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【Vol.12】ひとりひとりが生きやすい社会に|ボードゲームデザイナー・スイタ氏さん in 横瀬

皆さんこんにちは。新しい働き方LAB(以下:あたらぼ)の3期生として活動している、ライターのふかとみです。

2023年6月から、LivingAnywhere Commons(以下:LAC)という、全国各地にあるワ―ケーション施設に泊まり、そこで出会う方の働き方や考え方を聞いて、自分の働き方を見つめ直す企画に参加しています。

8月はオリジナル拠点のLAC横瀬で、話題のあの人のお話を聞かせて頂きました! 


スイタ氏さんと初対面

スイタ氏さん

あたらぼのコミュニティの中でよく目にしていた、ボードゲームデザイナーのスイタ氏さんのお名前。
他のLAC拠点でも、スイタ氏さんが作ったというボードゲーム『ソノトキボクハ』が置いてありました。

…ボードゲームデザイナーってどういうことをしてるんだろう?

あたらぼの研究生は数百名いるので、ほとんど話す機会がない方もいるのですが、印象的な肩書と度々見かけるゲームから、「一体どんな方なんだろう?」と勝手ながら考えていました。

LAC横瀬に着いた日に、「あの人がスイタ氏さんだよ~」と紹介され、初めてご挨拶。
いったいどんなお仕事をされているのか、どうしてボードゲームなのか、などなどお聞きしました!

スイタ氏さんのプロフィール
ボードゲームデザイナー。Avignon Games代表。
2022年10月に自身制作のボードゲーム『ソノトキボクハ』を発売。amazon新着ボードゲームランキング5位、Board Game Japanカップ審査員特別賞を受賞するなど、好評を博している。

X(旧Twitter):スイタ氏@クラウドファンディング挑戦中!(@eru_sona7)さん / X (twitter.com)

『ソノトキボクハ』
出題者の気持ちをみんなで当てる協力ゲーム。
(ざっくり言うと)出題者が「気持ちカード」を引き、どんなときにその気持ちになるのか、実際の話をする。回答者はその話を聞いて、出題者がどんな気持ちなのかを予想する…という、価値観の違いを楽しめて、遊ぶ前よりもちょっとだけ相手のことを知れるようになるパーティーゲームです。

▼詳しい遊び方は以下をチェック!

今の働き方について

-- 今はどんな働き方をされているのでしょうか?

ボードゲーム関連のお仕事が主軸ですね。 
具体的には、ボードゲームの制作や販売をしています。その他にも、高校生に対して週1回、ボードゲームのつくり方を教えたり、企業様にボードゲームを使った研修をしたりすることもあります。

また、「こういうゲームを作れないか」という依頼に対応して、ゲーム制作をすることもあります。

-- なぜ、ボードゲームなのでしょうか?

ボードゲームを選んだ理由は大きく3つあります。

1つ目は、遊ぼう!と言ったら、集まるきっかけになるから。
例えば4人用のゲームをやりたいときに、その場に3人しかいないとしたら、近くにいる人を誘ったりしますよね?そういった「集まるきっかけ」になるからです。 

2つ目は、普段見えない表情や、価値観が引き出されるから。

3つ目は、ルールによって擬似的な状況を生み出せるから。
『ソノトキボクハ』でより高い点数を狙うには、出題者の話を最後まできちんと聞き、気持ちを想像して、質問して深掘りしたり、出題者の気持ちがどれかみんなで相談したりする必要があります。

そんな行動を、「当てたい」「正解したい」という楽しいモチベーションで、結果的に作り出すことができる。

これら3つの理由から、ボードゲームをつくっています。

【クラウドファンディング9/2 23:59まで】僕が「ソノトキボクハ」(I felt...)を作った理由/届けたい理由より引用

ボードゲームを生業にした理由

-- 最初にボードゲームを仕事にしようと思ったきっかけは何だったんでしょうか?

実は、「小さい頃からゲームを作っていた」とかではなくて。たまたま就活をしていた時に、入りたいなと思っていた企業さんがボードゲームを作るチャンネルをやっていたんです。
それで、「自分もやってみたい」と思ってやってみました。

ボードゲームって遊ぶよりも作るほうが楽しいんですよ。サッカーとかと同じで、見ているよりも自分でやるほうが楽しかったんですよね。

そのときはとりあえず作ってみただけなんですが、20~30個くらい制作しました。そしたら、いろんな人に遊んでもらって、人が集まったりして。

「こういうの、いいな」って。

また、「こんなことやっていきたい」「こんなふうに生きていきたい」「こんな社会にしていきたい」という気持ちに、ボードゲームが合致したんです。

-- 就活のときに出会ってそれを仕事にしようと決意されたということは、「新卒フリーランス」としてスタートされたんですね。不安とかはなかったですか?

不安はなかったですね。というのも、無知すぎて、どんなリスクがはらんでいるのかもわかってない状態でした。
大学生のときにクラウドファンディングでゲームを販売したり、イラスト関連の仕事をしたりしていたので、なんとか生きていけるかな…とは思っていました。
知識がなかったけど、ないからこそできたと言えるかもしれないです。

あとは10年後、自分の人生を振り返ったときに、こっちのほうがいい・こっちのほうが楽しいだろうなと思って、新卒フリーランスの道を選びました。
辛いことももちろんありますけど、楽しそうな人生だって思える方を選びたかったので。

それに、好きなときに寝て、好きな時に起きて、好きな時に休める。
誰かに「これをしろ」とかも言われないですし、逆にやらなかったらそれは自分のせいで。そのせいで餓死するのも致し方なしという生き方の方が、自分の性格に合っていると思いました。

こたつでお話し

LACとの出会い

-- その中でLACを使い始めたのはどんなきっかけがあったんでしょうか?

LACの存在は、2022年2月頃に知りました。

上京した後にコロナが猛威をふるって、リモートでできることも増えて、同じところばかり行き来していて。せっかく東京にいるのにもったいないなと。

それで興味のあった地方移住について聞きに行ったら、窓口の方からLACを教えてもらって、調べて…

1週間後にはLACつくばにいました。それからはずっとLACつくばにいましたね。コミュマネの杉山さんから、「今日は19時に2人来るからよろしくね」と頼まれるくらい(笑)。

-- もう完全に住民ですよね(笑)。
LACつくばから、LAC横瀬に来た理由はなんだったんでしょうか?

元々LACを使い始めたのは、人との関わりを求めていたのが理由だったんですよ。でもLACつくばの宿泊者数は最大6人くらいで、外との関わりが少ない。つくば文化郷の中にあるので、それを見に来る方はいるんですけど、LACの中までは来ない。

だから、2週間くらいいても、体感では1人でいるみたいな感覚でした。雰囲気もいいし、色々考えごとをするのにはよかったんですけど、「自分の求めているものとは少し違うかも」とも思っていました。

そんな中、LAC横瀬が新しくできたんです。

実は、LACつくばにいたときにたまたまおけいさんと大野さんにお会いしていて。そのときのご縁で、LAC横瀬のオープニングイベントで、みんなでボードゲームをやろうって誘ってもらったんです。

おけいさん:LAC横瀬のコミュマネを務める新堀桂子さん。
大野さん:LAC横瀬に併設する地域のコミュニティスペース『エリア898』の管理人を務める大野洋さん。LAC横瀬のコミュマネとしての役割も担っている。

実際に来てみたら、活気があふれていていいなと思って、LAC横瀬に長期滞在し始めました。

LAC横瀬は東京へのアクセスもいいし、求めていた関わりもある。なんなら隣にはNAZELAB(ナゼラボ)もあるし、小学校からちびっこ達も来るし。

NAZELAB(ナゼラボ)
“学校でも家でも塾でもない” 小中学生の学びの場。
学校へ行かないことを選んだ子ども、学校以外の学びの場を求めている子どもなど、多様な子どもたちが交わり、学ぶ機会を創出しています。

NAZELAB(ナゼラボ)埼玉・横瀬

行政から視察に来た方と話をしたり、地域の方に話しかけられたりなどの交流もあるし、多世代の人達が活気よく交わる場所だったんですよね。

あとは、色々なことを「やりませんか?」って提案したら受け入れてくれる風土が心地よくて
地域に住まう方々からたまに、育てた野菜をいただくこともあって、それもとても助かっています。

今は、イベントなどで色々な場所に行きつつ、軸足をLAC横瀬において生活しています。

みんなが交流できる場所

スイタ氏さんの挑戦

-- そういえば、今年の春にはドイツ・デンマーク・スウェーデンに行かれたとお聞きしましたが、どんなことをされたんですか?

実は、ヨーロッパはボードゲームの本場なんです。ドイツではボードゲームの市場規模が日本の10倍くらいあるので、たくさんの人がボードゲームで遊んでいます。
それで、ドイツが権威のある賞や大きな展示もやっていたので見に行こう!と。あわせて、デンマーク・スウェーデンにも行きました。

ボードゲームを大量に持っていって、それを持って帰ってくることになったらむなしいから、開封済みのものを1個、新品を4個持っていったら、着いて4日くらいで完売したんですよ!なので、手元に残った1個を見せながら1か月くらいまわりましたね。そのときは説明書だけを英訳していきました。

ドイツには知り合いがいなかったんですけど、LACやあたらぼの方に紹介してもらったり、あたらぼの研究生でドイツ在住の方の家に泊まらせていただいたりして。

本当にLACやあたらぼのつながりに感謝しています。
LACでは「スイタ氏いってらっしゃい募金」もしてくださいましたし、ドイツ・デンマーク・スウェーデンのVlogの上映会もエリア899でやらせてもらいました。

-- すごいつながりですね!
そして今は、『ソノトキボクハ』のクラウドファンディングをされているとお聞きしました。しかも目標金額を達成されたのだとか!おめでとうございます!

ありがとうございます!!

-- せっかくのインタビューなので、どんな事業内容なのかお聞きしてもいいですか?

もちろんです!
クラウドファンディングでは、2022年10月に販売した『ソノトキボクハ』の英語版『I felt...』の制作費用(目標金額:50万円〜)を募っています。

僕は「ひとりひとりが生きやすい社会に」というビジョンに向かって活動しているんですけど、それは日本だけじゃなくて、世界中でもそうなってほしいと思っています。

ゲームを届けることで、そういう場を作りたい。
日本にももちろん届けたいですし、日本だけにとどまらず世界にも届けたい。
このゲームを通じて、国や肌の色関係なく、楽しく笑い合える環境作りのきっかけにできればと思っています。

そのため、『ソノトキボクハ(I felt...)』を制作するために必要な印刷料や、展示会への出展料、ドイツへの旅費などを集めたいと思っています。
また、クラウドファンディングを活用することで、10月にドイツの展示会に出展する前に、「国内外で認知度が上がったら嬉しいな」と期待しているところです。

目標金額は達成したのですが、さらに多くの方に『ソノトキボクハ(I felt...)』を届けたいと思っているので、ぜひご支援よろしくお願いします!!

▼『ソノトキボクハ(I felt...)』のクラウドファンディング詳細は下記をクリック!
今回のクラウドファンディングは9/2 23:59まで!リワード(特典)付きの支援もあります
I felt... by AvigonGames — Kickstarter

これからやりたいこと

-- 最後に、これからやりたいことや目指している働き方などを教えてください。

ボードゲームだけに限らず、ひとりひとりが生きやすい社会をつくりたいです。

ボードゲームは「自分がこういうことをしてほしい」というアクションを組み込んで作るんですが、7歳以上じゃないとアクション自体がなかなか難しい、という現状があります。そうするとボードゲームでは、6歳以下の子たちには届けられないことになってしまう。

だからそのときは、アニメや絵本だとか、その子達が受け取りやすい形に変換して、届けられたらと思っています。

自分たちのつくるゲームやアイデアで、国籍や文化、価値観など様々な違いがむしろ新鮮で楽しめ、笑い合えるきっかけをつくっていきたいですね。

インタビューを終えて

ボードゲームといえば、楽しくみんなで遊ぶ、くらいのイメージしかなかった私。
スイタ氏さんの話を聞いて、「ボードゲームってそんなことができるのか!」「そういう捉え方もあったんだ」と、ボードゲームの印象も大きく変わりました。

ただ楽しいだけじゃない。
相手がどんなときにどんな気持ちになるか、考えて、相手の立場をイメージして…

相手のことを想いやる『ソノトキボクハ』も、スイタ氏さんの考え方も、とても素敵だなと思いました。

そしてボードゲームからみんなの笑顔をつくっていきたいというアプローチに、「誰かの幸せや笑顔をつくるやり方はひとつじゃないんだな」「ひとりひとり、色々なやり方にチャレンジしてもいいんだな」と発見や勇気をもらいました。

***

インタビューにご協力いただいたスイタ氏さん、本当にありがとうございました!

『ソノトキボクハ(I felt...)』が世界中に広がって、みんなが相手の気持ちを思いやる素敵な世界ができたらいいなと思います。
クラウドファンディングも、ドイツへの展示会も、心より応援しています。

▼スイタ氏さんの想いが綴られたnoteはこちら


最後まで記事を読んでいただきありがとうございます^^読んでいただけることへの感謝の気持ちを忘れずに、丁寧に言葉を綴っていきたいです。どこかでお会いしたらぜひお話を聞かせてください!