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しまむらの「店頭取置き予約アプリ」は自社ECオープンへの布石か?

こちらのnoteではファッション業界の最新ニュースを1週間に5本程度解説し、その先に起こり得る事や豆知識を盛り込んでご提供いたします。
先週のピックアップニュースは下記の通りです。

・しまむらの「店頭取置き予約アプリ」は自社ECオープンへの布石か?
・ブランド化は人材獲得にも効果的
・ビームスの海外戦略がめっちゃ秀逸!
・百貨店アパレルが続々とZOZO撤退を表明!気になるTSIの状況は?
・読モを雑誌で見なくなった理由


しまむらの「店頭取置き予約アプリ」は自社ECオープンへの布石か?

しまむらがスマホで注文&店頭受け取りのアプリ「しまコレ」をスタート

しまむらは1月7日、商品の店頭取置予約を行えるアプリ「しまコレ」の提供を開始した。注文1回当たり同一商品につき最大10点、8種類(最大80点)まで予約することが可能。アプリに決済機能は搭載されていないため、店頭で代金を支払う必要がある。「しまコレ」は会員登録せずに利用できる。商品を選び、取り置きする店舗を選択すると、注文後1週間前後で商品が店舗に届くという。商品が店舗に到着すると、ユーザーのスマホにプッシュ通知が届く。店頭での保管期間は1週間。期日を過ぎると自動的にキャンセルとなる。

しまむらの店頭取置き予約用のアプリがスタート。店頭取り置き予約ができるブランドは既にいくつかありますが、大体がECサイト上での展開。それが、しまむらはいきなり店頭予約のみで、しかもアプリでの展開。アプリをDLさせるのってめっちゃハードル高いんですが、しまむらくらい店舗やLINE@の会員数多ければ顧客にリーチさせる事は可能かもしれません。(1月20日の段階で約950万人もおるぞ…。)

で、週末にアプリへ誘導するLINEの通知が来ました…!

ECは相変わらずZOZOTOWNの展開のみ。当初からですが、取り扱い商品点数はめっちゃ少ない。。これ売上全然無いのでは?やる気が感じられない…。

では、この取り置き予約アプリの中身がどんなものか早速チェックしてみる事に!

○使い方はめっちゃ簡単!
ECと違い、「店頭取り置き予約」のみが目的なので、会員・決済情報の登録が無く使い方はめっちゃ簡単です。

一覧から商品を選び、

詳細情報を見てカートに入れるだけ。

近隣店舗から取り置きするお店を選びます。

会員登録もいらないからすぐ済みます。

バーコードが発行されるので、後はこれを近隣の販売店で見せるだけ。


◯自社物流が最大の強み

知ってる方も多いとは思いますが、しまむらは自社物流網を持っています。

これにより、店から店へ商品を送る、所謂「店間移動」のコストが劇的に下がったのですが、「店頭取り置き予約」で売れる前に地域での売れ筋予測ができるようになれば、より機会損失も減るのではないでしょうか。今までは、各店での売れ行きを見ながら店間移動していたはずですが、今後は売れる前に予測がつき、効率の良いディストリビューションを実現していく事が可能になるかもしれません。


○ここまでやって何でECやらないの?

懸念点としては、誰が試着しに来るかもわからないサービスですので(アプリでの予約が会員情報と紐づいていないので)、変に店頭業務が煩雑になって人的コストが嵩まないかってところですかね。

で、これを見て皆さん同様の事を感じたと思うんですが、ここまでやるなら何で自社ECやらないのかって事ですね。ある程度の品番に絞ってモデル起用して撮影、で商品詳細ページ作り込んでカートまで用意しています。もしかしたら、これでDL数伸びた後にECに展開するのかなーとも推測できるのですが、さてどうでしょうか。ていうか絶対やるでしょうね(笑)なんせこれに会員登録と決済機能付けたら立派なECサイトに変身する訳ですから。


ブランド化は人材獲得にも効果的

「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」日本特別講座公式ウェブサイトがオープン|ART

「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」は、日本特別講座開校に先駆け、2019年1月15日(火)に日本特別講座公式ウェブサイト(https://jp.lecolevancleefarpels.com/)をオープン。公式ウェブサイトでは2019年2月に、東京都内にある京都造形芸術大学 外苑キャンパスで開校する「レコール」のすべての講義のオンライン登録が可能であり、同時にそれぞれの講義の内容、レコールの概要を説明している。

これ、個人的にめっちゃ気になるニュースだったのでピックアップしました。バッグや革小物系のラグジュアリーブランドが自前で職人を育成する為の学校を作ったりしている事例は割と有名なんですが、宝飾系のブランドも同様の事をやっていたようです。上記は宝飾系ブランドである「ヴァン クリーフ&アーペル」が支援しているという事例ですね。2012年から始まっていて、本校がパリにあるようです。

○どんなカリキュラムなのか?

ヴァン クリーフ&アーペルのwebサイト上でも学校の様子が確認できます。上記ページにはレコール ジュエリーでの学習の様子が動画で紹介されています。

驚いた事に、ページにはカート機能が付いていて、コースを今すぐ簡単に決済して受講する事が可能になっています。で、受講できる講義も多彩で、がっつり制作する講義もあれば、

ワークショップもあり、

ミーティング的なものまで。。これなら割と気軽に「行ってみようかな」ってなりますね。エントリーしやすい仕様です。ジュエリーについての知識も動画で紹介してくれたりと、ユーザーにとって利便性の高いサイトになっています。


○ブランドが支援する理由は?

最近、地方の縫製工場や生地の産地の方々とお話する機会が増えてきていますが、どこも新しい人材が見つからないと言っておられます。その中でまだ採用がうまくいってるところって「学校支援」してたりするんです。当たり前の事ではありますが、学校支援は「社会貢献」と同時に「人材獲得」にも繋がります。海外の学校支援をしているところなんかは特に安価で人材獲得できている印象がありますね。

働く側からすると、「ブランドが支援」って見つけやすいし、自分の仕事に誇りを持ちやすいと思うんです。僕の教え子でも大概の学生さんは就職で選ぶ企業を「ブランド」で選択しています。ブランドの資産って人材獲得の際にも有効なのです。となるとブランド支援やブランド自体が学校を作るって人材獲得でも非常に合理的です。日本ではブランドが学校を支援したり学校を作ったりというケースがあまりありませんが(そもそも自社で工場を保有していないところが多い)、ラグジュアリーを目指すブランドはこのような取り組みは是非進めてほしいと思う次第です。


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