【オメガバース小説】犬のさんぽのお兄さん【第91話】
【地方都市×オメガバース】オメガでニートの園瀬梓は、T中央公園を散歩中に謎の長髪イケメンアルファ(ダサい臙脂のジャージ姿)に出会う。その瞬間、ヒートが起きて運命の番だと分かり——!?
週明けの月曜、俺は妊娠二十四週、七ヶ月になった。五回目の妊婦健診の日で、妊娠中期に突入したので今回からは二週間に一度のスケジュールで健診を受けることになる。
エコーの間もりょーちゃんは元気良く動いていて、医師がモニター画面を見ながら「元気元気! プリップリ!」と言ったから、俺と京一郎はぷっと噴き出した。そして他の検査でも問題は無かったが、やっぱり俺の体重が増え過ぎだと注意されたので、本人ではなく京一郎が反省した。
いつも通り手を繋いで公園を横切りながら、京一郎がぼやく。
「あずさちゃんとりょーちゃんが可愛くて、餌を与え過ぎた……」
「本当だよ。京一郎きゅんは美味いもんばっか作るんだから!」
「あずさ、これからは寒さ対策をしっかりしてウォーキングをするぞ。そんなに長時間は歩かなくて良いが……」
「えー? ぽん吉の散歩には行ってるじゃん」
「ぽん吉さんはマイペースに歩くからな。立ち止まってくんくんしていることも多いし、運動にならない」
「まあ良いけど……寒いからやる気出ねえなあ」
「では、ショッピングモールの中を歩くのはどうだ? それなら天気が悪くても問題無い……」
「マジ? ショッピングモールってどこ行くんだよ」
「Yタウンだ。イ◯ンモールTは縦移動が多くて向いていないからな。Yタウンの隣にはコー◯ンとユトリもあるし、ウォーキングには打って付けだ。もちろん疲れたらすぐに休んで良い」
「マジ? じゃあぽん吉も連れて行こうぜ」
Yタウンは前にも京一郎と行った大型ショッピングモールで、その隣にはだだっ広いホームセンターコー◯ンがある。ここはペット入店OKだから、ぽん吉を連れて行くことが出来る。そしてコー◯ンの隣には大手家具専門店ユトリがあって、ここもキャリーに入れていればペットOKだ。
歩くついでに気に入った商品を見つけたら買ってやると言われたので、俺はわくわくした(ただし食べ物は駄目だと釘を刺された)。
そうして昼ごはんを食べた後、京一郎は早速俺とぽん吉をベ◯ツに乗せてYタウンに向かった。助手席に座った俺はハンドルを握っている京一郎に言う。
「なあ、ベビー用品見ようぜ。Yタウンにはたくさんあるだろ」
「そうだな。まずはチャイルドシートを買わなければならない……」
「え? 何でチャイルドシートからなんだ?」
「りょーちゃんが生まれた後、家に帰るのに車に乗せるからな。新生児でもちゃんとチャイルドシートに乗せないといけない」
「へえ。流石あかご倶楽部愛読者。詳しいな」
「チャイルドシートは最高級品にしよう。Yタウンに置いてあるか分からないが、色色見て比べることが出来る……」
そんな会話をしながら、俺達は北へ向かってバイパス道路を走った……。
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