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【レビュー】続編制作求む! DAYS GONE

※個人の見解です。ネタバレ無し。購入検討の参考になれば幸いです。

本作は2019年にSIEより発売されたオープンワールドサバイバルアクション。

生物を狂暴化させる謎のウイルスが蔓延し、多数の感染者たちによる殺戮によって文明が崩壊に追い込まれた世界を、主人公ディーコンが生き別れた妻の痕跡を追って他の生存者と協力したり、時には対立しながら生き抜いていくというもの。

雰囲気は「ウォーキング・デッド」や「The Last of Us」に近いです。感染者の大群が登場する、というので「デッドライジング」シリーズのようなゾンビを蹴散らすゲームという印象をお持ちの方もいるでしょうが、全くの別物です。

特に武器の弱い序盤は一体一体の感染者が結構手強く、倒しても弾薬分のコストすら回収できないので、どちらかというとステルスよりの立ち回りを求められることになります。大群を相手取れるのはある程度武器やスキルの揃った中~終盤あたりからなので誤解無きよう。

便利ではないからこそ生まれる緊張感

序盤はとにかく窮屈です。

先ほど述べたように武器が貧弱なのに対して感染者が手強く実入りも少ないのでなるべく相手したくないし、バイクの燃費はとにかく劣悪で頻繁に給油に戻らなくてはなりません。

さらにバイクがないとセーブもファストトラベルも出来ず、ファストトラベルは自操作で走る以上に燃料を要求されるという仕様となっている為、行動範囲に強く制限がかけられています。

しかしこうした制限があるからこそ、常に帰りの燃料や弾薬費用のことを考え、如何に弾を節約して敵を倒すか、より多くのアイテムを回収できるかといった点に駆け引きが生まれ、広大なオープンワールドであっても「バイオハザード」シリーズのような緊張感を生むことに成功しています。銃を撃てるゲームなのに弾薬費用がかからないおかげで近接武器がバランス的に死んでいないのも好印象です。

燃料の要素はサバイバルゲームで言うところの「満腹度」に近い役割を果たしており、難易度の高いエリアに行けないようプレイヤーの行動範囲をコントロールしているわけです。

こうした物資の困窮は、終末世界の厳しさを描く一助にもなっており、世界観に対して大きなシナジーを発揮していると感じます。

終末世界を舞台とした巧みなドラマ

ディーコンはパンデミック発生前から生粋のバイカーだったこともあり、一カ所にはとどまらず、愛車であり本作を象徴する要素であるバイクにまたがり自然豊かなアメリカ・オレゴン州を渡り歩く生活を送っています。

妻を失ったことで少し自暴自棄になってる節があり、また相棒・ブーザーが負った怪我に対して強く責任を感じているので序盤は荒れ気味。必ずしも好人物ではないですが、そこに人間臭さを感じました。

彼のことがわかっていくに連れて面白くなってくると思いますので、序盤で「微妙だな・・・」と感じても我慢して進めてみて下さい。

世界観についても単なる没個性なゾンビものには終わらない工夫はなされているように感じます。

目玉要素の一つである大群は、災害のごとく抵抗し得ない脅威として終盤まで緊張感を持たせてくれますし、子供への暴力・死やクリーチャー化はこの手のゲームではタブーとされてきた表現ですが、こうした表現にも果敢に挑んでいる点には驚かされました。

クエスト周りの仕様がわかりにくい

本作は一般的なオープンワールドにありがちなメインとサブが分かれてて話を追うだけならメインだけ進めれば良い、といった形はとっていません。

複数のストーリーラインが同時進行していくのが本作の特徴で、

例えばAの5話、Bの4話、Cの2話が同時発生

→全てクリアすると次はAの6話、Cの3話、Dの2話

→それが終わったら次はBの5話、Dの3話、Eの1話・・・

というように別々のストーリーが間を空けてちょっとずつ進んでいくので過去の展開を忘れやすいし今どういう状況なのかが把握しにくい構成になってしまっています。

また、無線連絡による説明などもなくいつの間にか新しいクエストが発生しているということが多く、何故そこに行かなきゃいけないのか、何をしにいくのかがわからないということもしばしば。

それぞれのシナリオは凝ってるだけにもったいない印象でした。

武器のバリエーション不足に加えバランスも悪い

突き詰めるとフルオート銃とドリフタークロスボウ以外ほとんど選択肢に入りません。

フルオート銃については、ほとんどの場面で一対多数を要求されるのに持てる弾数がとにかく少ないゲームなので、弾がたくさん持てる連射銃以外だとミッション一つ分すら持たない為。大群を相手にする場合はなおさら。

ドリフタークロスボウというのは通常のクロスボウの上位版、スキル込みではあるが野盗を胴撃ち1発で倒せる超強力ステルス武器。さらに特殊弾で同士討ちを引き起こしたり、火を付けたりすることも出来るうえ、弾を自然素材からクラフトできるので財布にも優しい。この武器、驚くことに初回限定特典で最初から使えました。明らかに序盤で開放していい武器じゃありませんし、正規の入手時期でも早いくらいです。

対してほかの武器はかなり使い勝手が悪いです。スナイパーライフルはまだ使い途があるんですが、ショットガンやセミオートライフルに至っては罠レベルでした。

そして基本各キャンプのショップには系統ごとに一種類しか武器が置いていないので、そのキャンプのフルオート銃を買ったら次のキャンプに行くまで銃を買い替えたり試したりする楽しみが全くありません。

店売り武器が強すぎてミッション報酬にほとんど出番が無いのも辛いところです。報酬には一風変わった武器もあるにはあるのですが解放時期が遅すぎて活躍の余地がありませんでした。

良い点

・終末世界の人間ドラマを描いた物語が面白くついつい先に進めたくなる

・あえて残された不便さにより際立つ世界観や緊張感

悪い点

・面白くなってくるまで少し時間がかかる

・クエストの仕様がシナリオの良さを損ねてしまっている

・武器周りのバランスが良くない

総評

間違いなく良作だと思いますが、多少人を選ぶゲームであるのは確かです。

特に序盤、ゲームバランス的な窮屈さとシナリオが盛り上がる前の時期が重なってしまっているために、そこを乗り越えられるかどうかで評価が180度変わってくるのではないでしょうか。

それ以外にも細かい粗はありますし、同系統の作品と被る部分は正直多いのですが、総じて面白い要素がたっぷり詰め込まれていて、さながら海外ドラマのようについつい次の展開を観たくなるゲームでした。

ソースが怪しいとはいえあんな記事が出ると不安になります。本当に続編の企画、なくなってしまったんですかねぇ・・・

評価・・・9 - Amazing(驚くほど素晴らしい)/10

※本レビューの点数はIGNのガイドラインを基準としています。







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