見出し画像

絵本「あさえとちいさいいもうと」の評価

評価

娘:☆☆☆
ママ:☆☆☆


読んだ目的/きっかけ

昨年の秋ごろに私がつくった「読みたい絵本リスト」に本絵本が載っていました。上記「読みたい絵本リスト」は、おそらく、絵本ナビで適当に検索をし、読者数が多くて評価が高い絵本を挙げたものだと思われます。本絵本は、絵本ナビでの読者が250人近くいて、評価も高い絵本です。我が家にある娘と私のお気に入りの絵本、「はじめてのおつかい」や「おでかけのまえに」と同じ作者だったこともあり、読んでみることにしました。


ママの感想

私には、年の離れた妹がいます。そのため、本絵本のストーリーは「実際にありそう」と思える内容で、気づくとすっかり物語の中に引き込まれている自分がいました。「子どもの絵本なんだからハッピーエンドでないはずがない」と思っているのに、胸が押しつぶされるような不安と緊張を感じながら、まさに「身につまされる思い」で読ませていただきました。

我が家の「お姉ちゃん」である娘も(私ほどではないにせよ)私と同じように感じていたようです。険しい表情をしながら、じっと物語の展開を見つめていました。

妹のあやちゃんがお昼寝をしている間に銀行へ行ってしまったお母さん。
しばらくすると、泣いたあやちゃんが玄関にやってきます。外で遊んでいたお姉ちゃんのあさえは、外であやちゃんを遊んであげることにします。

妹思いのあさえは、あやちゃんを喜ばせてあげようと地面にチョークで線路を描きます。そして、あやちゃんを喜ばせてあげたいあまりに線路を描くことに熱中してしまい…その隙にあやちゃんがいなくなってしまいます!!「あやちゃんはどこに行っちゃったの?無事なの!?」というあさえの気持ちがものすごく伝わってきて、読んでいて、娘も私も不安と心配でいっぱいになってしまいました。そんな不安と心配を主人公のあさえと一緒に味わった後の、本絵本の最後、文章のない「絵」での終わり方がとても素敵でした。

このような絵本を妹や弟の立場の人が読んだらどう感じるのでしょうか? 本絵本を通して、我が家のお姉ちゃんである娘と一緒に「お姉ちゃん」の気持ちを共有することができ、良い経験ができたと思います。とても良い絵本でした。

ただ、最後に一言。「お母さん、お姉ちゃんにこんな思いをさせないように、ちょっとした『おつかい』も下の子と一緒に行ってください!」


子どもとはなす:妹を抱きしめるお姉ちゃんの気持ち

本絵本には、娘と話すべき点が本当はたくさんあったのかもしれません。
しかし、「あさえ」の立場にすっかりなりきって読んでいた娘と私にとっては、途中、あれこれ考える余裕はなく、私が娘に「大丈夫かな?」と聞き、娘が「大丈夫じゃない。でも、大丈夫」と言いながら読み進めるのが精いっぱいでした。そのくらい、本絵本は必死の思いで読みました。

最後、あやちゃんは公園で無事に見つかります。あやちゃんはのんきに砂遊びをしていて、あさえを見つけると、これまたのんきに手を上げてくれます。そして、最後のページでは、そんなあやちゃんをあさえが抱きしめています。

当該ページでようやく娘と「はなし」をしました。
「娘ちゃん、今、どんな気持ち?」
「うれしい気持ち」
「そうだね、それがきっと今のあさえちゃんの気持ちだね」

主人公に気持ちを重ねることができた絵本では、このようなやりとりも「あり」だと思っています。ただ、あとになって振り返ると、恐らく当該場面で娘は「ほっとしたり」「よかった」といった気持ちも感じていたはずです。
それを言語化した上で、「安心」という言葉の説明をしても良かったかもしれません。「気持ちを表現する言葉を増やすチャンスだったのにな…」と反省しています。


子どもとはなす:あさえちゃんは何て言う?

せっかくなので、上述の最後の場面でのあさえに吹き出しつけをやってもらいました。

「あさえちゃん、何してるの?」
「あやちゃんのこと、抱きしめてる」
「何て言ってるかな?」
「『ごめんね、もっと早くつくってあげれば良かったね』って言っていると思う」

娘によると、あさえがもっと早く線路を描いてあやちゃんを遊んであげていれば、あやちゃんがどこかに行ってしまうことはなかったそうです。それはそうだと思います。

ちなみに、私は「良かった、無事で」という吹き出しが一番最初に思い浮かびました。他には、「勝手に行っちゃダメでしょ!」というものも考えていました。しかしながら、娘が答えてくれたような吹き出しは思い浮かんでおらず…

娘と私の立場、そして、性格が出る吹き出しつけだったことに後から気づき、とても興味深かったです。またいつか再読し、その際、娘が何というか… 楽しみにしたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?