新人会員のトリセツ①
MartinRoyal代表の須藤です。昨年会社員を辞め、スポーツ・武道団体向けの運営支援サービス"FUKAMIE"をはじめました。
このブログでは事業を通して、そしてこれまでの経験から、スポーツ・武道団体を運営している方に少しでも有益な情報を伝えられればと思っております。
今回からは「会員がより早く上達する指導方法」について考えてみたいと思います。最初の回の今回は特に「新人指導」にフォーカスを当てたいと思います。
その道の技術面や精神面のご指導については、各団体の先生方が一番よくご存知のことと思いますので、ここでは、組織運営の延長としての指導について考えてみたいと思います。
○ 「見取り稽古」の弊害
武道の道場ではよくみられる風景として、先生や先輩のやり方を見て学ばせる「見取り稽古」というものがあります。
これは先生や先輩が手取り足取り教えるのではなく、あくまで生徒が自分で先生や先輩のやり方を見て、自ら稽古して盗むというやり方です。
「見取り稽古」は明確に意識されていなくても、無意識に先生や先輩の中に染み付いているために、ややもすると、新入会員が入ってきても、あまり説明せず、とにかくやらせてみる、という指導が結構あるように思います。
武道としては実はとても大事な要素が含まれている見取り稽古なのですが、それを全く知らない新入会員にとっては不安になることも多く、それが原因で退会してしまうこともあります。
○ 「教えすぎ」の何が問題?
逆に、先輩が新人指導に熱が入りすぎて教えすぎてしまう「教えすぎ」もよくみられる風景です。 「教えすぎ」は本人としては良かれと思って教えているのですが、新入会員のキャパをすぐに超えてしまい、ほとんどは身につきません。
そうすると、段々「何でこんなに教えているのにできなんだ!」という気持ちが膨らんできて、しまいには腹が立ち、できない新入会員のことを叱ってしまう、なんていうことにもなりかねません。
そうすると、やはり新入会員としてはモチベーションが下がり、退会へと繋がってしまいます。
これはあまりにもお互いにもったいないですね。
では、どう指導すれば、このような状況を避けることができるのでしょうか?
○ 新入会員は不安でいっぱい!?
「どう指導するか」を考えるには、「新入会員はどういう状態なのか」を理解するのが早道です。
結論から言うと、新入会員は例外なく不安でいっぱいの状態です。
初めての場所、初めての人々、初めての作法、そして初めての技。何から何まで初めてですから、不安がない方が不自然なくらいです。
なぜ不安になるかというと「先が読めない」からに他なりません。
「これからどういう場所に行くの?」(迷わないでいけるだろうか? 更衣室はあるだろうか?)
「これからどういう人たちがいるの?」(怖い人はいないだろうか? 仲良くなれるだろうか?)
「これから何をやらないといけないの?」 (できないと怒られてしまうかもしれない・・・)
といった不確実な未来にいろいろ想像を働かせてしまい、新入会員は不安になります。
これは自分がまったく違う分野の趣味などを始めるときを考えてみるのもヒントになります。
たとえば社交ダンスを始めようと思って教室に通い始めたけど、最初の1ヶ月は「はい、じゃあステップこれやりますね、見て覚えてくださいねー、とりあえずやってみましょう!やっているうちに覚えますから」と言われているような感じです。
「え?これでどうやって踊りになっていくの?というか覚えきれない…」という感覚がほとんどじゃないでしょうか。
○ 先を見せてガイドしよう!
このようなことがわかると、指導の仕方もわかってきます。
つまり、
(1)指導以前に不安を解消するためのレクチャーを行う(指導の事前準備)
(2)常にこれから何をやるかを伝えながら指導する(指導の先行オーガナイズ)
の2点が重要なポイントになります。
「指導の事前準備」とは指導に入る前に「施設」や「人たち」や「作法」や「技術」についてレクチャーを行うということです。
これを行うことで、新入会員は格段に安心することができ、稽古に集中できるようになります。
「指導の先行オーガナイズ」とは、指導するたびに
「これからこういうことをやります」
「ゴールはこうなることです」
「そのためにこれとこれとこういうことをやります」
といった具合に、これからの指導のガイドをしてあげることです。
これを行うことで、新人はこれから行うことのイメージを持つことができるため、指導の内容をすっきり理解することができます。
今回は「新人指導」をテーマに「不安を解消することの重要性」について書いてきましたが、ぜひこの観点から、いまご自身の団体で行われている先生や先輩の指導を確認してみてください。
次回も引き続き「新人指導」をテーマに考えていきましょう。
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