見出し画像

「逆・タイムマシン経営論」近過去から本質をえぐり出す思考法

こんにちは!
フカドク運営事務局・熱血サラリーマンのタツです!今回取り上げるのはつい先日発売されたばかり(2020年10月9日発売)、僕が愛してやまない、日本一ダンディな経営学者(当社調べ)の最新作!話題の一冊をフカドク!


画像1

近過去から本質を抽出する

著者は一橋ビジネススクール教授の楠木健さん。以前、「好きなようにしてください」のレビュー記事をフカドクでも紹介しました。

各メディアでも積極的に情報発信されている著名経営学者で、代表作は「ストーリーとしての競争戦略」。

画像2

優れた企業の競争戦略を「ストーリー」という観点から考察した名作です。経営書としては異例の25万部突破のベストセラー。経営学に興味のある方はぜひ一読をお勧めします!もう一人の著者は社史研究家の杉浦泰さん。神戸大学大学院を修了後、プログラマーとして働きながら社史を通じて長期視点をビジネスパーソンに広める活動を行っています。

そんな異色の著者二人が執筆する本書のテーマは「近過去の歴史に学ぶ経営知」。これまで多くの日本企業が取り組んできた「タイムマシン経営」。ビジネスや技術の面で日本に先行する米国のモデルを日本に輸入し事業拡大を実現するという手法です。ソフトバンクの孫正義氏が積極的に活用し、ヤフーJAPANなどで成功を収めてきました。

画像3

本書はテーマはタイトルの通り、その「逆」。5~10年前に「これから来る!」と言われていた技術や事象を分析し「時代が変わっても変わらない物事の本質」をあぶり出すことを目指しています。
メディアは「バズワード」に注目しブームを形成していきます。本書でも扱われているAI、DX、自動運転などは最近のヒット作。5年ほど前だと3Dプリンターやグーグルグラス、20年ほど前だとERPなど。こういった技術が世界を変える!と熱っぽく語るのですが、意外と浸透しなかったり、すぐに廃れてしまったり。この現象を本書では「同時代性の罠」という言葉で表現しています。

「いつの時代もその時点で目にするニュースや言説には「同時代のノイズ」がたっぷりと含まれています。それに触発された思考や判断にも同時代のバイアス(偏見)がかかりやすいものです。これがしばしばビジネスの意思決定を狂わせる方向に作用します。」

周囲に合わせて最新技術を導入したものの、組織に浸透しないし顧客にも受け入れられない。そんな残念な状況を避けるために、本書では「近過去」にさかのぼることが知的トレーニングになると説きます。

「要するに、「新聞・雑誌は10年寝かせて読め」。近過去に遡り、その時点でどのような情報がどのように受け止められ、それがどのような思考と行動を引き起こしたのか。近過去の成り行きを現代の目で吟味すれば、経営の本質を見抜くセンスを養い、将来に向けて有効なアクションを取ることができる。」

これからのビジネスマンの教養は歴史だ!と一時期から盛んに言われるようになりましたが、歴史を学ぶ意味ってそこにあるのか!と納得できました。成功を予測することはできなくても「失敗の可能性を減らすことはできる」ということなのだと思います。

本書が扱う「同時代性の罠」は下記の3つ。

1.飛び道具トラップ
2.激動期トラップ
3.遠近歪曲トラップ

NewsPicksや東洋経済、日経新聞など「イケてる」ビジネス誌の記事もこのトラップにが蔓延します。後から読み返すと、「なんであの時あんなに盛り上がったんだろう・・」ことも多く、納得の一言。3つの中でも個人的に印象に残ったのは「遠近歪曲トラップ」

「日本の経営者は内向きで大胆な変革ができない」「日本企業の経営スタイルは硬直的で時代遅れ」といったミクロレベルでの批判から、「少子高齢化の閉塞感の中で日本には展望がない」というマクロな言説、はたまた「このままでは日本は崩壊する」という憂国的な全否定まで、「日本(人、企業、社会、政府)はダメ」という主張が毎日のようにメディアから発信されています。(中略)当然のことながら、日本には問題が山積しています。ビジネスや経営の分野でも、先進国や新興国に比べて「遅れている」「劣っている」ところが多々あります。ただし、です。比較対象の米国や中国はどうでしょうか。問題がないかと言うと、もちろんそんなことはありません。

最近の「ジョブ型雇用」の議論もこれに近いところがあるなあと感じます。ジョブ型/メンバーシップ型それぞれのメリット・デメリットは無視して、単に「海外はジョブ型なんだから、ジョブ型を導入しろ!」と主張する記事やニュースが多い気がします。

人口減少や少子高齢化、デフレ、様々な問題を抱えている日本ですが、すぐに否定から入るのではなく、ちょっと立ち止まって考えて冷静に物事を判断する。その時の思考の基準を「歴史」に学ぶ。未来を予測することは出来ないからこそ、過去に学ぶことの大事さを実感させられる良書でした。

毎週水曜日20時〜、読んだ本をアウトプットし、みんなで語るオンドク!運営中!

フカドク!運営チームで毎週水曜日20時〜22時に読んできた本をオンラインで発表しあう場、オンドク!を運営しています!
ここで紹介できていない本を含めて実にさまざまな本が紹介され、ディスカッションされています。
自分もアウトプットしてみたいな、と思ったかたは是非一緒に参加して学びをより深いものにしましょう!(発表はちょっと、、という方は見学も可能です)
Facebookにてグループページがございますので気になった方はお気軽にご連絡ください!

また、本のサマリーだけではなく、日頃のニュースのコラムや日頃の気づきも含めて投稿しているinstagramアカウント、サマドク!は毎日更新しています!
こちらもお気軽にフォロー、いいね、コメントお待ちしております!
instagramアカウント@sama.dokuで検索!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?