【レビュー】『コーヒートーク』 疲れたあなたに至福の一杯
※個人の見解です。ネタバレ無し。購入検討の参考になれば幸いです。
本作はゲームスタジオToge Productionsが開発したノベルゲーム。インドネシア産まれのインディータイトルで、PCおよび主要プラットフォーム全てで遊ぶことが可能。なお筆者はPS4版をプレイ。
バリスタとなって訪れる個性豊かなお客様と会話し、その時々に飲み物を提供することでシーンが進んでいくという形式で、いわゆる『VA-11 Hall-A』フォロワー。
カフェを舞台としているだけあって大人びて落ち着いた、オシャレな雰囲気の中で物語が進んでいくのが印象的です。BGMも良い。
サイバーパンクな『VA-11 Hall-A』とは違い、本作は現代にファンタジー世界のヴァンパイアや人狼、オークなどが共存しており、この種族間の差やすれ違いがそのまま現代の人種間問題に置き換わるように存在しています。
ボリュームは少な目で、個人差ありますが10時間もあれば全ての要素を楽しめると思われます。
リアリティにあふれる多様性と愛の物語
前述の通り本作は多様な種族がともに暮らす現代社会が描かれており、登場人物たちの悩みも現代社会と何ら変わらないものなので、リアリティを感じるシーンも多いと思います。
同性愛が当たり前に描かれ、そこに好奇の目線が一切入っていないのは印象に残っています。いわゆる「ポリコレ」的な必要ないけど怒られないようにねじ込まれた感がなく描写がごくごく自然なんですよね。
こういう描写が多様性表現の理想形なのかなと思ったり。
本作のシナリオを勝手にテーマ付けするなら「多様性と愛」だと思います。
種族違いの恋に悩む人、すれ違う親子、筆の進まない作家など、決して派手ではないですが、魅力あるキャラクター達のトークはまさにコーヒー片手にゆっくり読み進めるのに最適です。
なお、この手のゲームで特に大事なことですが日本語翻訳はちゃんとしています。ジョークなんかもしっかり落とし込まれているのでご安心を。
結局総当たりする羽目になる飲料提供パート
本作最大の問題点が飲み物の提供パート。
材料を特定の順番に組み合わせることで様々な飲み物を作ることが出来るのですが、ストーリーの一部シーンでは完全ノーヒントで無数の組み合わせの中から一つしかない正解をワンチャンスで当てなければいけない。
あらかじめ攻略サイトなどで正解を把握しておく以外では総当たりするしか無く、こんなところを複雑にする必要があったのか疑問です。
ガラハッドを作るまでにはあんなに試行回数くれたのに、後半は全く無いのは何故?
まとめ
良い点
・リアリティある世界観設定
・優雅で落ち着いたカフェの雰囲気
・違和感なく描かれた多様性表現
悪い点
・完全ノーヒントで正解を要求されるシーンがある
・ボリュームを求める人には物足りない
総評
ゆったり楽しめる良作ノベルゲーム。
難点がないではないですが、本作については行き詰まるくらいなら攻略情報見ちゃってもゲーム体験を阻害しないように思いますので、私個人としてはサクサクプレイすることを推奨します。
同性愛、異種族間の愛、親子愛、そもそも愛とは何か?
こうしたテーマを説教臭くなく、またそれを絶対視することもない絶妙な描写は素晴らしいの一言です。
普段ゲームばかりの私も久々に小説を読んだ気になる作品でした。
コーヒーのあてにゲームというのも中々オツです。本作を遊ぶなら是非コーヒー片手に浸ってみて欲しいですね。
続編が発表されており、先日steamストアページも公開されています。
現時点で日本語対応やその他の対応プラットフォームは発表されていないようですが、興味のある方はこちらも要チェックです。
評価・・・8 - GREAT(素晴らしい)/10
※本レビューの点数はIGNのガイドラインを基準としています。
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