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絵本「ぞうのエルマー」の紹介と評価

評価

娘:☆☆
ママ:☆☆


読んだ目的/きっかけ

「エルマーと言えば『エルマーのぼうけん』!」と私は自分の経験から思っていましたが、いつのころからか「ぞうのエルマー」のグッズを見かけることが増えました。そんな「ぞうのエルマー」が絵本であることを知り、私の興味から読んでみることにしました。


ママの感想

ぞうのエルマーは「ぞう色」のぞうではなく、黄色にオレンジ、赤やピンクといったさまざまな色が組み合わさった「パッチワーク」のぞうです。エルマーはみんなと身体の色こそ違えど、ふざけることが大好きな明るいぞうでした。しかし、ある日、エルマーは考えます。「どうしてぼくだけみんなと違ってるんだろう。だいたいパッチワークのぞうなんて変だよね。だからみんな笑うのかな、ぼくのこと。やんなっちゃう」

エルマーは、ぞう色の木の実で自分の身体をぞう色に染めることにしました。そうすると、誰も、エルマーだと気づきません。「ぞう色」のぞうになったエルマーは、そっと群れに戻ります。しかし、何かがいつもと違います。他のぞうたちはみんな、ずっと黙ったままです。そんなの状況に我慢ができなくなったエルマーは、大きな声を上げました。すると、みんなびっくり! ちょうど雨が降って、エルマーの身体から木の実でつけたぞう色が落ち、みんなが「エルマーのいたずら」だと「知り」大騒ぎです。そして、「エルマーの日」ができました。

本絵本では、低年齢児向けの道徳的絵本によく出てくる「見た目」に関する問題がテーマとして扱われていると私は思っています。私は、そのような視点から「ふむふむ、良いお話だな」と思いながら読んでいました。

しかし、娘は本絵本が「おもしろくはない」わけではないようでしたが、本絵本のメッセージをまったく理解していませんでした。このことについては、夫からの助言により「なるほどね」と思いましたが、「道徳的テーマ」を理解するためには「発達状況」も考慮する必要があるのだと改めて思いました。(詳細は「子どもとはなす」参照)

本絵本のメッセージは、いまいち理解していない娘でしたが、本絵本がシリーズであることを知ると、「他の絵本も読みたい!」と言っていたので、これにめげずに読んでみたいと思います。絵本に込められた道徳的メッセージが理解できなくても、受け入れられなくても、道徳的メッセージを「絵本のなかで経験すること」に、意味があると(最近は)思っています。


子どもとはなす:エルマーの色はダメ?

1回目に本絵本を読んだ際、私は本絵本のメッセージを「見た目が他者と違うことを気にする必要はない」というものだと理解していました。そのため、2回目に本絵本を読んだ際、上記メッセージを踏まえて、娘と下記の「はなし」をしてみました。「ママの感想」に書いたとおり、ある日、エルマーは自分の身体の色がみんなと違うことに悩みます。「どうしてぼくだけみんなと違ってるんだろう。だいたいパッチワークのぞうなんて変だよね。だからみんな笑うのかな、ぼくのこと。やんなっちゃう」 当該場面で、娘に下記の質問をしてみました。

「エルマー、自分の身体がカラフルなことについてどう思ってる?」
「嫌だと思ってる」
「そうだね。娘ちゃんは、エルマーの身体の色がみんなと違ってカラフルなことについて、どう思う?」
「ぞう色のほうが良いと思う」

娘の答えに「そうか、困ったなー」というのが、私の率直な感想でした。娘が当該場面のエルマーの気持ちに忖度をして、上述のように答えてくれたのかもと思い、とりあえず、絵本を読み進めることにしました。そして、最後の場面は、「エルマーの日」です。この日は、エルマーだけがぞう色のぞうになり、他のぞうたちは身体の色をいろいろな色で飾り、パレードをします。ぞうたちが思い思いのカラフルな模様で楽しそうにパレードをしている様子が描かれていました。当該場面で、娘に下記の質問をしてみました。

「ぞうのみんなは、エルマーのカラフルな身体のことをどう思ってるかな?」
「ぞう色が良いと思ってる」
「カラフルな身体は良いと思っている? 良くないと思ってる?」
「良くないと思ってる」
「でもさ、良くないと思ってたらみんながエルマーみたいなカラフルな身体の色にすることはないんじゃない?良くないと思っていることをまねっこする?」
「みんなパレードしたいって思ったんじゃない? みんなと一緒のぞう色が良いと思う」

上述の娘との会話は録音したものを書き起こしたわけではありませんが、上述のようにまったく娘と話がかみ合いませんでした。絵本のメッセージを娘にまったく理解してもらえず… このようなときはどうしたら良いのか、私はすっかり困ってしまいましたが、娘の考えを「そういうのは良くないよ!」と否定することは「読み聞かせ」の目的ではありません。

仕方がないので、「そっか、娘ちゃんは、みんなと一緒のぞう色が良いと思うんだね。ママはエルマーみたいなカラフルな身体も素敵だと思うな」と言って、一旦、この「はなし」は終わりにすることにしました。

その後、困った私が夫に相談をしたところ、下記の助言をもらいました。昨今の娘は、「みんなと違う」ことが嫌で「みんなと一緒」が良いと思っているところがある。そのため、たとえば、幼稚園に行く際、名札をつけ忘れると泣いて取りに戻りたがる。このような娘の現状を鑑みるに、本絵本のメッセージを娘が受け取らず、「みんなと一緒が良い」と言うことはある意味、今の娘の状態を反映しているのではないか。また、本絵本において、カラフルなぞうのエルマーがカラフルさ故に活躍するといった「良さ」が十分に描かれていないのではないか。

夫の話を聞き、「そうかもしれない」と思いました。今の娘の考え方は、「今の娘にとって必要なこと」なのだと思います。そのため、娘に直ちに今の考え方を改めてほしいとは思いませんが、いずれ、卒業をしてもらいたい考え方ではあります。本絵本を読んだことが、小さくて構わないので、今の娘の考え方に一石を投じることになっていたらうれしいと思います。絵本の読み聞かせをしていると、思わぬところで、娘への理解が深まり、親としてはありがたくうれしい限りです。


ことば:パッチワーク

私があまり「手芸」を嗜まないこともあり、娘は「パッチワーク」という言葉を知りません。そのため、本絵本の冒頭、「エルマーはパッチワークのぞうなのです」という説明部分で、パッチワークとは「いろいろな色や形の布を縫い合わせて1つの布をつくること」という簡単な説明を私からしました。エルマーのイメージで娘が「パッチワーク」を理解してくれたら良いと思っています。


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