リユース市場がコモディティ化?

こちらのnoteではファッション業界の最新ニュースを1週間に5本程度解説し、その先に起こり得る事や豆知識を盛り込んでご提供いたします。
先週のピックアップニュースは下記の通りです。

・リユース市場がコモディティ化?
・コエの施策はコンセプトとちゃんと整合性が取れているのか考えてみた
・アクアガールのショップリスト出店に驚きを隠せない…
・ファッションブランドがライフスタイルを提案する意味
・Polyvore買収でSSENSEのリーチが伸びる?


リユース市場がコモディティ化?

リユースのゲオが「チャンピオン」別注アイテムを発売

ゲオ(愛知、吉川恭史・社長)は、運営するリユースショップのセカンドストリートとジャンブルストアのプライベートブランドで2011年にデビューした「アンティクローズ(ANTIQULOTHES)」において、「チャンピオン(CHAMPION)」に別注した帽子を4月7日から発売する。「チャンピオン」への別注は2回目で、他にもワークウエアブランドの「ベンデイビス(BEN DAVIS)」やスポーツブランドの「フィラ(FILA)」との協業実績がある。

リユース市場の伸びと共に、様々なサービスの乱立と店舗の増加が見られるようになりました。そんな中、ゲオからチャンピオンとの別注が発売。過去にも他ブランドとの別注商品はあるようで、そのどれもが過去古着屋でよく見かけれらたブランドばかりですから、リユースとの親和性が高いのではないでしょうか。

○リユースショップがコモディティ化?
リユースショップがPBを開発し、ブランドとの別注商品を発売する。そういった背景には、競合他社が多く参入している市場であり、その中で差別化を図らなければならないという事情があります。web上だけでもヤフオクやメルカリ、ZOZOユーズドなど巨大プラットフォームがある上に、リアル店舗でもリユースショップは数多く存在します。このようにリユース市場の盛り上がりと共にサービスが乱立すると、自社サービスが埋もれてしまいます。その中で自店を選んでもらう理由がどうしても必要になる。その一つの答えがこの「別注」であり「PB展開」になるのでしょう。仮に自店のショップ名が製品にロゴで印字され、それが周囲に認知されるようになると、それは立派なブランドと言えます。自店をブランド化してしまう事が差別化にもなり、付加価値を高める手段にもなります。

○中古品に抵抗が無い時代?

メルカリが意識調査 「若者の新品離れ」くっきり

商品を購入する際に「新品であることが重要」と回答した人は、利用者、非利用者合わせて3割以下。特に、20代の半数以上が中古品を購入し使用することに「あまり抵抗を感じない」「全く抵抗を感じない」と回答した。新品へのこだわりが低下しているがうかがえる。

メルカリの調査では、若者は新品に対するこだわりが低下しており中古品を購入する割合が増えていると報じています。こういった実態があるからこそ、リユースショップでも差別化戦略は重要です。10数年前、まだ個店ベースの古着屋が市場に多く存在していた頃、有名古着店や名物バイヤー・ショップ店員が雑誌でもたくさん紹介されていた時代でした。この頃でも自然と「あのショップに置いているから良い物」といった雰囲気は確かに存在していて、差別化要素になっていたように思います。ただ、若者は今も昔も古着だろうが何だろうが気にせず購入していたように思いますので、「新品へのこだわりが低下」というのはちょっと違う気がしています。インフラの整備や商品点数の増加がそういったように見せているのではないでしょうか。

アパレルブランドだけでなく、昨今はメディアもECモールも、そしてリユース店までもがブランド化しなければならない時代になっています。一つの物が流行ればそれに追随するように類似サービスが生まれる。コモディティ化してしまい差別化が必要になる。どの市場でも見られる現象でしょうが、これを予測し、初めからブランド設計した上でサービスを開始した方が効率的でしょう。

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