【レビュー】『ピクミン4』またいろんな命が生きているこの星へ【ネタバレ無し】
Nintendo Switchから発売されたピクミンシリーズ、ナンバリングタイトル4作目。
前作にあたるピクミン3(Wii U)が発売されてから実に10年ぶりの新作タイトルです。
ピクミンに指示を出して原生生物と戦ったり、オタカラや要救助者を探して未開の惑星を探検していく本作。
分類上はアクションゲームにあたるとは思うのですが、戦う以外にも運搬作業や障害物の撤去、建設作業などなど必要な任務は多岐にわたるので、環境や条件を適切に見極めて如何にダンドリ良く指示を出していくかというRTSやシミュレーションゲーム的な性格も持っているのが最大の特徴です。
今作の目玉は新ピクミンである「氷ピクミン」「ヒカリピクミン」の登場と救助犬「オッチン」の登場、そしてシリーズ初の「夜探索」。
氷ピクミンのみならず、本作では過去作で登場したピクミンが全て登場し、全部で9種類のピクミン達を使い分けていくことになります。
なお筆者はピクミン1・2をプレイ済み。3未プレイです。
間口の広さを意識した難易度調整は賛否アリ
難易度が大きく下げられており、おそらく本作の評価で最も賛否が分かれるのがこの点だと思います。
少々長くなりますがお付き合いください。
特に新システムとして登場した救助犬のオッチンは本作を象徴するかの如く超優秀です。
一気にピクミンを取りつかせつつ相手を一瞬気絶させる「トッシン」を筆頭に、分担作業で活用する為の2Pキャラでありながら、あらゆるピクミンを凌駕する万能キャラとなっていきます。
結果として今回は過去作でトラウマ級の難敵だったボスにも損害ゼロで勝利出来る事は珍しくないはずです。
また、そもそも敵の耐久力がかなり減少傾向にあるほか、ロックオンの存在、強力な各種消費アイテム、初見殺しにあってもやり直せる時間巻き戻し機能、洞窟探索も途中帰還&再開可能などなどシステム面バランス面共に初心者に優しいです。
問題の本質は「中盤」
とはいえピクミン達を駆使してどんどん道を切り拓いていくのは終始楽しいですし、終盤ステージはちゃんとやりごたえの面でも楽しめるようになってますから、全編プレイした方は簡単すぎて面白くない、という印象にはならないと思います。
ただ一方で一向に難易度上がってこないな、単調だなと感じる時期があったのは事実です。
特に中盤に顕著で、進め方次第では難しさを感じるステージに出会わずにオリマーを救出してしまった、という人も一定数いるでしょう。
全体的な難易度低下自体は問題の本質ではなく、 難易度の上昇するペースとプレイヤー側の強化や習熟度向上のペースが合っていないことで、中盤の難易度「だけ」が低過ぎることこそが問題でしょう。
これ、新しいピクミンやギミック、敵キャラが増え過ぎたためにチュートリアル的なステージがとにかく多いのも一因になってるのかなと。
この点に関しては一言で言ってしまえば「調整ミス」である、と言わざるを得ません。
ただ、幸い「面白くない時期があるだけ」で済んでおり、後述の遊びに幅が出来たこともあって致命的な問題でもないように思いますが。
遊びの幅が大幅に広がった
2に近い自由探索&お宝と要救助者捜索がベースとなってはいるものの、
ネタバレ防止の為詳細は伏せますが、ピクミン1のようなシビアな日数制限を効率よく攻略していくモードや、新登場のヒカリピクミンと共に挑むタワーディフェンスな夜探索、そしていかに効率良くピクミンを運用するかを競うダンドリチャレンジやダンドリバトルと豊富な遊びがあって面白いです。
いずれも形は違えど効率化を追求するモードであるので、シミュレーション的な戦略性、タイムアタック的な中毒性があり、歴戦のプレイヤーであるほど熱中できるコンテンツでした。
豊富な過去作のセルフパロディに思わずニヤリ
先ほどピクミン1を彷彿とさせるモードについて触れましたが、他にも本作には過去作のセルフパロディが多数含まれています。
過去作の出来事に触れるオリマーの公開日誌をはじめ、かつての難関ステージが再現されていたり、当時と同じオタカラを飲み込んでいる原生生物がいたりと懐かしい要素が沢山。
特に原生生物に関しては、当時強烈な印象を残した大ボスを優先して再登場させている印象。
初代から20年以上が経ってしまいましたが、あの頃の思い出が本作の面白さを補強してくれるのは間違いないでしょう。
その他気付いたところ
視点が従来の見下ろし視点から変更されたことでピクミン達のサイズ感がわかりやすくなり、没入感が増してたのが良かったです。
ピクミンシリーズで遠景が見えるというのは中々新鮮な体験でした。
地上の原生生物が一切復活しないため、一度倒してしまうと殺風景になってしまう事。
探索を楽にするためにこのような措置になっているのはわかるのですが、全く復活しないというのは少々極端かなと思います。
ピクミンを増やす手段もペレット草のみになってしまう為、大量に増やしたいとなると時間がかかるデメリットも。
アップデートで任意に復活させる手段の追加を期待したいです。
要点まとめ
良い点
誰でも楽しめる優しいシステムとバランス
大幅に増えた新モードがどれも本編に匹敵するほど面白い
過去作プレイヤーへのファンサービスも豊富
視点が変更されたことで一層世界観を楽しみやすく
悪い点
中盤の難易度を簡単にしすぎている
地上の原生生物が一切復活しない為、クリア後のフィールドが殺風景に
総評
間違いなく良作、シリーズ最高傑作と言って良いかと思います。
ただ良くも悪くも「期待通り」であり、それを超えてはこなかった、という所でしょうか。
本作はスマホアプリ「Pikmin Bloom」によってシリーズのファン層が広がったこともあり、従来のシリーズファンと新規ファンの双方に受け入れられる作品を目指そうとしたのかなと推察してます。
その結果上手くいかなかった部分もあり、昨今のゲームの水準と比較してしまうと飛びぬけてるとまでは言えないものとなってしまった感じは正直否めません。
とはいえ10年ぶりに、しかも歴代最大のボリュームと数多の新要素を引っ提げて来てくれたので、私としては大満足です。
任天堂も次世代機への移行が近いと噂されており、あのゼルダすらもその影響かDLC無しが発表されていたりしますから、本作も拡張要素の登場よりは次回作の開発に注力する事になるでしょうか?
宮本さん、手塚さん、次回作はせめて5年後くらいでお願いしますよ!!
評価・・・8 - GREAT(素晴らしい)/10
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?