見出し画像

【レビュー】『The Sexy Brutale』華麗で残虐な仮面舞踏会へようこそ【ネタバレ無し】

 Cavalier Game StudiosおよびTequila Works開発のインディータイトル。
パブリッシングはsteam版がTequila Works、国内CS版は日本一ソフトウェアが行っています。

 ある日豪奢な館、セクシーブルテイルで催される仮面舞踏会に招かれたゲスト達が、次々に使用人達によって殺害されていった。
館の時間はループを繰り返しており、この絶望的な1日が繰り返され続けている。

 主人公ラフカディオ・ブーンは絶望の1日を変えるため、ゲストを使用人達の魔の手から守りながら、館の謎に迫っていく、という作品。

 他のタイトルで例えると、「グレゴリーホラーショー」や「moon」のように、時間に合わせ同じ行動をとる登場人物達の行動を覗きや聞き耳を駆使して把握していき、救うチャンスを見つけ出すゲーム。

 10時間もあればクリア出来るので、やろうと思えば土日で一気にクリアしてしまえます。

なんとも怪しげで魅力的な世界観

 仮面舞踏会ゆえに登場人物はいずれも仮面を身に着けており、カジノを居住用に改造した豪奢な館、という舞台も相まって怪しさ全開。
 秘密の臭いがプンプンしてきてワクワクが止まりません。

個性的な仮面を身に着けた怪しいゲスト達
見た目通り一癖も二癖もある彼らを使用人たちの魔の手から救い出さねばならない

 ジャジーなBGMも出来がとっても良くて、世界観を何倍にも引き立ててくれているように思います。
 レコード風の掠れた音がニクい。
 ゲーム音楽関連の記事や動画で紹介されてるの見たことないんですが、知名度の問題ですかね?
 個人的にはそういうところの「常連」になってもおかしくない楽曲だと思います。

 小泉八雲の影響を強く受けているらしく、主人公の名前が彼の出生名ラフカディオ・ハーンをもじったものになっていたり、図書館に「耳無し芳一」が置かれていたりと私にもわかるものがちょこちょこ配置されています。
 小泉八雲というと「怪談」の人、程度の知識しかなくよく存じ上げないのですが、作風にも影響を及ぼしてるのかな?

少しずつ謎がとけていく快感

 ゲスト達を救うためにはまず情報を集めていかなければなりません。
 ループする時間の中で見つからないようにドアのカギ穴から中を覗いたり、聞き耳を立てたり、クローゼットの中から様子を窺ったりを繰り返してゲスト達の死の真相にたどり着き、それを阻止していくわけです。

目の前でゲストが窮地に陥っていても直接手を出すことは出来ないのが歯がゆい
ループを繰り返し策を練ろう

 殺人犯である使用人は勿論、ゲスト達にも見つかってはいけないので、情報集め自体にもドキドキ感があって良いですね。
 まあ発見されてもすぐに部屋から抜け出せばペナルティはないのですが。
ペナルティが重いと探索も及び腰になってしまいがちなので、このバランスは良かったと思います。

 ちょっとずつ情報が揃っていき、最後に繋がるこの感覚はアドベンチャーゲームなどと共通の快感があります。

移動速度が・・・

 遅い!!!!!マジで遅い!!!!!!
 お願いだからもっと速く走ってくれ!!!!!

 まあブーンは老人なので機敏な動きが出来ないのは仕方ないんですけどね。

要点まとめ

良い点

  • 怪しくて魅力的な世界観やアートワーク

  • BGMが良い

  • 少しずつ謎を解いていくプロセスが楽しい

悪い点

  • 主人公の足が遅すぎる

総評

 何より作品全体の雰囲気が良く現実を忘れて没頭できる良作。
独特なこの世界観を楽しむためだけに遊ぶ価値ありです。

 この手のゲームでは致命的に成り得る翻訳も良くはないが許容範囲の出来ではあったのでその点は安心してOK。

評価・・・8 - GREAT(素晴らしい)/10

※本レビューの点数はIGNのガイドラインを基準としています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?