滋味礼讃 41 ザンギ
非常に物議をかもしやすいお題『ザンギ』です。
北海道に移住したとき、驚いたことのひとつがこれ。みんな鶏の唐揚げを『ザンギ』って呼ぶんです。で、タコの唐揚げの場合は『タコザンギ』なんですけど、なにもつけない『ザンギ』は必ず鶏肉をさします。
唐揚げと違うのか? という定義はどうも人それぞれのようで定まっていはいないようですが、下味をあらかじめ肉に必ずつけるという特徴はあるかも。
私の作り方はボウルや袋にぶつ切りにした鶏肉を入れ、卵、醤油、しょうが汁、胡椒、酒を入れてもみあわせて寝かせます。明日がお休みの方はおろしにんにくも入れてみましょう。肉をしっとりさせるには蜂蜜もいいらしいです。そして少なくとも30分はおいたら、その中に小麦粉を入れて混ぜます。あとは熱した油でそこから取り出した鶏肉を揚げるだけ。
下味に粉も一緒に馴染ませるので、下味そのものがついた衣をまとって揚げるという感覚でしょうか。そのせいで、衣の色は焦げ目が強い気がします。
私の母が作る『唐揚げ』は塩と胡椒をまぶした鶏肉に片栗粉をまぶして揚げるものでして、多分世間一般で竜田揚げと呼ぶものでした。初めてザンギを目にしたときの驚きったら。衣までうまいなんて……! といたく感動しました。
ご家庭によっては小麦粉に片栗粉を少し混ぜたり、下味に他のものを入れたり様々。どこからが唐揚げで、どこからがザンギなのか。その定義は北海道の人もよくわかっていないかもしれません。言語も料理も変化して移り行くものということでしょうか。
ただ一つだけ言えるのは、間違いなくお弁当や持ち寄りパーティーの花形ということですね。
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