見出し画像

北欧伝統音楽について、とライブ告知

ということでライブの告知ではあるが、今日は私のやっている北欧伝統音楽とはなにか、からご紹介していきたいと思う。自分たちに馴染みがあるからといって、けしてロックやジャズのように誰しもが想像できるジャンルではないのだから、そのプロセスは絶対に必要なのだ。

北欧伝統音楽とは?

適当なことを書くと諸先輩方に注意されてしまいそうでドキドキしているが、簡単に解説をしていきたいと思う。
私たちがやっている「伝統音楽」とはTraditional musicの訳である。それは日本人に馴染み深い西洋クラシック音楽とは別の文脈で(といってもクラシックが伝統音楽を取り込もうと言うムーブメントが後にやってくるのだが)数百年、語り継がれてきた音楽である。主に口伝で伝わっているので、楽譜が無いことも多い。近年、保護の観点で記譜することも増えてはいるが、各民族ごとに違う「ノリ」のようなものを記譜する術を我々はまだ得ていないので、やはり知っている人が弾いているのを聞いて覚える、というスタイルがスタンダードではあり続けるだろう。(最近だと動画や音源が残るからそれはかなりいい手段だと思う)
そして私たちがやっているのは「北欧」の伝統音楽である。北欧、とは狭義ではスウェーデン、ノルウェー、デンマーク。一般的にはそこにフィンランドとアイスランドを足したもの。広義ではバルト三国まで含む文脈もあるが、音楽では概ね、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランドあたりを指して北欧と呼称することが多い。よく混同される最近流行りの「ケルト音楽」はケルト人のいた地域に残っている音楽をベースとした音楽だが、北欧とは特に関係はない。
詳しく知っていけばいくほど、「北欧」で括るのも難しいなと思う。スウェーデンとノルウェーは少し似ているが、フィンランドの東側の音楽は東欧の色が濃いと思うし、デンマークは港町だから色々な音楽の影響を受けているし、アイスランドはそもそもほぼ歌しか残っていないし……といった具合だ。だがお客様として初めて聴いてくださる方にとってはそこまでの細かい違いはわからないし、我々も自分たちのやっている音楽をスウェーデンとノルウェーを中心にたまにフィンランド、、と説明するのはややこしいので、便宜的に「北欧」と呼んでいる。
北欧の伝統音楽は大きく二つに分けられる。一つは歌だ。民謡といえばイメージしやすいだろうか。歌詞だけが残っていることもあればメロディーも残っているものもある。そして、もう一つ、私たちのやっている方は、フォークダンスの伴奏曲だ。踊りを踊るために作られた曲を私たちは演奏している。北欧のダンスは主に男女でペアになって踊るものが多い。そのダンスの中で、例えばジャンプをするとか、リフトアップをするところで時間が必要だから拍が伸びるみたいなことが起こる。これが先ほど書いた、記譜できないリズムの揺れ、になる。この揺らぎに魅了された人々が北欧伝統音楽を演奏しているといってもいいだろう。
今はそういう曲をバンドでアレンジしたり、文脈にのっとったオリジナル曲を書く人もいたりしていて、音楽のための音楽もあるが、元々はダンス曲ということが大きな特徴だろう。

一例をここに示すとこんな感じで、フィドル(民俗音楽ではバイオリンをこう呼ぶ)やアコーディオンなんかが一人で伴奏するのが最もシンプルな形だ。楽器に指定はないが、北欧では専ら、フィドルで演奏されることが多い。

4月28日のメインアクト「ノマトリ」とは?

そんな北欧伝統音楽を現地に行って学んできた野間友貴とトリタニタツシがデュオを組んでCDを出した。この二人の演奏は生で聴いたことがあるが、形式ばった「コンサート」という感じのコンサートではなく、もっと身近な(これもまた民俗音楽の特徴であるが)演者と聴衆の距離の近い音楽をやっている印象だ。音楽についてはスウェーデンのダンス曲を中心に、二人のかぶっている地域(スウェーデンと一言に言えども地域によってリズムの取り方が全然違うものなのだ)や、それぞれ得意としている地域の曲を演奏する。デュオ、という形態は一方がメロディーを演奏するともう一人は伴奏をするのが一般的なイメージかもしれないが、北欧音楽ではそうではない。アンドラステンマ(andra stämma)という概念があり、直訳すると第二声部、となる。もうひとつのメロディーパートとして、ハーモニーを奏でたり、リズムを作ったりと縦横無尽に、自由に駆け回る。だから、デュオの満足度を遥かに超えてくるのが、北欧のデュオの醍醐味だと思う。無論「ノマトリ」の二人もそれを聴かせてくれる。
今回はノマトリのふたりが現地のスタイルで曲を教えてくれるワークショップも開催する。

4月28日のライブ詳細

4月28日のライブではノマトリの他に私のユニット「Livets Ord」も出演する。スウェーデン曲を中心に新しい解釈でアレンジを施しているユニットとなっており、こちらもどうかお楽しみいただきたい。
会場等は以下のとおり。

【コンサート】
時間|open14:30 start15:00
料金|¥3,000 + 1drink order
出演|野間友貴:フィドル、マンドーラ、ヴィオリーノ・ダモーレ
トリタニタツシ:フィドル、ニッケルハルパ、コントラバスハルパ
Livets Ord
櫛谷結実枝(フィドル)
笠原楓奏(コントラバス、ギター)

【ワークショップ】
時間|open12:50 start13:00
料金|¥3,000
講師|野間友貴、トリタニタツシ

会場|Tearoom Pas de deux (栃木県宇都宮市吉野2-3-15)
南宇都宮駅から近くのおしゃれなカフェ。

短歌のフォロワーさんが多いのでなかなか音楽の方にたどり着いていただけず、今回2000文字近い文章を書いてみた。ご予約は私にお声掛けいただければ承るので、ぜひご来場いただきたい。本当に、良いライブになると思うので!
お待ちしております!!!!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?