見出し画像

滋味礼讃 54 菜飯

 本日は『菜飯』です。簡単に言いますと青菜をあわせた御飯ですね。

 我が家では、炊き込むと色が悪くなるので、いつも大根やカブの葉を茹でて刻み、塩で揉んでから御飯にあえるようにしています。うちの夫は大根の葉が大好きなんですよ。おひたしや和え物でも喜びますが、菜飯は至福でしょうね。

 さて、私が菜飯を知ったのは池波正太郎著『鬼平犯科張』を読んだときです。なんとも素朴ながらぐっと胃袋を鷲づかみにされる魔力は池波ファンならば必ず通る道かと思います。

 漬かり過ぎた糠漬けは刻んで御飯に混ぜてしまうと菜飯みたいで美味いという知恵も池波先生のエッセイで知ったような気がするんですが、記憶があいまいです。それをそのままお茶漬けにしても最高です。

 菜飯にしても糠漬けを混ぜこんだ御飯にしても、米の美味さと野菜の持ち味、そして塩気。その簡素さがいいのかもしれません。シンプルだからこそ、ごまかしのきかない味なんですよね。そして手間もかからずすぐできる。ちょっと食欲がない日にあると胃袋に染み入りそうです。

 なんだかお酒を飲みながらではなく、飲んだ後にいただきたい一品です。菜飯を頬張った後のお味噌汁がまた美味そうだなぁ……。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?