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絵本「あのね あのね」の紹介と評価

評価

娘:☆☆
ママ:☆☆☆


読んだ目的/きっかけ

絵本ナビの「プラチナブックメダル作品(2月)」のページで本絵本を見つけました。優しそうな表紙の絵に魅かれて、読んでみることにしました。


ママの感想

本絵本は「大人向け」の絵本でした。そのため、「大人」の私にとっては胸にしみる良いお話でした。

保育園のお迎えの帰り、男の子がお母さん/お父さんに今日あった出来事を話してくれます。
「あのね、あのね」
そのあとに語られる出来事は、楽しい話から失敗した話、悲しかったことなどいろいろです。
「ただ、それだけのこと」と言ってしまえばそれまでなのですが、子どもの口から語られる、親が子どもと一緒にいられない時間の様子が「絵」として描かれているせいでしょうか… 私は絵本のママやパパの立場で、ほっこり笑ったり、子どもを抱きしめてあげたくなったり… 娘から幼稚園での話を聞くときに体験している気持ちですが、改めて「子どもを思ういろいろな気持ち」を味わわせていただきました。

上述のとおり本絵本には、保育園/幼稚園に通うお子さんがいるご家庭の「あるある」がシンプルに優しいタッチで描かれていて、そして、シンプルだからこそ胸に響くものがあったように思います。

上記のとおり、本絵本は「大人の私」にとってはとても良い絵本でしたが、問題は本絵本を「娘」と読んでしまったことです。娘は「女の子」であるがゆえに、主人公の男の子と自分を重ねることはできなかったようです。そのため、1回目に本絵本を読んだ際には、本絵本に「じーん」とした気持ちになっている私をよそに、娘はつまらなそうでした。このまま2日目を読むわけにはいきません。

いろいろ考えた結果、「おしゃべりが上手になってきた息子くんが保育園から帰ってきたとき、『あのね、ねえねえ(=お姉ちゃん)』と話しかけられたら、どうお姉ちゃんらしく答えるか」ということを本絵本を読みながら考えてみることにしました。このような視点で読んでみると、娘も本絵本を楽しむことができたようです。本絵本は、仕事と子育ての両立に疲れた親のサプリになるような、優しい絵本でした。

子どもとはなす:娘ちゃんだったら何て言う?①

物語の冒頭、自転車の後ろに乗った男の子が、「ねえ、ママ、あのね。今日ね、楽しかったんだよ」と言います。「ママの感想」で書いた「娘がお姉ちゃんとして弟くんの話を聞く」設定の導入のため、この部分から娘に下記のように聞いてみました。

「娘ちゃん、弟くんが『ねえねえ、今日、楽しかったんだよ』って言ったらどうする?」
「『何が楽しかったの、教えて?』って聞いてあげる」

娘が私の設定にしっかり乗ってくれていることが確認できました。


子どもとはなす:娘ちゃんだったら何て言う?②

ある日の帰り道、男の子が「ねえ、ママ、あのね。今日はね、間に合わなかったの」と話を切り出します。話を聞いていく途中で、娘も男の子が「おもらしをしてしまった」話をしていることに気がつきました。当該場面で娘に、「弟くんが『今日ね、おもらししちゃったの』って帰ってきたときに言ったら、娘ちゃんは何て言う?」と聞いてみました。娘は、「『先生にちゃんと言って!』って言う!」と強い口調で答えてくれました。

上記「答え」も悪いものではないのですが…

娘は日ごろから、「優しいお姉ちゃん」を目指していると言っているため、「それも大事なことだね。でも、弟くんが『おもらししちゃった』って落ち込んでたら他の言葉のほうがいいんじゃない?」と言ってみました。すると娘は、「『大丈夫だよ。今度は気をつけようね』って言う?」と疑問形ではありましたが、答えてくれました。娘のなかに「優しいお姉ちゃんの対応」のイメージがあるようです。「そうだね、そう言ってあげたら弟くんは安心できるかな」と言いながら、ママはとても優しい気持ちになりました。


子どもとはなす:娘ちゃんだったら何て言う?③

また別の日の帰り道、男の子が「ねえ、ママ、あのね。今日もいいもの見つけたよ」と言って、まつぼっくりやどんぐり、石を見せてくれる様子が描かれていました。娘にとって、「石」はもう価値のないものです。そういうものを「小さい子」から提示された場合、娘がどう反応するのか気になり、聞いてみることにしました。

「娘ちゃん、弟くんが石を『見て!』って持ってきたらどうする?」
「『きれいだね』って言う」

娘は私が思っている以上に「お姉ちゃん」になれているようです。本絵本をとおして、娘と、「娘のお姉ちゃんらしさ」を感じられるやりとりができました。そういう意味でも、親である私にとってはとても良い絵本でした。


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