fukanzenchudoku

不完全中毒。

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最近の記事

クーピーとアイデンティティ

自分には、「人と違うこと」がかなり重要なことである。服も、メイクも、持ち物も、趣味も、好きなアイドルも、好きな本も、意見も、考え方も、こだわりも、 そのきっかけとなったのが、転校の経験かもしれないとふと気付いた。 小学生の時、クラスのみんなが色鉛筆を使っている中で、私一人だけがクーピーを使っていた。学用品は入学時に学校で揃えて一式買うのが普通だろう。私は転校をしたので、みんなと違う持ち物を持っていた。クーピーもその一つだった。他の文具類は、多少色が違ったりメーカーが違っ

    • かなしみ

      突然現れる悲しみがあるだろう。 突然現れる、といっても突拍子のないところから出てくるわけでもない。 自分の身体の中どこかにいつもじんわり染みていて、ふとした時に胸に頭に、どこか分からないけどまあ心ってやつがあるところに沁々滲み出てくる悲しみだ。 悲しみに理由があればいい。 理由のある悲しみは易い。 だけどこういう悲しみは、人間という生き物の悲しみだ。 個人には到底背負いきれるものではない。 悲しみに苛まれて、悲しみを味わうようにこんな文章を書いてみたりして、悲しみから逃れる

      • 孤独について

         アナウンスに導かれて慌ただしく立ち上がり、スーツケースを手にする。新幹線の車内電光案内板に「豊橋」の文字を見たとき、一抹の緊張と寂しさが迫ってきた。  これから豊橋にある両親宅へ向かい、一泊して名古屋の新居へ移動する。社命による異動での引っ越し。これまで住んでいた家を去る時には、格別の寂しさも感じず、ただ作業として搬出を行いこの新幹線に乗り込んだのに、目的地に着くと、何かを置いてきてしまったような、緊張と不安を纏った寂しさを感じた。この先に私の知っているものはない。これは旅

        • 春夏秋冬

           春は不安。もやもやと、不安。清新な不安。心が浮つく分だけ、地から足が浮いた分だけ。確かな拠り所を失って、また求めて、見つけたり、見逃したりして。新たな場所で、新たなアイデンティティを模索するとき、人は不安。そんな不安を唯一温かくくるんでくれるものは、春の特権、花開く愛情。春に脅かされ、春に慰められる。不思議な季節。  夏は気だるさ。慣れと惰性。来る日も来る日も同じ温度と同じ質感。永遠に続くような単調な空気。けれどこのしぶとい空気に勝てたら本物だろうと。闇雲に、些末な枝葉を

        クーピーとアイデンティティ

          『風の迷路』

           日々の生活はきっと、そういうものだ。幸福に満たされて迎える夜よりも、憂鬱に抱かれて頭を預ける夜の方がずっと多い。不安は私たちに愛をくれるだろうか。私を抱いて、慰めてくれようとでも、いうのだろうか。否、私は不安に抱かれて、安心だとでもいうのだろうか?  人は何に従って生きていけばいいのか。真実は、いつもつらい。しんどい。唯一の正義のような顔をした真実に、私を救えるものか。  私たちを本当に芯から救ってくれるものは愛だと信じたい。その愛は、憂鬱を吹き飛ばしてくれる。その愛は

          『風の迷路』

          Everything is between the sun and 23.4° tilt of the Earth's axis.

             すべてのことは、太陽と地軸の23.4°の傾きの間にある。  そう気付いたのは高校3年生、大学受験のために手にした地理の教科書の最初の数ページを読んだ時だった。  「地理」という、私に世界の理を説明してくれた壮大な教科の始まりは、世界の気候区分のお話だった。  世界にはたくさんの特徴ある気候があって、そのグラデーションを、学問の例に漏れず地理でも「分割」して「命名」することによって説明していた。  寒帯、冷帯、温帯、乾燥帯、熱帯、各気候帯の中にもいくつか種類があって、気

          Everything is between the sun and 23.4° tilt of the Earth's axis.