれが私の趣味になるか、と問われればちょっとうーんとなってしまう。

なので次回こそは刺繍に挑戦したいと思う。
しかし、正直自信はない。
縫い物のはずが、またチンチロの器を作ってしまうかもしれないし(どうやって?)。

ひとまず、今週はこれにて。
引き続きどうぞ、ご自愛ください。



さあさ、お立ち会い。

丁か半か……


完でした。




過去の趣味さがしはこちら

1、ウクレレ&ペン字練習(途中で負傷)

2、イマジナリーねこ

3、スペースカポカ

4、秘密結社Web飲み会

5、なぜか埼玉のラジオを語る



相馬 光(そうま ひかる)
文芸をやっている。脚本を書くことが多い。
脚本『新米姉妹のふたりごはん』
脚本協力『グッド・ドクター』、『ストロベリーナイト・サーガ』など
第29回フジテレビヤングシナリオ大賞佳作『サヨナラニッポン!』
第28回フジテレビヤングシナリオ大賞最終選考『余命60秒』
『書き出し小説大賞』と『文芸ヌー』にも書いている。
(インターネットウミウシ名義)



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