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滋味礼讃 133 かぶ

 好きな食べ物をきかれて真っ先に「かぶ」と答える人に出会ったことがないのですが、私にとっては結構好きな野菜ランキング上位にくいこみます。味ももちろん、包丁で皮をむく感触もいいし、なによりあの形が好きなのです。

 一言にかぶといっても、多くの種類がありますね。日本でも千枚漬けで有名な聖護院かぶをはじめ、日本各地でいろんなかぶを見かけます。

 それに、リチャード・スキャリーの絵本に出てくるかぶは紫がかっていました。ロシア民話の『おおきなかぶ』は特別ですね。

 動物の言葉を話すドリトル先生の家に住むブタのガブガブは、傷んだかぶを食べてお腹をこわしたこともありました。『ドリトル先生の楽しい家』という短編集にそのエピソードがあります。

 宮部みゆきの『初ものがたり』では正体不明のいなり寿司屋の主人が旬のかぶを使った蕪汁を主人公にすすめます。小さなかぶを丸々使い、葉を少し散らし、味噌で味付けした汁物だそうです。美味しそうですねぇ。

 夫は大根やかぶの葉が大好物でして、さっと茹でて細かく刻んだものを塩もみして常備菜にしております。これをサッと味噌汁やチャーハンに入れてもいいし、納豆にまぜて炊きたてご飯にかけても美味しいんです。

 今までは、実は漬物にしたり、お出汁と塩で茹でたり、醤油味のそぼろあんかけにして出したりしておりました。でも、『初ものがたり』のように味噌で味付けをしたことはなかったですね。今度ためしてみようと思います。

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