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絵本「だれのパンツ?」の紹介と評価

評価

娘:☆☆☆
ママ:☆☆☆

読んだ目的/きっかけ

絵本ナビの「プラチナブックメダル作品」のページで本絵本を見つけました。本絵本を目にした際、表紙のトラ柄なのかヒョウ柄なのか、ちょっと不思議な柄の大きなパンツのインパクトに目を奪われました。そんな「パンツ」とタイトルに魅力を感じ、読んでみることにしました。

ママの感想

表紙の絵だけでなく、ストーリーにもインパクトがあり、加えて細部にも見るべき点があって、とてもおもしろい絵本でした。娘も私もとても気に入りました。

公園で遊んでいたタロウのところに大きなパンツが落ちてきました。上のほうから「おーい、こっちこっち!」という声がしたため、タロウは近くの団地から落ちてきたのだろうと思い、大きなパンツを届けることにします。最初は、似たような色の洗濯物がベランダで揺れている3階の部屋へ届けに行きます。しかし、違ったようで、そこで教えてもらった別の部屋へパンツを届けに行きます。けれども、その部屋の住人も、パンツの落とし主ではありませんでした。パンツを落とした人の部屋はなかなか見つかりません。タロウが、間違ってパンツを届けてしまった部屋の住人に教えてもらった次の落とし主候補の部屋を順々に訪れていると、タロウはあるはずのない「異世界」へ入り込んでいくことになります。個性豊かな「異世界」のパンツの落とし主候補をタロウは訪ね歩きます。そして、とうとう、パンツの落とし主に出会うことができました!

パンツの落とし主もさることながら、「誰のパンツ?」という問い自体が実は誤っていたという展開に娘と驚くとともに笑ってしまいました。また、若干のネタばらしとなってしまい恐縮ですが、「パンツ」の柄をよく見ると、次の部屋にいる住人の絵が隠れミッキーのように描かれていることを娘が発見しました! 私はまったく気づいていなかったので、娘に教えてもらったときには、「本当だ、すごい!」ととても楽しくうれしくなりました。

本絵本は、上記の点以外にも細部にまで工夫が凝らされていて、とてもおもしろく読みごたえのある絵本だったと思います。

子どもとはなす:どういう意味?

※以下、ネタばらしとなります。
「だれのパンツ?」の答えは「オニの帽子」でした。タロウは無事に屋上にいるオニに「パンツ」ならぬ「帽子」を届けることができました。オニに帽子を返したタロウは、「汗をかいただろう」とオニにお風呂に入っていくよう勧められます。オニの勧めに従って、お風呂に入ることにしたタロウ。そんなタロウを「うしろでは赤オニが、ごちそうを前にしたような顔で」眺めていたそうです。当該部分について、娘に下記の質問をしてみました。

「『ごちそうを前にしたような顔で眺める』ってどういう意味かわかる?」
「食べたいってこと?」

娘は無事にこの比喩を理解することができたようです。そこで、「正解。タロウが『パンツ』を届けに行った画家の部屋で見た『あの『絵』みたいに、食べられちゃったりして』ってこのあと書かれているもんね」と次の文章を続けて読むことで、まとめることにしました。

子どもとはなす:本当にオニはいた?

夕方の5時を告げるチャイムを聞いたタロウは、「家に帰らなくちゃ!」と急ぎ、帰宅することにします。その帰り方がとても興味深く… 気がつくとタロウは公園のすべりだいの下にいました。(これが本絵本の最後のページです。)

当該場面で、娘の「夢」を壊してしまわないか若干の不安がありましたが、下記の質問をしてみることにしました。

「娘ちゃんは、鬼は本当にいると思う?」
「いない」
「じゃあ、タロウも本当はオニに会ってないのかな?」
「会ったと思う」
「どうしてそう思うの?」

私の問いかけに、娘は絵本を見つめ、団地の屋上の貯水槽に「温泉のマーク」がついているところを指さしました。そして、「前のページに戻って!」と言い、娘が求めるページを開いたところ、タロウが入ったオニのお風呂にも同じマークがついていました!

「ママ、同じだよ!」
そう言った娘はとてもうれしそうでした。

「同じマークがついているってことは、タロウはここ(=団地の屋上の貯水槽)でお風呂に入ったのかな?」
「そうだと思う!あっ!!見て、すべりだいの上のところ(=赤鬼のかたちをしたアーチ状のものがあります)。これが化けてたんだよ!」

娘は私の質問をきっかけに、絵本を再度見直すことで「タロウとオニ」を結びつけるいくつもの要素を見つけることができたようです。絵本の読み聞かせでは、私から娘によく質問をしています。しかし、今回のように「絵本をじっくる見る」ことにつながる質問はあまりできていなかったので、娘と「良いやりとり」ができたように感じました。このような質問がもっとできるようになりたいと思います。

なお、娘には「タロウがはいていたズボンがオニのパンツに代わっていることもタロウがオニと本当に出会った証拠の一つだね」という補足をしておきました。本絵本については、随分と満喫できたように思います。


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