いま評判のナイツ塙宜之「言い訳」を読んでみた。

 正確には「言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」である。
 M-1グランプリの分析本であり、漫才論でもある。
 読者を選ぶ本で、M-1を見てない人には面白くない。見ている人は本書を読むことでM-1を10倍楽しめる。私は見てる派だ。お笑いライブに通っていないので、M-1に登場するコンビはたいてい初見で、新鮮に楽しめる。
 本書は冒頭で「漫才はざっくり分けると「しゃべくり漫才」と「コント漫才」に分かれます。」と断言する。で、感情を乗せるには方言が最適、とくに大阪弁が漫才において標準言語になると続く。東京の言葉がマイナーになる理由もちゃんと書いてある。著者の主張ではしゃべくり漫才が漫才の王道である。
 東京勢はコント漫才で勝負せざるを得ず、主催は吉本興業、言葉の壁もある。完全なアウェイ状況だ。
 そんな中でアンタッチャブル、サンドウィッチマン、バンクブーブーはなぜ優勝することができたのか。南海キャンディーズやオードリーはなぜブレイクすることができたのか。この分析が読みどころ。お薦め。

新作旧作まとめて、毎日1編ずつ「朗読用ショートショート」マガジンに追加しています。朗読に使いたい方、どうぞよろしくお願いします。