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絵本「ぎょうれつができるチョコレートやさん」の紹介と評価

評価

娘:☆☆☆
ママ:☆☆☆


読んだ目的/きっかけ

バレンタインデー前に大型書店に伺わせていただいた際、子どもの絵本コーナーに本絵本が飾られて(?)いました。以前、同じシリーズの「ぎょうれつのできるパンやさん」を読んだことがあったのですが、娘があまりはまっていませんでした。そのため、「ぎょうれつのできるパンやさん」がシリーズであることは知っていましたが、今まで同シリーズの他の絵本を読まずにいました。

「ぎょうれつのできるパンやさん」を読んだのが、娘と絵本を読みはじめたばかりのころだったため、「私の読み方がうまくなかったのかもしれない」と思い、大型書店で見かけたことをきっかけに久しぶりに同シリーズの絵本を読んでみることにしました。


ママの感想

「ぎょうれつのできるパンやさん」と違って、娘も私も高評価の絵本でした。娘は、本絵本のかわいい絵がとても気に入ったようです。表紙と裏表紙の裏にたくさんのかわいくおいしそうなチョコレートの絵が描かれていました。本絵本を読んで以来、娘はチョコレートの絵を描いて、楽しそうに「チョコレートづくり」をしています。娘とは、休みの日に娘がつくった(=描いた)「チョコレート」でお店屋さんごっこをする約束をしています。

一方の私にとって本絵本は、道徳的観点を含め娘と話すべき点が数多くあり、非常に読みごたえのある絵本でした。また、娘ではありませんが、本シリーズはとにかく絵がかわいい、そして、物語の様子がとてもよく絵で表現されていた点も良かったです。上から目線の感想を失礼いたしました。

キタリスくんとシマリスくんは、ある日、森で木の実を拾っているお兄さんのお手伝いをします。お兄さんは街のチョコレート屋さんで、木の実拾いを手伝ったお礼にキタリスくんたちにチョコレートをくれます。そのチョコレートのおいしいこと! キタリスくんとシマリスくんは自分たちが食べるだけでなく、泣いたり落ち込んだりしている動物たちにチョコレートをわけてあげました。そして、すっかりチョコレートに魅了されてしまったキタリスくんたちは、お兄さんのもとで修業をし、森にチョコレート屋さんを開くことにしました。

本絵本を読みながら、「『絵の魔法』というものがあるのだな」と思いました。本絵本では、チョコレートの「おいしそう」な様子がこれ以上ないくらいに「絵」のなかに表現されていました。チョコレートはおいしいと思っていますが、本絵本でチョコレートを食べた動物たちの幸せそうな様子を見ていると、「チョコレートってそんなにおいしかったっけ? 食べてみなくちゃ」という気持ちになりました。

また、先にも書きましたが、本絵本には、娘と話すべき点がたくさんありました。しかしながら、例えば、「チョコレートはどんな役割(=意味)を果たしているのか」といった内容は、娘にはまだ難しいと考えられたため、今回は娘と話していません。非常に良いお話なので、また来年あたり再読し、今回扱えなかったテーマについて娘と話してみたいと思っています。本絵本は、物語の内容も絵も「全てが良い」絵本でした。

子どもとはなす:チョコレートを食べた気持ちは?

チョコレート屋のお兄さんからチョコレートをもらったキタリスくんとシマリスくん。二人はさっそくチョコレートを食べます。

「すると、ふたりのしっぽがふわわわん……っとふくらみました。」

当該場面で、娘にキタリスくんたちの気持ちについて聞いてみました。

「娘ちゃん、チョコレートを食べたキタリスくんたちはどんな気持ちかな?」
「うれしいと思う」

娘の答えで正解です。しかし、私としては、このような場面でよく用いられる表現である「幸せな気持ち」も娘に知ってもらいたいと思い、「他には?」などと追加の質問をしてみましたが、出てこず… 私のほうから「幸せな気持ちにならない?」と聞いてみたところ、「幸せって何?」と娘に聞かれてしまいました。

「幸せ」については説明が難しく、私なりに言葉を尽してhappyの意味のみ説明をしてみましたが… うまく伝わったかやや心配です。言葉を知らなければ、問われたときに言葉として出てくることはないので、もう少し娘の語彙を増やす努力をしたいと思いました。


子どもとはなす:誰にあげる?

キタリスくんとシマリスくんは、泣いていたり悲しい思いをしている森の動物たちにチョコレートをわけてあげます。しかし、森の中にはチョコレートをあげたほうがよさそうな動物たちがいっぱいいました。泣いているポニーさん、悩んでいるヒツジさん、けんかをしているキツネさんとタヌキさん…

これらの動物たちの様子が同じページのなかに描かれている場面で、キタリスくんたちは「誰にあげたらいいか、選べない」と困ってしまいます。当該文を読んだところ、娘が「ポニーさん!」と強い口調で言って、泣いているポニーの絵を指さしました。娘に「どうして?」と聞いてみると「泣いているから」だそうです。娘によると、「泣いている子が優先」だそうです。「じゃあ、弟くんが泣いていたら優先していい?」と確認をしたところ「良い」そうです。

そうですか…

「泣いた者勝ち」のようになってしまうため、私は好きではないのですが、今の娘はそのような考え方のようです。

ただ… 息子が娘に何かをして、娘が息子を泣かした場面で、私が息子を優先したら、娘は怒る気がします。まだまだ年少さんの娘です。「幼い子どもの意見」として、丁重に承っておこうと思います。


子どもとはなす:チョコレートに込めた期待は?

たくさんあると思っていたチョコレートも森のみんなにあげているうちに残り一つになってしまいました。そこで、シマリスくんは「街に行ってお兄さんにチョコレートをつくってもらおう」と提案します。しかし、キタリスくんは「街に行ったことがない」と躊躇します。

そんなキタリスくんにシマリスくんは最後のチョコレートを食べるように勧めます。当該場面で、娘に「どうしてシマリスくんはキタリスくんにチョコレートを食べるように勧めたの?」と聞いてみました。娘は私の話を聞いていたのかいなかったのか… 「誰にあげたらいいのかわかんないからじゃない?」と答えてくれました。

少し前にシマリスくんたちが話していた内容です。その次の、「街にいるお兄さんにチョコレートをお願いをしよう」という主旨の上記やりとりが娘から抜け落ちていました…

「誰にあげていいのかわからないなら何でキタリスくんなの?」と言いながら、シマリスくんとキタリスくんのやりとりを再度確認しました。そうしてようやく娘は、「キタリスくんに一緒に街に行ってもらうため」という答えにたどりつけました。

しかし、上記娘の答えも、正解と言えば「正解」ですが、私が考えていた内容からすると「半分」しかありません。シマリスくんは「『キタリスくんに一緒に街に行ってもらうため』にチョコレートを食べることで『勇気を出してもらいたい』と思ったから勧めた」というのが私が考えていた「正解」です。そのため、娘に、「そうだね。そうすると、チョコレートはここではどんな役割があるのかな?」ともう少し聞いてみることにしました。

私の追加質問の言葉が適切でなかったのか、娘に私の質問の意図がなかなか伝わらず… 「チョコレートを食べると、どんな良いことがあるのかな? この場面だと、シマリスくんはキタリスくんにチョコレートを食べて何かを出してほしかったんじゃない?」と補足をしたうえで、「ゆう…」と私が言うと、ようやく私の質問の趣旨が娘に伝わったようです。だいぶ誘導してしまいましたが、「勇気か!」とようやく娘の口から私が期待していた言葉が出てきました。

一度話はじめてしまうと、なかなか引っこめることもできず、誘導もあまりするべきものではないので… 反省点の多いやりとりとなってしまいました…

ことば:お人好し

本絵本では、シマリスくんがキタリスくんに対して何度も「お人好しだな」と言います。娘に「お人好し」のニュアンスは伝わっているように感じましたが、せっかくの機会なので、きちんと確認をすることにしました。

「娘ちゃん、『お人好し』ってどういう意味かわかる?」
「わかんない」
「そうだよね。じゃあ、キタリスくんが『チョコレートをあげよう』って言ったことに対してシマリスくんはどう思ってるかな?」
「『偉いな』って思ってると思う」
「そうそう、『偉いな』、『良い子だな』っていうことが『お人好し』の意味だよ」

やや、「お人好し」を拡大解釈している感じはありますが、良いことにしたいと思います。


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