深澤孝史

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[アケヤマメモ 3 続秋山記行編纂室]

アケヤマで僕が実施しているプロジェクトは、半分以上アケヤマの機能と重なっているようなところがあるのであまり一つの作品という感じではないのですが、今回は《続秋山記行編纂室》と題して進めています。 鈴木牧之は江戸後期に1828年に秋山を訪れ『秋山記行』を書き上げました。それは民俗学成立以前の日本において辺境と位置付けられていた雪国そして山の民の生活文化を記録発信するという点で極めて革新的なものでした。 秋山には、生きるための原初的な生活技術が残されており、それらを原始的で遅れ

    • アケヤマ-秋山郷立大赤沢小学校-オープンしました。

      大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024にて、全体の監修をしている『アケヤマ -秋山郷立大赤沢小学校-』 オープンして3週間がたちました。 お客さんもコンスタントに来て、じっくり鑑賞していただいているので大変ありがたいです。 作品、資料、文章、映像など物量が多いので、時間にゆとりを持ってお越しいただけると良いかと思います。 僕がいるときは案内しますのでお気軽にお声がけください。 また、今回、秋山郷の住民をはじめ、秋山に関わる人、建設会社さん、こへび隊の皆さ

      • [アケヤマメモ2 薪ニオタワー]

        秋山郷の特徴的な風景というか生活の術の一つに薪ニオ(木ニオ)がある。長くて寒い冬を越すために大量の薪をストックしており、特に見倉集落の薪は長さが4尺、ニオの高さも2mを超える。 一本の薪の長さが長いのは今と違ってストーブで使うのではなく、ジロ(囲炉裏)のヘリにかけて火にくべていたからとのこと。薪ニオを作るにも一つ一つ知恵が詰まっていて、柱の木(昔はホウノキ、その後杉、現在は単管を使用)にアザリと呼ぶ二又のナラなどの枝を薪を積んでいく途中途中に挟み込み、薪の重さで柱を固定する

        • アケヤマメモ1

          越後妻有大地の芸術祭、秋山郷にある旧大赤沢小学校のディレクションを一任して頂いたのが2021年の12月。気がつくと2年半。1つのプロジェクトでこれほどじっくりフィールドワーク、リサーチをさせてもらうことはなかなかなくはとても貴重な機会を頂いております。 当たり前ですが知れば知るほどに、秋山というのは僕1人で手に負えないほどに深い場所です。 今回はありがたいことに秋山から学んできたことを僕1人で咀嚼して発信するのではなく、複数の作家を招聘させてもらって分野ごとに任せていくと

        [アケヤマメモ 3 続秋山記行編纂室]

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          マテバシイをたてる

          以下文章は内房総アートフェスに出展している《鉄と海苔》の作品で展示しているものです。 マテバシイをたてる  君津の人とマテバシイは似ている。  マテバシイはブナ科マテバシイ属の常緑広葉樹だ。葉っぱが大きく育ちの早いドングリの木。房総半島には多くのマテバシイが広く分布しているが、元々は九州南部、南西諸島が原生と考えられている。千葉ではトウジイ(唐椎)ともよばれ、主に薪炭や海苔養殖のひび建てに使われたため明治から昭和初期にかけてマテバシイが大量に植栽された。  ひびとは、

          マテバシイをたてる

          6/13,14 幌延深地層研究センター 社会科見学レポート

          幌延深地層研究センター 見学に行って来ました。 原子力発電所で出る高レベル放射性廃棄物を地層処分するための実験施設の一つである。 もう一つは岐阜県の瑞浪市にあり、瑞浪の方は、地質が花崗岩でマグマが冷え固まった固い地層、幌延の方は、珪藻土などからできた泥岩で、日本は大きく分けるとこの2パターンの地質ということで2箇所の実験施設が設けられている。 高レベル放射性廃棄物は、ウランや、プルトニウムなどの使用済核燃料を最処理した際に、使えなくなった廃液だけを抽出したもので。計算上は、人

          6/13,14 幌延深地層研究センター 社会科見学レポート