ECモールの流通総額を比較してみた

こちらのnoteではファッション業界の最新ニュースを1週間に5本程度解説し、その先に起こり得る事や豆知識を盛り込んでご提供いたします。
先週のピックアップニュースは下記の通りです。

・ECモールの流通総額を比較してみた
・しまむらの業績不振の理由を考る
・BASEってスピード感すごくない?
・ネッタポルテの変遷をまとめてみた
・ストライプデパートメントの売上対策を勝手に考案


ECモールの流通総額を比較してみた

上場発表のメルカリ、流通額ですでに「ゾゾ」超えか

2017年6月期時点のメルカリ全体での流通総額はグローバルで2480億円、国内では2300億円だった。今期は17年6月〜18年3月までの第3四半期までの累計で2660億円を突破しており、ファッションEC「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」擁するスタートトゥデイの18年3月期の流通総額(2705億円)とほぼ並んだ。メルカリの18年6月期では3000億円突破が確実とみられる。

メルカリの上場にファッション業界も話題が沸騰しており、いつものごとくZOZOとの比較が始まる始末。ビジネスモデル全然違うんだから比較してもしょーがないと思いながらも、プラットフォームとしてどちらが大きいかはやはりちょっと気になるところ。メルカリのようなC to Cアプリ含むマーケットプレイス型のECにおいて重要な指標の一つがお題にもなっている「流通総額」。という訳で今週は主要プラットフォームの流通総額について直近の数字を調べてみました。

2016年はこちらにまとめられてますね。

①メルカリ
メルカリは上記の記事にも記載があるのですぐわかりますね。メルカリの流通総額とそれに対する売上は、

流通総額    2660億円
メルカリ売上  220億7100万円

ZOZOと並んだと言われる流通総額ですが、ファッション関連メインのZOZOと、ユーザーの私物なら何でもあるメルカリですから比較対象としては超微妙です。(なら比較するなというツッコミはご遠慮ください(笑))現在メルカリのアプリDL数は、

18年3月時点で1億800万で、国内に限れば7100万を突破、海外も急激にユーザーを伸ばしていることがわかる。月間のユニークユーザー数は18年3月時点で1030万だ。

国内で7100万DLとほとんど頭打ちじゃないかと思えるような数字です。その他、世界ではアメリカ・イギリスで主に展開しているようですが、

メルカリがローンチから約4年半で世界1億ダウンロード突破、ネイマールがブランドアンバサダーに就任

アメリカだけで3000万DLを突破。海外展開がうまくいけばユーザー増加→出品数増加→流通総額増加となるでしょうから、メルカリの海外展開は今後の成長スピードにおいては海外のプラットフォーム拡大が非常に重要なポイントになりそうです。

②楽天
メルカリのライバル「ラクマ」を運営する楽天 。newspicksではZOZOTOWN賞賛の楽天フルボッコのコメント欄にやや震えましたがその実態はどんなものでしょうか。

流通総額    3兆3797億円(国内ECのみ:2017年)
楽天売上    3900億9千万円(国内ECのみ:2017年)

と流石に規模感が違いますね。国内流通総額が前年同期比で13.6%増。出店店舗数が鈍化していて成長ストップしてたはず、、、と思っていましたが、 2017年は1091店舗増えていました。

楽天のフリマアプリ「ラクマ」、販売手数料を3.5%に改定

C to Cのみの流通総額は1400億円を超えたとの事で、メルカリの50%強。無料だった手数料ですが、これから取りにいくようですね。メルカリと併用して使ってる印象が強いですが、この手数料がどう転ぶか注目です。

③ヤフー

流通総額    2兆1000億円(コマース事業:2017年)
ヤフー売上   5964億円(コマース事業:2017年)

内訳は
ショッピング:6276億円
オークション:9426億円

でその他はアスクルグループになります。出店無料にしてからショッピングの成長が目覚ましいヤフー。オークションの流通総額もメルカリと比べてまだまだ規模は大きいですが、若年層に強くスマートフォンユーザーを獲得しているメルカリに対しどう対処していくのかが焦点でしょうか。LINEモールやZOZOフリマも撤退しているだけにメルカリが脅威である事は間違いありません。

④ZOZOTOWN
何でも比較対象にされるZOZOTOWN。最近は家具やコスメなんかも取り扱いが増えていますが、ファッション関連メインなので上記3社と比較すると拡大のハードルは高そうではありますが、

流通総額      2705億円(2017年)
ZOZO売上   984億3200万円(2017年)

ZOZO USED取扱額が159.5億円。流通総額は前年の2120億円から大幅に成長。アパレル以外も積極的に取り入れている効果でしょうか。気になるのはプチプラ系のブランドの増加ですね。楽天に出店している事業者がZOZOに進出してきており、裾の価格がえらい事になっています。国内の主要ブランドはほぼ出店しているでしょうから、流通総額増やす為になりふり構ってられないのかもしれません。

⑤ロコンド
圧倒的2位グループを作るとぶち上げたロコンド。2017年に上場も果たしましたが規模的にはまだまだ上記のプラットフォームと比較すると小さいようで、

流通総額    94億9500万円(2017年)
ロコンド売上  39億7200万円(2017年)

という状況。ZOZOを超える2位グループ作ろうと思うと単純に自社と同規模の企業が30社連携しないと太刀打ちできません。

競争激化のファッションECでマガシークはなぜ成長している?【井上社長インタビュー】

同じ2位グループに名乗りをあげてるマガシークでも流通総額は200億円程度。成長鈍化が見られるZOZOですが、ファッション関連では下位と比較しても圧倒的な差があると言えます。やはり脅威はアマゾンくらいかと。特徴としてはファッションECモールも拡大路線を取る場合、アパレル製品のみならず親和性の高いライフスタイル系のアイテムを取り入れる傾向にあります。

例えばこちらのショップリストのアイテムカテゴリーにはコスメ、ウィッグ、カラコンまであります。自社の売上を伸ばそうと思うと流通総額を伸ばさなければならず、その為には出品数や購入者数、そして購買頻度を伸ばす必要があります。アパレル製品は商品特性上、購買頻度を上げるのが難しいので出品数だけを担保するのではなく、購買頻度を上げれるアイテムの取り扱いは更に増えてくるでしょう。


しまむらの業績不振の理由を考る

しまむら急ブレーキ…「しまパト」熱なぜ冷めた

しまむらが4月に発表した2018年2月期連結決算は、売上高が前年比0.1%減の5651億円にとどまったほか、本業のもうけを示す営業利益が12.1%減の428億円、最終利益が9.6%減の297億円とそれぞれ大幅減となった。

ちょっと前まで賞賛されまくっていたしまむらですが、ここにきて営業利益が大幅減。こちらの記事ではその理由を、

・店舗数が増えすぎた為、在庫管理が煩雑になり機会損失が増えた
・商品を縦に積む事で型数が減り、しまパトの醍醐味が消えた
・低価格ブランドが全般的に不振
・ECの出遅れ
・フリマアプリの脅威

と分類。

売上と経常利益の推移を見てみますと、

       売上   経常利益  経常利益率 
2018 2月期 565,102    43,920     7.7%
2017 2月期 565,469   50,079     8.8%
2016 2月期 546,058   40,709     7.4%
2015 2月期 511,893     38,601     7.5%
2014 2月期 501,898    44,016     8.7%
(単位:百万)

前年と比較すると業績は下がっていますが、 経常利益を見ると2015、2016年とあまり変わらない状況。上記で言われている「店舗数の増加」「商品を縦に積む」「ECの出遅れ」に関しては同意です。しまむらは先先代の藤原社長の時に店舗数は上限1000店舗と設定していたはず。それが今やしまむら単体で1401店舗。それに対してユニクロは近年店舗数が増えておらずスクラップ&ビルドを繰り返しながら800店舗程度にとどめています。代わりにオンラインの数字を伸ばしていますがしまむらは手付かずの状況。

しまむらのECは成功するのかどうか考察してみた!

これに関しては以前に書いておりますのでよろしければご覧になってみてください。

まだまだ十分に利益は出ている状況で全く危険水域ではありませんが、僕が感じるしまむら不振の理由をいくつか書いておきたいと思います。

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