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渋沢栄一・企業と道徳

概論

資本主義は行き詰まった。

企業は行動を見直すべきだ、という指摘が

多くなされるようになった。

主に日本を含む先進国で「何だか上手くいって

いないぞ。変えなければ」

という気分が広がっていると思う。どう変える

べきか、の答えの一つに渋沢栄一の「論語と算盤」

がある。

大阪のあるベンチャー経営者の男性によると

社会的に意義がある事業だと消費者が

共感してくれたときから利益は安定したそう

だ。

彼が決して平坦ではなかった道のりを経て

導き出した結論は渋沢的で、「理念がしっ

かりしていれば、お金はついてくる。」

言うは易く行うは難し、なのは確かだ。

しかし、著名な経営者の傍若無人な振る舞い

や、国際的な規制などをめぐる経済団体の

いささか手前勝手な主張をみると、何とか

ならないかとも思う。

お手本は割に簡単に見つかるはずだ。

ESG、CSV、SDGs、といった略語が会社案内

の冊子に増殖している。

目先の利益ばかりを追わずに社会に貢献する

企業を目指すーという決意の表れだ。

これらのアルファベット群を指針とする経営は

世界的なトレンドとなりつつあるが、実は「近代

日本資本主義の父」と称される渋沢栄一の教えと

重なる。

今年、生誕180年の渋沢。その言葉は今も生きて

いる。

株主よりも・・・・・

「米国の資本主義が変わってきた。」

経済連合会のA氏は関西財界セミナーで、出席

した経営者らに語りかけた。

「米国企業は動き出すと早い。」

取引先選別や投資判断の基準が変わるかも知れず、

日本企業も備えるべきだ、との警鐘だ。

端的に言えば、米国企業は株主を強く意識して短期

的な利益を追う傾向がある、とされてきた。

それが「変わってきた」とA氏に言わしめたのは、

米国の経営者団体、ビジネス・ラウンドテーブル(BRT)

が昨年8月に出した「企業の目的に関する声明 」だ。

声明は、重視すべき利害関係者として消費者や従業員、

地域、環境を上位に挙げ、株主を一番下においた。

また、長期的な利益を重視するという。

アップル、フェデックス、ウオールマートといった

有力企業の経営者約190人がサインしている。

背景にあるのは、格差拡大とそれに伴うポピュリズム

(大衆迎合主義)の台頭、気候変動に対する危機感だ。

放置すれば社会は不安定化し、企業が悪者にされかねない。

しかし、企業の取り組みによって問題が改善する可能性

もある。

そのキーワードとなるのが、環境・社会・ガバナンス(企業

統治)を考慮した「ESG投資」、「ESG経営」や、社会問題に

取り組むことで利益をあげるCSV(共有価値の創造)経営」などだ。

変わる投資原則

「ESG投資は欧州の社債市場から広がりをみせている。」

と、メガバンク系証券会社で当初銀行業務を担当する幹部は指摘する。

「米国企業も、その流れを軽視できなくなっている。」

実際、国連がESG投資などを通じて企業に責任ある行動を促そうと

2005年に「責任投資原則(PRI)」を発表すると、機関投資家が翌年に

自主団体「PRI]を設立。

現在、2300超の機関投資家などが登録し、19年の運用資産総額は86兆

ドル(約9100兆円)を上回る。

うちESG投資は30兆ドルともされ、広がりをみせている。























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