滋味礼讃 33 二人静
以前、京都の『御池煎餅』について書きましたが、今回は名古屋の銘菓です。
名古屋市に本社を構える両口屋是清さんの『二人静』というお菓子なんですが、これがまた可愛らしいんです。
創業が寛永11年(1634)という両口屋是清さんのこの銘菓は徳島県産の和三盆糖を使用した御干菓子なのですが、白い半球体と紅い半球体が対になって一つの球体として包まれています。
紅白それぞれ、二つで一つ。可愛らしい限り。しかも口に入れるとほろっと溶ける優しい口当たり。
箱も平安時代の男女が寄り添う白いものと、八角の木箱と選べるようです。
初めてこの銘菓を見たとき、対になって一つというのが気に入りまして。なんだか初々しい二人のようで可愛らしいじゃありませんか。しかもふわりと柔らかくて甘い口どけ。
実際にご覧になるとよくおわかりいただけると思うのですが、形は本当にシンプル。
それを包む白い紙も無地で、まるで純粋無垢な恋人の心のようです。
一つ一つ大切に開いてそっと楽しむのですが、和三盆の甘さのせいか、それとも健気に寄り添う二人を思い描くせいか、とても優しい気持ちになって目元口元が思わず綻んでしまう銘菓なのです。
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